心理的瑕疵とは?不動産売却の告知と買取価格

建物そのものに不具合はないものの、過去の出来事から住むことに抵抗を感じさせる事情です。事件事故のほか、近隣の嫌悪施設が該当することもあります。買主の判断に影響するため告知の対象になります。
「このマンションの部屋で以前、住人が亡くなったと聞きました。
売るときに何か言わないといけないんでしょうか」と迷う方に向けて説明します。
過去に起きた事件事故や近隣の嫌悪施設など、住むことに抵抗を感じさせる事情は心理的瑕疵と呼ばれ、買主に伝える義務の対象になります。
本記事では、心理的瑕疵の具体例と、家やマンションの売却でどう扱われるかを解説します。
心理的瑕疵の意味と読み方
「心理的瑕疵」は「しんりてきかし」と読みます。
建物や土地そのものに欠陥がなくても、過去の出来事のために住むことをためらわせる事情を指す言葉です。
代表的な例は、室内での自殺や殺人といった事件事故、孤独死のあと長期間発見されなかったケース、近隣にある墓地や火葬場、暴力団事務所などの嫌悪施設です。
買主がその事情を知っていたら購入をやめたり、値下げの交渉を持ち出したりする可能性がある場合に、心理的瑕疵として扱われます。
宅地建物取引業法では、売買契約を判断するうえで重要な事項を買主に説明する義務が仲介する不動産会社に課されており、心理的瑕疵に当たる事情もこの説明の対象に含まれます。
心理的瑕疵はこんな場面で出てきます
このマンションの302号室、3年前に故人が室内で亡くなられていて、心理的瑕疵に当たります。
そうなんですか。売るときに黙っていたらだめなんでしょうか。
黙っていると、後から買主さんに売買契約を解除されるおそれがありますので、必ず告知書に書いて伝えますね。
告知すると、査定額の2,800万円より下がってしまうんでしょうか。
下がる可能性はありますが、まずは事情を伝えたうえで購入を検討してくれる買主さんを探しますね。
わかりました。正直に伝えたほうが、あとで揉めなくて安心ですね。
心理的瑕疵と「事故物件」の違い
心理的瑕疵とよく並べて使われる言葉に「事故物件」があります。
事故物件は心理的瑕疵の中でも、人の死が関わる住宅を指す通称として使われることが多く、心理的瑕疵はそれよりも広い概念です。
両者の違いを整理すると次のとおりです。
心理的瑕疵と事故物件の違い
| 項目 | 心理的瑕疵 | 事故物件 |
|---|---|---|
| 指す範囲 | 住むことに抵抗を感じさせる事情全般 | 人の死が関わる住宅の通称 |
| 具体例 | 事件事故、近隣の嫌悪施設、騒音トラブルなど | 自殺・殺人・孤独死があった住戸 |
| 告知義務との関係 | 状況に応じて告知の対象になる | 心理的瑕疵の一種として告知の対象になりうる |
心理的瑕疵は不動産を売るときにどう関わるか
家やマンションを売る売主は、対象の不動産で心理的瑕疵に当たる事情を把握している場合、それを不動産会社に伝える必要があります。
不動産会社は物件状況等報告書などの告知書に事実を記載し、買主へ重要事項説明として伝えます。
ここで事情を隠したまま売買契約を結んでしまうと、あとから買主に売買契約を解除されたり、損害賠償を求められたりする可能性があります。
売主自身がその出来事を直接体験していなくても、前の所有者から聞いて知っている、あるいは近隣で話題になっていることを認識している場合は、伝えるべき事情に含まれることがあります。
事故物件として知られている住戸を売るときの告知義務については、「事故物件の告知義務」で解説しています。
心理的瑕疵の告知の手続きの流れ
心理的瑕疵に当たる事情がある場合、売主から不動産会社への報告、告知書への記載、買主への重要事項説明、売買契約書への特約の明記という流れで進みます。
心理的瑕疵の告知の流れ
売主が知っている事情を伝えます。
物件状況等報告書に事実を書き残します。
仲介する不動産会社が買主に伝えます。
特約として契約書に残し、双方で確認します。
事情を把握した時点で早めに不動産会社へ伝えることが、後のトラブルを避ける手がかりになります。
心理的瑕疵の買取価格への影響と対応の選び方
心理的瑕疵がある不動産は、買主が心理的な抵抗から購入を避けたり、値下げを求めたりすることがあります。
仲介での売却が難しいと感じる場合、心理的瑕疵のある不動産を扱った実績のある不動産会社に相談したり、リースバックや任意売却といった別の方法を検討したりする売主もいます。
告知すべき範囲や、契約後に問題が生じた場合の責任の取り方は事案によって判断が分かれるため、迷う場合は弁護士に相談しておくと安心です。
心理的瑕疵についてよくある質問
Q 心理的瑕疵は何年前の出来事でも告知が必要ですか?
A 告知が必要な期間は決まった年数で区切られているわけではなく、事案の内容や買主が重視する程度によって判断が分かれます。判断に迷う場合は、不動産会社や弁護士に相談して確認しておくと安心です。
Q 近隣の墓地や火葬場も心理的瑕疵になりますか?
A 住むことへの抵抗感につながる事情として、近隣の墓地や火葬場、ごみ処理施設なども心理的瑕疵に含まれることがあります。売買契約の前に、周辺環境として買主に伝えておくと後のトラブルを避けやすくなります。
Q 心理的瑕疵を隠して売った場合、どうなりますか?
A 事情を隠して売買契約を結んでしまうと、あとから買主に売買契約を解除されたり、損害賠償を求められたりする可能性があります。把握している事情は、売買契約を結ぶ前に不動産会社へ伝えておくことが必要です。
Q 心理的瑕疵がある家でも売れますか?
A 心理的瑕疵があっても売却自体は可能です。仲介での売却が難しい場合は、心理的瑕疵のある不動産の取り扱いに慣れた不動産会社への相談や、任意売却といった別の方法を選ぶ売主もいます。
心理的瑕疵のまとめ
心理的瑕疵は、建物に欠陥がなくても住むことへの抵抗感を生む事情であり、把握している場合は買主への告知が必要になります。
隠したまま売買契約を結ぶと、契約後に解除や損害賠償を求められるリスクがあるため、事情は早めに不動産会社へ伝えておくことが欠かせません。
ぜひ本記事の心理的瑕疵の意味と告知の流れを参考に、家やマンションの売却に向けた準備を進めてください。
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