不動産鑑定評価書とは?査定書との違いと費用

国家資格者である不動産鑑定士が作成する評価書です。国が定めた基準にもとづくため、裁判や調停で証拠として扱われます。作成費用は有料で、数十万円かかるのが一般的です。
相続した実家の分け方や離婚の財産分与の話し合いで、「不動産の価値を証明する書類を用意してください」と言われて調べている方に向けて書きます。
不動産鑑定評価書は、国家資格者である不動産鑑定士が国の基準にもとづいて作成する評価書で、裁判や調停でそのまま証拠として扱われる点が特徴です。
本記事では、不動産鑑定評価書の位置づけと、不動産の売却の場面でどう関わるかを解説します。
不動産鑑定評価書の意味と読み方
不動産鑑定評価書は「ふどうさんかんていひょうかしょ」と読みます。
不動産鑑定士が、不動産の鑑定評価に関する法律にもとづく鑑定評価基準にしたがって作成する書類で、対象の不動産がいくらの価値を持つかを、取引事例比較法などの手法を使って導き出します。
国家資格者が国の基準に沿って作成するため、裁判所や調停の場でそのまま証拠として扱われる点が、ほかの価格を示す書類とは異なります。
不動産鑑定評価書はこんな場面で出てきます
査定書は無料でお出しできますが、調停で使うなら鑑定評価書が必要かもしれませんね。
兄と実家の評価額で意見が分かれていて、こちらの査定書だと3,200万円なんです。
兄弟間で1,000万円以上差があるなら、不動産鑑定士に鑑定評価書を頼んだほうが話がまとまりやすいですよ。
費用はどれくらいかかりますか。
数十万円ほどかかりますが、調停の証拠として使えますので、今回のケースなら検討する価値がありますね。
分かりました。弁護士にも相談してみます。
不動産鑑定評価書と査定書の違い
不動産の価値を知る方法には、不動産会社が無料で出す査定書、机上査定や訪問査定、匿名査定・AI査定・一括査定などいくつかの手段があります。
これらは不動産会社が売却活動の参考として作る書類で、目的も重みも不動産鑑定評価書とは異なります。
両者の違いは「査定書と鑑定評価書の違い」で詳しく解説しています。
査定書と不動産鑑定評価書の違い
| 項目 | 査定書 | 不動産鑑定評価書 |
|---|---|---|
| 作成者 | 不動産会社 | 不動産鑑定士 |
| 費用 | 無料が多い | 有料(数十万円) |
| 法的な証拠力 | 低い | 裁判・調停で証拠になる |
| 主な用途 | 売却価格の目安 | 遺産分割・離婚・訴訟の証拠 |
不動産鑑定評価書は不動産を売るときにどう関わるか
実際に不動産を売却する場面では、多くの売主にとって不動産会社の査定書だけで十分です。
査定書は無料で、複数の不動産会社に一括査定を依頼して売却相場を把握できるため、通常の売却活動にはこちらで足ります。
ただし、相続した不動産を複数の相続人で分ける遺産分割や、離婚時の財産分与で相手方と評価額が合わない場合は、査定書では説得力が不足することがあります。
こうした場面で不動産鑑定評価書を取得すると、第三者の国家資格者が算出した評価額として、相手方や裁判所・調停委員に対して客観的な根拠を示せます。
売却そのものを進めるための書類ではなく、売却の前後に発生する「取り分の証明」のために使う書類だと考えると位置づけが分かりやすくなります。
詳しくは「不動産鑑定評価書は離婚・相続で必要?」で解説しています。
不動産鑑定評価書の費用・期限・依頼先の目安
不動産鑑定評価書の作成費用は、2026年9月時点で数十万円かかるのが一般的です。
依頼するのは不動産鑑定士(不動産鑑定業者)で、対象不動産の広さや種類、調査の難易度によって費用や作成期間が変わります。
遺産分割調停や離婚の財産分与調停では、提出期限が調停の進行スケジュールで決まるため、依頼から完成まで数週間かかることを踏まえて早めに動く必要があります。
費用をかけてまで取得すべきか迷う場合は、まず不動産会社に査定書を出してもらい、関係者間で評価額の差が大きいときに鑑定評価書の取得を検討する、という順番で判断すると無駄な費用を避けられます。
個別の事案での必要性は、弁護士や司法書士への相談も検討してください。
不動産鑑定評価書についてよくある質問
Q 不動産鑑定評価書は自分で不動産鑑定士に頼めますか?
A 依頼できます。不動産鑑定士協会などで鑑定士を探すか、弁護士や司法書士から紹介を受けて依頼する方法が一般的です。
Q 査定書と鑑定評価書はどちらも取得したほうがいいですか?
A まず不動産会社の査定書で価格の目安を把握し、遺産分割や離婚の話し合いで金額の食い違いが解消しない場合に鑑定評価書の取得を検討する、という順番で進める方が費用を抑えられます。
Q 不動産鑑定評価書があれば必ず希望する価格で売却できますか?
A 鑑定評価書は不動産の価値を証明する書類であり、売却価格そのものを保証するものではありません。実際の売却価格は市場の需要や不動産会社との交渉で決まります。
Q いつ依頼すればいいですか?
A 遺産分割調停や離婚調停の提出期限に合わせて、数週間の作成期間を見込んで早めに依頼することをおすすめします。
不動産鑑定評価書のまとめ
不動産鑑定評価書は、国家資格者である不動産鑑定士が国の基準にもとづいて作成する、裁判や調停で証拠として使える評価書です。
通常の不動産の売却では不動産会社の査定書で十分ですが、遺産分割や離婚の財産分与で評価額が食い違う場面では取得を検討する価値があります。
ぜひ本記事の内容を参考に、不動産の売却や財産分けに向けた準備を進めてください。


