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合筆とは?土地を売却する際のメリットと手続き方法・注意点も解説

相続で受け継いだ土地を登記事項証明書で確認すると、隣り合う同じ敷地なのに地番(ちばん、土地ごとに登記上付けられる番号)が複数に分かれ、別々の筆(ひつ、登記上の土地の単位)として登録されていることがあります。筆が分かれたままだと、買主は境界や面積の確認に手間がかかり、土地の売却交渉が長引く原因になります。

複数の筆を1つにまとめる手続きが合筆(がっぴつ)です。不動産登記法第41条が定める地番区域・地目・所有者などの条件を満たせば、1件の登記申請でまとめられます。

本記事では合筆の要件とメリット、手続きの流れや費用、合筆できない土地を売却する方法を解説します。

この記事はこんな方に向いています

  • 隣接する複数の土地を相続し、そのままでは売りにくいため合筆すべきか迷っている58歳前後の方
  • 介護のため実家近くに引っ越すことになり、分かれた土地をまとめて売却したいが手続きが分からない方
  • 住み替えのために分割された土地を一体で売りたいが、合筆にかかる費用や期間の見通しが立たない方

合筆とは|複数の土地を1つにまとめる不動産登記の手続き

合筆とは、登記簿上で複数に分かれた土地(筆)を1つの土地にまとめる登記手続きです。反対に1つの土地を複数に分ける手続きは分筆(ぶんぴつ)と呼ばれます。合筆も分筆も不動産登記法に基づく登記で、法務局に申請して登記記録を書き換えます。

親から相続した隣り合う2筆の土地を1筆にまとめると、登記事項証明書は1件にまとまり、買主は地番と面積をまとめて確認できるようになります。合筆の前後で地番や土地の扱いがどう変わるかは、次の図のとおりです。

土地A
地番10-1・地目:宅地
+
土地B
地番10-2・地目:宅地
→合筆登記→
合筆後の土地
地番10-1に統一・地積が拡大

図のように、別々の地番だった土地Aと土地Bは、合筆登記によって1つの地番にまとまり、登記簿上も1件の土地として扱われます。

地番が分かれているかどうかは、法務局で登記事項証明書や公図を取得すると確認できます。

相続した土地を合筆するか迷う場面でチェックしたいこと

親から土地を相続すると、登記簿上は何十年も前に分筆された名残で、同じ敷地が3筆や4筆に分かれたままになっていることがあります。筆ごとに地目や地積が記録されているだけで、現地では境界杭も見当たらず、どこからどこまでが自分の土地か分かりにくいケースも珍しくありません。

このような土地をまとめて売却したい場合や、建物を建て替えるために一体の敷地として扱いたい場合に、合筆を検討します。介護や住み替えで実家の土地を早く現金化したいときも、筆が分かれたままだと買主が住宅ローンの審査で担保評価に手間取り、売却までの期間が延びることがあります。

複数の筆に分かれた土地は、固定資産税の課税明細でも筆ごとに金額が記載されています。

不動産登記法第41条が定める合筆の6つの要件

合筆ができるかどうかは、不動産登記法第41条が定める条件で決まります。条件を1つでも満たさない場合は、合筆登記の申請が却下されます。

地番区域・地目・所有者が同じであること

  • 合筆する土地の地番区域が同一であること
  • 地目(土地の用途区分。宅地・田・畑など)が同一であること
  • 所有者が同一であること(共有の場合は共有者と持分も同一)

登記内容や地盤に関する条件

  • 所有権の登記の有無が同一であること
  • 抵当権など担保権の登記内容が同一であること
  • 地盤が連続していること(土地どうしが隣接していること)

相続した土地が複数の筆に分かれている場合、地目が宅地と畑など違っていたり、一部の筆だけに抵当権が残っていたりすると、そのままでは合筆できません。合筆する前に、登記事項証明書で地目や担保権の有無を確認しておく必要があります。

条件を1つでも満たさないと合筆登記は却下されるため、事前の確認を省略しないようにしましょう。

土地の売却を見据えて合筆するメリット

売却活動が進めやすくなる

土地が1筆にまとまっていると、登記事項証明書や公図も1件分で済み、不動産会社は物件情報をシンプルにまとめられます。買主にとっても、境界や面積の確認対象が1つの土地で完結するため、住宅ローンの審査や測量の手続きがスムーズに進みます。

管理や課税の手間が減る

固定資産税の納税通知書は筆ごとに記載されるため、合筆すると課税明細が1件にまとまり、毎年の確認や管理の手間が減ります。相続人の間で将来土地を分ける予定がなければ、合筆しておくことで売却時の書類もシンプルになります。

合筆で書類が1件にまとまると、不動産会社への情報提供もスムーズになります。

分筆や抵当権との関係|土地を合筆するデメリットと注意点

合筆で1筆にまとめた土地は、将来また分けたくなっても自動的には戻りません。改めて分筆登記が必要になり、測量や境界確認の費用と期間がかかります。相続人の間で将来土地を分ける可能性が残っているなら、合筆を急がず、分筆のしやすさも含めて検討する必要があります。

抵当権が設定されている土地どうしを合筆する場合、抵当権の登記の目的・受付年月日・受付番号・登記原因及びその日付がすべて同一(同時に設定された共同担保)でなければ合筆できません。住宅ローンの担保になっている土地は、金融機関や司法書士に事前に相談しておくと、手続きが滞りにくくなります。

