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不動産の競売とは?流れとデメリットを解説

住宅ローンの返済を滞納したまま督促状を放置すると、やがて裁判所から「競売開始決定」という通知が届きます。民事執行法に基づき、裁判所は所有者の意思に関係なく不動産を差し押さえ、入札によって買い手を決めます。

競売で不動産を手放すと、市場価格より低い金額でしか売れず、引渡しの時期も自分で選べません。一方で、任意売却という方法を使えば、裁判所を介さずに自分の意思で売却先や引渡しの時期を決められます。2026年9月時点の制度を前提に説明します。

本記事では、不動産が競売にかけられるまでの流れと、所有者が負うデメリット、競売を避けるための選択肢を解説します。

この記事はこんな方に向いています

  • ローンの返済が滞り競売の通知が届くかもしれない状況にあり、周囲に知られる前に自分でできることを知りたい方
  • 離婚に伴う財産分けで家の処分が進まず、このまま放置すると競売にかけられるのではと時間の切迫を感じている方
  • 売れない家を抱えたまま精神的な余裕がなくなり、競売になった場合の流れとデメリットを今のうちに把握したい方

不動産の競売とは|任意売却との違い

不動産の競売とは、住宅ローンなどの借金を返せなくなった人の不動産を、裁判所が強制的に売却する手続きです。住宅ローンの場合は通常、抵当権(ていとうけん=借金の担保として不動産に設定された権利)に基づく「担保不動産競売」という形で進みます。債権者である金融機関の申立てを受けた裁判所が不動産を差し押さえ、入札によって買い手を決める点が、所有者自身が買い手を探す一般的な不動産売却と大きく異なります。

裁判所が行う強制的な売却手続き

民事執行法では、裁判所が不動産を差し押さえたあと、執行官による現況調査と評価人による評価を経て売却基準価額を定め、入札や開札といった一連の手続きを経て買受人を決めることが定められています。所有者の希望する価格や引渡しの時期は手続きに反映されません。

自分の意思で売れる任意売却との違い

任意売却は、競売の申立てが行われる前後であっても、金融機関の同意を得たうえで所有者自身が不動産会社を通じて買い手を探す方法です。市場価格に近い金額で売れる可能性があり、引渡しの時期について買主と相談できる点が競売との大きな違いです。

競売になるかどうかの境目は「申立て前に動けたか」です。通知が来ていなくても、滞納が続いているなら早めに動いたほうが選択肢が残ります。

差押えから売却まで|不動産競売にかけられる流れ

不動産競売は、滞納の発生から買受人への引渡しまで、おおむね半年から1年程度、場合によってはそれ以上かかります。次の図は、一般的な担保不動産競売の進み方を示したものです。

1
住宅ローンの滞納
3〜6か月程度の滞納で督促が本格化
2
金融機関による一括請求
期限の利益を失い残債全額の返済を求められる
3
裁判所への競売申立てと差押え
「競売開始決定」の通知が所有者に届く
4
執行官による現況調査・評価人による評価
自宅への訪問調査が行われる場合がある
5
売却基準価額の決定と期間入札
裁判所が定めた価額をもとに一般から入札を募る
6
開札・買受人決定と引渡し
所有者は決められた期日までに退去する必要がある

通知から引渡しまで複数の手続きを経るため、通知が届いた段階で動き始めれば、途中まで進んでいても任意売却へ切り替えられる余地が残っています。

任意売却への切り替えは、競売の開札期日の前日まで行えるとされていますが、手続きが進むほど準備の時間は少なくなります。

売却価格と生活への影響|不動産競売のデメリット

不動産の競売には、所有者にとって無視できないデメリットがあります。価格面と生活面の2つに分けて確認します。

売却価格が市場価格より低くなる

民事執行法では、裁判所が定める売却基準価額をもとに、買受可能価額(買受けの申出ができる最低額)は売却基準価額からその10分の2を控除した金額以上と定められています。売却基準価額自体が市場での取引価格より低く設定される傾向があるため、競売で落札される金額は市場価格を下回りやすくなります。落札金額が残債を下回れば、所有者はローンの残債を抱えたまま不動産を失うことになります。

引渡し時期やプライバシーを選べない

競売の手続きでは、買受人が決まった後の引渡し期日も裁判所の手続きに従うため、所有者が引渡しの時期を交渉する余地はほとんどありません。また、執行官による現況調査では近隣への聞き取りが行われることがあり、事情を周囲に知られずに進めたい方にとっては大きな負担になります。

落札価格が残債に届かないケースは珍しくありません。残った債務の支払い方法も含めて早めに相談してください。

競売を避けるための不動産売却の選択肢

競売の申立てが行われる前であれば、所有者自身の意思で不動産を売却する道が残っています。代表的な方法が任意売却で、金融機関の同意を得たうえで不動産会社に依頼し、市場価格に近い金額での売却を目指します。売却代金で残債を返しきれない場合でも、残りの支払い方法について金融機関と話し合いながら進められる点が競売との違いです。

