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ローン中の家を貸すのはOK?リスクと売却との比較

転勤の辞令を受け取った、離婚で夫婦のどちらも住み続けられなくなった、収入が減って毎月の返済が重くなった——理由はさまざまでも、住宅ローンが残ったままの家を売らずに貸せないか検討する人は少なくありません。住宅ローンの金銭消費貸借契約には、借主本人またはその親族が居住することを条件とする条項が定められているのが一般的で、無断で第三者に貸し出すと契約違反になる可能性があります。

ただし転勤など一定の事情があれば、住宅金融支援機構の融資(フラット35や財形住宅融資など)には賃貸への変更を認める制度があり、民間金融機関でも個別の相談次第で道が残っています(2026年9月時点)。

本記事では、ローン中の家を貸すときに金融機関との関係で生じるリスクと、売却と比較した場合の判断材料、実際に貸し出すまでの手順を解説します。

この記事はこんな方に向いています

  • 転勤で3年ほど家を離れることになり、ローンが残ったまま賃貸に出せるのか悩んでいる方
  • 離婚後に自宅を手放したくないが月々のローン返済が厳しく、賃貸と売却のどちらが得か比較したい方
  • 住宅ローン特約に違反しないか不安で、金融機関に知られずに貸し出す方法があるか急いで調べたい方

ローン中の家を貸すと住宅ローン契約に違反するのか

住宅ローンは、借主本人や家族が暮らす住宅であることを前提に低い金利が設定されています。多くの金融機関の約款には「居住の用に供すること」といった条件が明記されており、ローン中の家を無断で第三者に貸すと、この条件に反する用法違反とみなされる可能性があります。

違反が発覚するきっかけは、火災保険の契約内容の変更手続き、近隣住民からの連絡、確定申告で不動産所得が把握されることなどです。意図的に隠していても、いずれかの手続きで発覚する可能性は残ります。

住宅ローンの契約書や約款に「居住の用に供する」といった文言があるか、まず確認してください。

発覚した場合に金融機関から科されるリスク

一括返済請求の可能性

用法違反が発覚すると、金融機関は期限の利益を喪失させ、残っているローンの一括返済を請求できる場合があります。実際に即座に一括返済を求められるとは限りませんが、交渉がこじれれば、返済できずに不動産の競売に進むおそれもあります。

火災保険と団体信用生命保険の扱い

住宅用として契約している火災保険は、賃貸に出す場合は賃貸用の契約に切り替える必要があります。切り替えずに事故が起きると、保険金が支払われない可能性があります。団体信用生命保険は用途変更だけで失効することは少ないものの、団体信用生命保険の引受保険会社への申告が必要になる場合があります。

一括返済を求められる事例がすべてではありませんが、発覚後は金融機関との交渉が難航しやすくなります。

転勤でローン中の家を貸す場合の例外と手続き

フラット35の転勤特例

住宅金融支援機構の融資(フラット35や財形住宅融資など)では、転勤など「やむを得ない事情」で一時的に自宅に住めなくなる場合、借入先の金融機関を通じてあらかじめ機構の承認を得ることで、賃貸に出すことが認められる制度があります。無断で貸し出すのではなく、事前に手続きを取る必要があります。

民間金融機関の場合の相談先

民間銀行の住宅ローンは各行の約款によって扱いが異なり、転勤による一時的な賃貸を個別審査で認めるケースもあります。自己判断で貸し出す前に、借入先の金融機関の窓口に相談することが前提です。

転勤でも自己判断で貸し出さず、借入先の金融機関へ事前相談するのが前提です。

離婚でローン中の家を貸す場合に注意したいこと

離婚後にどちらも住み続けない場合、自宅を手放したくない気持ちから賃貸に出す選択肢を考える方もいます。ただし貸し出す前に、ローンの名義人と連帯保証人、財産分与の整理を済ませておく必要があります。

連帯保証人が元配偶者のまま残っていると、賃貸中に滞納が起きた場合に対応を求められることがあります。なお、単独名義でローンを全額完済できる通常の売却であれば、連帯保証人である元配偶者の法的な同意は不要ですが、抵当権抹消手続きなどで元配偶者への説明や協力依頼が実務上必要になる場合があります。一方、不動産が共有名義である場合や、売却額でローンを完済できず任意売却となる場合は、元配偶者の同意が必須となります。家を貸すか手放すか迷う段階で、ローン中の家を売却する方法と注意点も合わせて確認しておくと、比較の材料が増えます。

連帯保証人や名義人の整理をせずに貸し出すと、将来の売却や返済で争いの火種になりかねません。

売却と比較するローン中の家を貸すメリットとリスク

ローン中の家を貸すか売却するかは、月々の資金繰りと将来の見通しをどちらで優先するかで判断が分かれます。

項目貸す場合売却する場合
初期費用賃貸用保険への切替、管理会社への委託費用仲介手数料、抵当権の抹消費用など
月々の収支家賃収入からローン返済と管理費を差し引いた額(入居状況次第で赤字にもなる)売却代金でローン残債を一括清算
空室時の負担家賃が入らずローン返済は自己負担清算後は負担がなくなる
契約上の制約金融機関の承認が必要抵当権抹消の手続きが必要
将来の資産保有を続けられるが管理の手間が続く手放すため値上がり益は見込めない

