取引事例比較法とは?不動産査定の事例と調整

近隣で実際に売れた似た物件の価格をもとに、評価する物件の価格を求める方法です。駅からの距離・築年数・広さの違いを加減して調整します。マンションや戸建ての査定で最もよく使われます。
訪問査定を受けて査定書を見ると、「取引事例比較法により算出」といった記載があり、何を根拠にした金額なのか分からず戸惑うことがあります。
これは近隣で実際に売れた似た物件の価格を基準に、駅からの距離や築年数、広さの違いを加減して価格を求める方法で、マンションや戸建ての査定で最も広く使われています。
本記事では、取引事例比較法の意味と、不動産を売るときにこの方法がどう関わるかを解説します。
取引事例比較法の意味と読み方
取引事例比較法は「とりひきじれいひかくほう」と読み、近隣で実際に売買された似た物件の成約価格を基準に、対象の物件を評価する手法です。
同じ地域で条件が近い事例を複数選び、駅からの距離・築年数・広さ・方角などの違いを一つずつ加減して価格を調整していきます。
マンションや戸建てのように似た物件の売買が多い地域では事例を見つけやすく、精度の高い査定につながりやすい方法です。
取引事例比較法はこんな場面で出てきます
査定書のご説明ですが、取引事例比較法で2,480万円としています
この2,480万円って、何を基準に出しているんですか
同じマンションの8階の部屋が半年前に2,550万円で売れた事例です
うちは5階なので、そこは差し引かれているんですか
階数と築年数の差を調整して、70万円ほど引いて算出しました
他の不動産会社にも査定を頼んだら、事例が違って金額も変わりますか
あり得ますね。事例の選び方で数十万円の差が出ることもありますので
じゃあ一括査定で複数社に頼んで、事例の内容も比べてみます
取引事例比較法と原価法・収益還元法の違い
不動産の評価には取引事例比較法のほかに、原価法と収益還元法という考え方があります。どれを使うかは物件の種類によって異なります。
主な評価手法の違い
| 手法 | 考え方 | 主に使う場面 |
|---|---|---|
| 取引事例比較法 | 近隣の売買実例を基準に調整 | マンション・戸建てなど流通量が多い物件 |
| 原価法 | 土地の価格に建物の再調達価格を加える | 事例が少ない建物、注文住宅など |
| 収益還元法 | 将来得られる賃料収入から価格を逆算 | 賃貸マンション・アパートなど投資用物件 |
取引事例比較法は不動産を売るときにどう関わるか
訪問査定を依頼すると、担当者は近隣の成約事例を集め、取引事例比較法で査定額を出します。
ここで選ばれる事例や、階数・築年数の差をどう調整するかによって、同じ物件でも不動産会社ごとに査定額が変わることがあります。
売主としては、査定書に載っている事例がどのマンション・いつ・いくらで売れたものかを説明してもらい、自分の物件と条件がどれだけ近いかを確認することが大切です。
査定額はあくまで売れる可能性が高い価格の見込みであり、実際に買主と合意する金額とは別物です。
この違いについては「実勢価格・時価・査定額の違い」で解説しています。
取引事例比較法の査定書で使われる事例の選び方と調整の目安
取引事例比較法では、直近1年以内に成約した事例を優先して使うのが一般的です。
同じマンション内や同じ町丁目で成約事例があれば、条件が近く精度が高くなります。
事例が見つかった後は、駅からの距離、築年数、専有面積、階数や向きの違いを一つずつ金額に換算し、対象物件の条件に近づけるよう加減します。
事例が古すぎたり、離れた地域のものしかない場合は、調整の幅が大きくなり査定額のばらつきも出やすくなります。
取引事例比較法の依頼するときの手続きと期間の目安
訪問査定は無料で受けられることが多く、現地確認から査定書が届くまで1週間程度が目安です。
1社だけに依頼すると、その会社が選んだ事例や調整の仕方に査定額が左右されます。
そこで、一括査定を使って3〜6社程度に同時に依頼し、それぞれの査定額と、根拠にした事例を見比べる方法があります。
査定額に大きな差がある場合は、担当者に事例の内容を確認し、納得できる説明があるかどうかで売却の依頼先を判断する材料になります。
取引事例比較法についてよくある質問
Q 取引事例比較法で出した査定額のとおりに売れますか。
A 査定額はあくまで参考の見込み額で、実際の売却価格は買主との交渉を経て売買契約で決まります。査定額より高く売れることも、低く決まることもあります。
Q 匿名査定やAI査定でも取引事例比較法は使われますか。
A 匿名査定やAI査定でも、近隣の成約データを基にする点は同じ考え方です。ただし現地を見ずに算出するため、訪問査定と比べると精度は落ちやすくなります。
Q 不動産鑑定評価書とはどう違いますか。
A 不動産会社が作る査定書は無料で受けられる参考資料です。不動産鑑定評価書は不動産鑑定士が有料で作成する専門書類で、相続や裁判など公的な証明力が必要な場面で使います。
Q 近くに似た事例がない土地や特殊な建物でも使えますか。
A 事例が少ない場合は取引事例比較法だけに頼らず、原価法など別の手法を組み合わせて評価することがあります。
取引事例比較法のまとめ
取引事例比較法は、近隣で実際に売れた似た物件の価格を基準に、駅からの距離や築年数などの違いを調整して価格を求める方法で、マンションや戸建ての査定で広く使われています。
どの事例を選び、どう調整するかで査定額に差が出るため、複数の不動産会社に依頼して事例の内容を見比えることが判断の助けになります。
ぜひ本記事の取引事例比較法についての解説を参考に、不動産の売却に向けた査定の依頼を進めてください。
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