家の名義が共有になっている場合や、相続で得た家が対象になっている場合は、売却に必要な書類や査定書の取り方が通常と異なります。相続した不動産の査定書を取る際の手順は相続で不動産の査定書が必要なときの取り方で解説しています。名義の整理に時間がかかる場合ほど、早めに不動産会社へ相談することが競売を避ける第一歩になります。

任意売却は金融機関の同意が前提のため、申立て前に相談を始めるほど交渉の余地が残ります。

離婚で家の処分が進まないときに競売リスクが高まる理由

離婚に伴う財産分けで家の処分が決まらないまま、どちらもローンの返済を続けられない状態が続くと、滞納から競売の申立てに進むリスクが高まります。家が夫婦の共有名義になっている場合、片方の意思だけでは売却を進められず、話し合いが長引くほど滞納の期間も延びます。

この場合も、離婚の協議と並行して不動産会社に売却の相談を始めれば、調停の結論が出る前に売却の準備を進められます。配偶者に知られずに相場感だけを先に把握したいときは、匿名で依頼できる査定の仕組みを使う方法もあります。

共有名義の家は、名義人全員の同意がないと売却できません。協議が進まないなら、まず名義の確認から始めてください。

届いた通知で分かる不動産競売の進行状況

裁判所から届く通知の種類によって、手続きがどこまで進んでいるかを確認できます。「競売開始決定」の通知が届いた段階では、まだ現況調査や入札が行われていないため、任意売却への切り替えが検討できます。一方で「期間入札」の通知が届いている場合は、すでに買受希望者の募集が始まっている段階で、残された時間はかなり少なくなっています。

通知の内容が分からないまま放置すると、気づかないうちに入札が進んでしまうこともあるため、通知が届いた時点で日付や手続きの名称を確認し、できるだけ早く不動産会社や弁護士へ相談することが重要です。

通知書に記載された期日は手続きの進行を示す重要な情報です。見落とさずに控えておいてください。

誰にも知られずに不動産売却を進める方法

競売を避けたい場面では、まず自分の家の売却相場だけを静かに確認したいという方が多くいます。複数の不動産会社へ一度に情報が伝わる一括査定の仕組みを使うと、営業電話が集中して周囲に知られるきっかけになることがあります。匿名で売却相場の目安だけを確認できる査定の仕組みと一括査定との違いは匿名査定と一括査定の違いで解説しています。

匿名査定にも注意点があり、正式な売却の相談に進む段階では氏名や物件情報を明らかにする必要があります。匿名査定のデメリットや上手な使い方は匿名査定のデメリットと注意点で解説しているので、売却相場を確認する段階と、正式に相談する段階を分けて進めると、必要以上に周囲へ事情が伝わるのを防げます。

売却相場を知る段階と、実際に売却を依頼する段階を分けて動くと、知られたくない事情を抱えたまま進めやすくなります。

よくある質問

競売の通知が届いても、まだ住み続けられますか

通知が届いた段階ではまだ住み続けられます。ただし開札後に買受人が決まると、裁判所の手続きに従って引渡しの期日が設定され、所有者はその期日までに退去する必要があります。

競売の通知が届いたら、すぐに引っ越す必要がありますか

すぐに引っ越す必要はありません。通知が届いた段階は手続きの入口にあたるため、この時点で任意売却への切り替えを相談すれば、引渡しの時期をある程度調整できる可能性があります。

競売になると信用情報に影響しますか

住宅ローンの滞納自体が信用情報機関に登録される対象となり、競売の有無にかかわらず一定期間、新たな借入れが難しくなる場合があります。詳しい影響については金融機関や弁護士に確認することをお勧めします。

競売を避けるために残された時間はどれくらいですか

滞納の状況や通知の種類によって異なりますが、「競売開始決定」の通知が届いた段階であれば、任意売却への切り替えを検討する時間が一定程度残っています。通知の種類が進むほど時間は少なくなるため、早めの相談が重要です。

離婚後も自分名義のローンが残っている場合、どうなりますか

離婚後も住宅ローンの名義人として返済の義務を負い続けます。相手が住み続けている家であっても、ローンの返済が滞れば名義人である自分の信用情報に影響し、競売の申立てが行われる可能性があります。

不動産競売を避けるために知っておきたいこと

不動産の競売は、住宅ローンの滞納から始まり、差押え、現況調査、入札を経て買受人に引渡されるまで、裁判所の手続きに従って進みます。市場価格より低い金額で売却され、引渡しの時期も自分で選べない点が、所有者にとって大きなデメリットです。申立てが行われる前であれば、任意売却をはじめとした選択肢がまだ残っています。ぜひ本記事の流れとデメリットの整理を参考に、通知が届いた時点で早めに不動産会社へ相談してください。

出典

  • e-Gov法令検索「民事執行法」
  • e-Gov法令検索「民事執行法」第57条・第58条
  • 一般社団法人全国任意売却協会「任意売却の流れは?ステップと任意売却のタイムリミットを解説!」
  • 一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室「任意売却の期限はいつ?」
  • 不動産売却HOME4U「住宅ローン滞納するとどうなる?」
  • 「競売の流れと期間を図解!住宅ローン滞納から強制執行までは1年以上」
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