戸建て買取の相場とメリット・デメリットを解説
子の独立を機に築35年の戸建てを売却しようとすると、仲介での成約まで平均して3〜6か月程度の期間がかかり、買い手が見つかるまで固定資産税や維持管理の負担が続き、住み替え資金の確保も先延ばしになります。
不動産会社が直接購入する戸建て買取であれば、契約から1週間〜1か月程度で現金化でき、買取価格は仲介での売却相場の7〜8割程度が目安です(2026年9月時点)。
本記事では戸建て買取の売却相場とメリット・デメリット、仲介との違いを解説します。
この記事はこんな方に向いています
- 築35年の戸建てを子の独立を機に手放したいが、仲介より早く売れる買取の相場が分からず比較検討している方
- 初めて自宅を売却するにあたり査定に出すと売却を迫られる気がして身構えながら、買取のメリット・デメリットを調べている方
- 住み替え資金を急いで確保する必要があり、買取と仲介どちらが自分に合うのか判断材料を探している45歳会社員の方
戸建て買取とは|仲介と何が違う売却方法なのか
戸建て買取とは、不動産会社が買主となって戸建てを直接購入する売却方法です。仲介のように個人の買主を探す必要がなく、不動産会社の査定額に合意すれば売買契約を結び、引き渡しまで進みます。
一方、仲介は不動産会社と媒介契約を結び、不動産会社が買主を探して広告を出し、レインズ(指定流通機構が運営する不動産情報交換システム)に物件情報を登録して広く買主を募る方法です。買主が見つかるまで期間が読めず、内覧対応や近隣への情報公開も避けられません。
買取と仲介のどちらを選ぶかは、戸建てを売却する目的が「早さ」か「価格」かによって変わります。両者の違いは仲介と買取どっちがいい?違いとメリット・デメリットでも解説しています。
買取は不動産会社が直接の買主になるため、仲介のように内覧対応や近隣への周知を気にせず進められます。
売却相場はいくら?戸建て買取と仲介の価格差の目安
戸建て買取の価格は、仲介で売却した場合に想定される価格の7〜8割程度が目安とされています(2026年9月時点)。不動産会社は買い取った戸建てをリフォームして再販するため、工事費や販売までの保有コスト、利益を見込んで査定額を提示するためです。
| 想定仲介価格 | 買取価格の目安 | 差額 |
|---|---|---|
| 2000万円 | 1400万〜1600万円 | 400万〜600万円 |
| 3000万円 | 2100万〜2400万円 | 600万〜900万円 |
| 4000万円 | 2800万〜3200万円 | 800万〜1200万円 |
※不動産売却における買取・仲介価格の一般的な傾向をもとに作成した想定例です(2026年9月時点)
買取で得た戸建ての売却代金も、仲介で売却した場合と同じく譲渡所得税や登記費用などの諸費用がかかるため、提示された買取価格の全額が手元に残るわけではありません。
※戸建てを3000万円で売却・長期譲渡・特別控除適用なしの概算例(2026年9月時点)
上の図のとおり、長期譲渡(譲渡した年の1月1日時点で所有期間5年超の譲渡)で特別控除の適用がない概算例では、売却代金のうち税金と諸費用で約25%が差し引かれ、手元に残るのは75%程度です。実際の税額は所有期間や特例の適用で変わるため、税理士や不動産会社に確認してください。
買取価格を提示された時点の数字だけで判断せず、税金や諸費用を引いた後の手取り額で比較することをおすすめします。
早く売れる|戸建て買取のメリット
売却までの期間が大幅に短い
仲介では買主が見つかるまで平均して3〜6か月程度かかりますが、戸建て買取は不動産会社との交渉がまとまれば契約から1週間〜1か月程度で引き渡しが完了します。住み替えの資金を急いで確保したい場合や、相続した戸建てを早く現金化したい場合に向いています。
仲介手数料がかからない
仲介で売却すると、宅地建物取引業法で定められた上限(売買価格が400万円を超える場合は売買価格×3%+6万円(速算式)、消費税別)の仲介手数料が発生します。戸建て買取は不動産会社が直接の買主となるため、この仲介手数料がかかりません。
契約不適合責任を免除されるケースが多い
仲介で個人に戸建てを売却すると、引き渡し後に見つかった雨漏りや構造の不具合について、民法上の契約不適合責任(売買契約の内容に適合しない欠陥があった場合の売主の責任)を問われることがあります。買取では不動産会社が現状のまま購入し、この責任を免除する条件を契約に盛り込むことが多く、引き渡し後のトラブルを避けやすい点もメリットです。
築年数が古く、雨漏りや傾きなど気になる箇所がある戸建てほど、契約不適合責任を免除できる買取の利点が大きくなります。
価格が下がる仕組み|戸建て買取のデメリットと注意点
戸建て買取の最大のデメリットは、仲介での売却相場より価格が下がる点です。前のセクションで示した7〜8割という目安は、立地や建物の状態によってさらに下がることもあり、提示された価格が適正かどうかは複数の不動産会社に戸建ての査定を依頼して比較しないと判断できません。
また、買取を扱う不動産会社の数は仲介に対応する不動産会社ほど多くなく、1社だけの査定額で決めると売却相場より低い価格で手放してしまうリスクがあります。訪問査定(担当者が現地を見て行う査定)の前に、まず匿名査定(個人情報を入力せずに価格のおおよその目安を知る方法)で複数社の傾向をつかんでおくと、提示された価格の妥当性を判断しやすくなります。
買取価格の提示は1社だけで決めず、最低でも2〜3社に戸建ての査定を依頼して比較することをおすすめします。
向いている物件・向いていない物件|一戸建て買取の判断基準
買取に向いている戸建て
築年数が古く大規模なリフォームが必要な戸建て、再建築不可の土地に建つ戸建て、相続した戸建てを早く現金化したい場合などは、一戸建て買取に向いています。仲介では買主が見つかりにくく売却までの期間が長期化しやすい戸建てほど、買取で早期に現金化できる利点が大きくなります。