家賃が入る月と空室で持ち出しになる月の差が大きい賃貸と比べ、売却は一度ローンを清算すれば負担が続きません。不動産売却を選ぶ場合は、不動産売却の流れ・費用・税金を押さえたうえで、匿名査定で営業電話を受けずに売却相場を確認する方法もあります。

賃貸は家賃収入が入る月と空室で持ち出しになる月の差が大きく、資金繰りの見通しを立てにくい点に注意してください。

賃貸に出すまでの手順|ローン中の家を貸す場合の流れ

ローン中の家を貸すと決めた場合、承認を得ないまま進めると後で撤回を迫られることがあるため、次の順番で進めます。

1
借入先の金融機関に相談する
貸し出す事情と期間を伝え、賃貸が可能か確認
2
賃貸への変更承認を得る
フラット35や財形住宅融資などなら、借入先金融機関を通じて機構の事前承認を取得
3
火災保険を賃貸用に切り替える
住宅用のままだと事故時に補償されない場合がある
4
管理会社を選び賃貸条件を決める
家賃・管理委託費・募集条件をすり合わせる
5
入居者を募集し賃貸借契約を結ぶ
入居審査と契約条件の確認を経て契約を締結
6
家賃収入を確定申告する
不動産所得として翌年の確定申告で申告する

承認と保険の切り替えを済ませてから募集を始める流れになっており、途中で順番を飛ばすと、後の手続きが滞ります。

承認前に入居者募集を始めると、後で貸し出しを撤回せざるを得なくなるおそれがあります。

賃貸収入にかかる税金と確定申告の基本

ローン中の家を貸して得た家賃収入は、不動産所得として確定申告が必要です。管理費やローンの利息、減価償却費などを必要経費として差し引いたうえで所得を計算します。給与所得がある方でも、不動産所得が年20万円を超える場合は確定申告が必要になります。

申告を怠ると、後になって延滞税などの負担が増える可能性があるため、貸し出しを始めた年から記帳を続けておくことが前提になります。

確定申告を忘れると、将来の税務調査で延滞税などの負担が増える可能性があります。

よくある質問

金融機関に知られずにローン中の家を貸すことはできますか

火災保険の切り替えや確定申告など、いずれかの手続きで賃貸の事実が把握される可能性があるため、知られずに貸し続けることは難しいと考えておく方が安全です。無断での賃貸は契約違反に当たるため、事前に借入先へ相談することをおすすめします。

転勤から戻ったら自分で住み直せますか

フラット35や財形住宅融資などの転勤特例は一時的な賃貸を前提とした制度のため、転勤期間が終われば自宅に戻って住み直すことができます。民間金融機関の場合も、承認を得た際の条件によって扱いが異なるため、借入先に確認しておく必要があります。

賃貸にすると住宅ローン控除はどうなりますか

住宅ローン控除は本人が居住することを前提にした制度のため、賃貸に出している期間は控除の対象外になる場合があります。適用の詳細は年によって変わることがあるため、最新の内容を税務署や税理士に確認してください。

空室が続いた場合、売却に切り替えることはできますか

賃貸中でも入居者との契約が解消されれば、家の売却に切り替えることは可能です。ただし入居者がいる状態で売却する場合は、買主が賃貸借契約を引き継ぐ形になるため、条件によって売却相場に影響することがあります。

連帯保証人になっている元配偶者の同意は必要ですか

ローンの名義や連帯保証の状態が残っている場合、賃貸に出す判断や将来の家の売却の判断に、元配偶者の同意や協力が必要になる場合があります。離婚時に名義と保証人の整理を済ませておくと、後々のトラブルを減らせます。

ローン中の家を貸す判断のまとめ

ローン中の家を貸すには、金融機関の承認を得ることが前提で、無断で貸し出せば契約違反や一括返済請求のリスクを抱えることになります。転勤であればフラット35や財形住宅融資などの特例、民間ローンであれば個別相談という道が残っていますが、承認の可否は事情によって異なり、空室が続けば家賃収入が入らないまま返済だけが続く可能性もあります。不動産売却であれば一度ローンを清算して負担を終えられる点が、貸す場合との大きな違いです。ぜひ本記事で紹介した手順と比較のポイントを参考に、ご自身の事情に合った選択を進めてください。

出典

  • 住宅金融支援機構「【フラット35】ご利用条件」
  • 住宅金融支援機構「【フラット35】・財形住宅融資における賃貸承認に関するご案内」
  • 国税庁「不動産所得の金額の計算」
  • ノムコム「離婚時の住宅ローンと連帯保証人、売却時の同意に関する解説」(nomu.com)
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