合筆したからといって、筆界(ひっかい、登記上の境界線)があいまいなままの問題が解決するわけではありません。隣接地との筆界が未確定なら、合筆や売却の前に土地家屋調査士に筆界確認を依頼しておく必要があります。

抵当権が付いた土地は、合筆の前に金融機関への確認を済ませておくと手続きが滞りにくくなります。

土地家屋調査士に依頼する合筆登記の流れと必要書類

合筆登記は、土地家屋調査士に現況確認を依頼したうえで、法務局に申請する流れが一般的です。

  1. 土地家屋調査士に相談し、登記事項証明書と公図で地番区域・地目・所有者を確認する
  2. 現地で境界標の有無や筆界を確認する
  3. 合筆登記申請書と必要書類を準備する
  4. 法務局に合筆登記を申請する
  5. 登記完了後、登記事項証明書で地番と地積を確認する

合筆登記の申請には、登記識別情報(または登記済証)、所有者の印鑑証明書、委任状などの書類が必要です。共有名義の土地の場合は、共有者全員の実印と印鑑証明書を揃える必要があります。

共有名義の土地は、共有者全員の実印と印鑑証明書が必要になるため早めに準備しましょう。

費用と期間の目安|合筆登記にかかる日数

合筆登記にかかる費用は、法務局に支払う登録免許税と、土地家屋調査士に依頼する場合の報酬に分かれます。登録免許税の金額や非課税の扱いは土地の状況によって異なるため、申請前に法務局か土地家屋調査士に確認しておくと安心です。土地家屋調査士の報酬も、筆数や測量の有無によって差が出るため、複数の事務所から見積もりを取って比較する方法が現実的です。

書類がそろっていれば、法務局への申請から登記完了まで数日から2週間程度で終わることが多いとされますが、繁忙期や書類の不備があれば延びることがあります。正確な費用や期間は、依頼する土地家屋調査士や司法書士に見積もりを確認してください。

費用や期間は土地の状況で差が出るため、複数の専門家に見積もりを取って比較しておきましょう。

要件を満たさない土地を売却する方法と相談先

合筆の条件を満たさない土地でも、売却自体はできます。複数の筆のまま一つの売買契約にまとめて、買主に一括で引き渡す方法が一般的です。ただし、筆ごとに地目や面積が異なると、不動産会社は土地の査定の際に筆ごとの評価を積み上げる必要があり、価格の根拠が分かりにくくなることがあります。

相続した土地を売る流れ全体は相続した不動産を売却する流れで解説しています。合筆を含めた土地の売却手順や費用の全体像は不動産売却の完全ガイドで解説しています。

合筆を急がず、まず売却相場や建築計画への影響を知りたい場合は、複数の不動産会社に土地の査定を依頼して比較する方法もあります。匿名で概算を知りたいときの注意点は匿名査定のデメリットと注意点で解説しています。

合筆の現況調査・筆界確認・登記申請はいずれも土地家屋調査士が担当し、抵当権など権利関係の整理が必要な場合は司法書士が窓口になります。売却の相談は不動産会社と、相談先が分かれます。まず不動産会社に土地の状況を伝え、合筆が必要かどうかの見立てをもらってから専門家に依頼すると、二度手間になりにくくなります。

合筆するか迷ったら、先に不動産会社へ土地の状況を伝えて方針を相談すると二度手間を防げます。

よくある質問

合筆と分筆はどう違いますか。

合筆は複数の土地(筆)を1つにまとめる登記で、分筆は反対に1つの土地を複数に分ける登記です。どちらも不動産登記法に基づく表示に関する登記で、法務局に申請します。

合筆すると地番はどうなりますか。

合筆後の土地は1つの地番にまとまり、元の地番の一部は使われなくなります。どの地番が残るかは登記の手続き上のルールによって決まるため、事前に法務局か土地家屋調査士に確認しておくと安心です。

共有名義の土地でも合筆できますか。

共有者と持分がすべて同じであれば合筆できますが、共有者の構成や持分割合が1つでも異なると合筆できません。相続で共有名義になった土地は、持分を確認してから検討する必要があります。

合筆しないまま売却することはできますか。

合筆しないまま売却できます。複数の筆をまとめて1つの売買契約で引き渡す方法が一般的ですが、筆ごとに面積や地目の確認が必要になるため、合筆した土地より手続きがやや煩雑になることがあります。

合筆の相談は誰にすればよいですか。

境界確認や登記申請の実務は土地家屋調査士、権利関係の整理は司法書士が窓口になります。土地売却を前提に合筆を検討している場合は、先に不動産会社へ相談し、合筆の要否を含めて方針を決めると二度手間になりにくくなります。

合筆とは何かを踏まえた土地売却の進め方

合筆とは、不動産登記法第41条の条件を満たした複数の筆を1つの土地にまとめる登記手続きです。土地をまとめて売却しやすくなる一方、抵当権や筆界未確定の問題が残っていると合筆できないこともあります。条件を満たさない土地でも、複数の筆のまま一括で売却する方法は残されています。ぜひ本記事の合筆の要件や手続きの流れを参考に、土地家屋調査士や不動産会社に早めに相談してください。

出典

  • e-Gov法令検索「不動産登記法」
  • 法務局「不動産登記の手続き(合筆登記)」
  • e-Gov法令検索「土地家屋調査士法」「司法書士法」
  • 不動産登記法第41条6号・不動産登記規則第105条(抵当権付き土地の合筆要件)
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