仲介が向いている戸建て
駅から近い、学区の評価が高いなど立地条件が良く、売却までの期間に余裕がある戸建てであれば、仲介で時間をかけて買主を探したほうが高値で売却できる可能性があります。1981年6月以降に建築確認を受けた新耐震基準の戸建ては、個人の買主からも人気が高く、仲介向きといえます。
立地や建物の状態によって向き不向きが変わるため、両方の方法で不動産会社に査定を依頼して価格を比べてから判断してください。
売却までの期間と戸建て買取の流れ
戸建て買取の流れは、おおむね次の4段階で進みます。
- 不動産会社に戸建ての査定を依頼する(数日程度)
- 買取価格の提示を受け、条件を確認する(数日〜1週間程度)
- 売買契約を締結する
- 引き渡しと売却代金の受領(契約から1〜4週間程度)
全体で契約から引き渡しまで1週間〜1か月程度が目安で、仲介の平均3〜6か月と比べて大幅に短縮できます。
住み替えの引っ越し日が決まっている場合は、契約から引き渡しまでの期間を不動産会社に早めに伝えておくと調整しやすくなります。
買取を依頼する不動産会社の選び方|行政処分歴や実績を確認するポイント
買取を依頼する不動産会社を選ぶときは、宅地建物取引業の免許番号と行政処分歴を確認します。国土交通省の「ネガティブ情報等検索システム」で、監督処分を受けた不動産会社の名称と処分内容を検索できます。
また、買取価格は不動産会社によって差が出やすいため、1社に絞らず複数社から戸建ての査定を取り、金額と条件を比べることが大切です。営業電話を避けたい場合は、匿名査定から始めると個人情報を入力せずに価格のおおよその目安をつかめます。匿名査定と一括査定(複数社へ一度に査定を依頼する方法)の違いは匿名査定と一括査定の違い|営業電話なしで相場を知る使い分けで解説しています。匿名査定は価格の精度が落ちる面もあり、詳しい注意点は匿名査定のデメリットと注意点|メリットと上手な使い方も解説で解説しています。
行政処分歴は国土交通省のサイトで誰でも確認できるため、売買契約の前に一度調べておくと安心です。
戸建てを少しでも高く買取してもらうためにできること
戸建ての買取価格を少しでも上げるには、売却前の大規模なリフォームを避けることが基本です。買取では不動産会社が再販時にまとめてリフォームするため、個人で先に工事費をかけても買取価格に反映されにくく、かけた費用が戻らないことがあります。
不動産売却に必要な書類(登記簿謄本、固定資産税の納税通知書、建築確認書類など)を早めに揃えておくと、査定から契約までの手続きが滞りにくくなります。また、同じ戸建てでも不動産会社によって再販の得意なタイプが異なるため、複数社に戸建ての査定を依頼して提示額を比較することが、買取価格を上げるもっとも実践的な方法です。
リフォームをするか迷ったら、先に不動産会社へ相談し、買取価格に反映されるかどうかを確認してから判断してください。
よくある質問
一戸建て買取は仲介よりどれくらい早く売れますか?
仲介では買主が見つかるまで平均3〜6か月程度かかりますが、戸建て買取は契約から1週間〜1か月程度で引き渡しが完了することが多く、住み替えや相続の期限が迫っている場合に向いています。
戸建て買取の価格は仲介よりどれくらい下がりますか?
買取価格は仲介での売却相場の7〜8割程度が目安です(2026年9月時点)。立地や建物の状態、不動産会社によって差が出るため、複数社に戸建ての査定を依頼して比較することをおすすめします。
戸建てを査定に出すと買取を断れなくなりますか?
戸建ての査定はあくまで価格の目安を知るための手続きで、提示された金額に納得できなければ断れます。査定の申し込みは売却を迫られる場ではないため、複数社の査定結果を比較してから判断してかまいません。
築35年を超えた古い戸建てでも買取してもらえますか?
築年数が古く、大規模なリフォームが必要な戸建てや再建築不可の土地に建つ戸建ても、買取を扱う不動産会社であれば購入の対象になることが多いです。現状のまま購入し、契約不適合責任を免除する条件を付けられる場合もあります。
一戸建て買取と仲介のどちらを選べばいいか迷ったときは?
不動産売却を急ぐ事情があるか、価格を優先したいかで判断します。期間に余裕があり高値での売却を望むなら仲介、早期の現金化や手続きの簡便さを優先するなら買取が向いています。両方に戸建ての査定を依頼して提示された価格と期間を比べると判断しやすくなります。
戸建て買取の売却相場とメリット・デメリットのまとめ
戸建て買取は、仲介での売却相場の7〜8割程度の価格になる一方、契約から1週間〜1か月程度で現金化でき、契約不適合責任を免除する条件を付けやすい売却方法です。早さを優先するなら買取、価格を優先するなら仲介が向いており、どちらが合うかは戸建ての状態や売却を急ぐ事情によって変わります。ぜひ本記事の売却相場の目安とメリット・デメリットを参考に、複数の不動産会社に戸建ての査定を依頼して、ご自身の状況に合った売却方法を選んでください。
出典
- 国土交通省「ネガティブ情報等検索システム」
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」
- e-Gov法令検索「民法」
- 公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏中古戸建住宅の成約状況」
- 国税庁 措置法第31条《長期譲渡所得の課税の特例》(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/joto-sanrin/050228/05.htm)
- 国土交通省告示に基づく宅地建物取引業者の報酬額の制限に関する解説
