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不動産売却で起こりやすいトラブルと対策まとめ

不動産を売る契約を結んだあとに、買主から契約不適合責任(けいやくふてきごうせきにん、引き渡した物件が契約の内容と違っていた場合に売主が負う責任)を問われる通知が届いたり、依頼した不動産会社との連絡がかみ合わなくなったりする例は珍しくありません。不動産売却のトラブルの多くは、媒介契約の内容確認、レインズへの登録状況、契約不適合責任の範囲を書面で事前に取り決めておくことで防げます。離婚やローンの残債、売れない家を抱えた事情があっても、進め方の順序を押さえれば周囲に知られずに手続きを進めることは可能です。本記事では不動産売却で起こりやすいトラブルの種類と、契約前・契約中・引き渡し後の各段階で取るべき対策を解説します。

この記事はこんな方に向いています

  • 離婚に伴い不動産を売ろうとしているが、周囲に知られずに進めたい中でトラブルに遭わないか不安な方
  • ローンの残債が残る家の売却で時間の切迫があり、起こりやすいトラブルと対策を先に知って備えたい方
  • 売れない家を抱えたまま精神的な余裕がなくなる中、売却時のトラブルをどう回避すればいいか確認したい方

不動産売却で起こりやすいトラブルの全体像|契約前・契約中・引き渡し後

不動産売却のトラブルは、発生する時期によって原因が変わります。契約前は不動産会社との認識のずれ、契約中は買主との条件交渉、引き渡し後は物件の不具合をめぐる申し出が中心です。どの段階で何が起きやすいかを先に把握しておくと、それぞれの場面で確認すべき書類や質問が分かります。

媒介契約を結ぶ前に起こりやすいすれ違い

不動産売却を依頼する不動産会社を決める段階では、査定価格の根拠が曖昧なまま高めの数字を提示され、実際の売却活動では価格を下げざるを得なくなるケースがあります。査定価格と売却相場の差を自分で確認するには、複数社の査定を比較するほか、匿名査定・AI査定の精度と使い方を知っておくと、営業担当者の説明を鵜呑みにせずに判断できます。

売買契約から決済までに起こりやすいトラブル

買主との条件交渉では、手付解除の期限や契約不適合責任の範囲があいまいなまま契約書に押印し、後から「聞いていなかった」という行き違いが生じることがあります。重要事項説明書と売買契約書の内容は、署名前に不動産会社へ質問して解消しておく必要があります。

引き渡し後に発覚する不動産売却後のトラブル

引き渡しが終わったあとに雨漏りやシロアリの被害が見つかり、買主から修補や損害賠償を求められる不動産売却後のトラブルも多く報告されています。売主が知っていた不具合を告知していなかった場合、契約不適合責任の対象になり得るため、気づいている不具合は売却前にすべて不動産会社へ伝えておくことが対策になります。

トラブルの多くは「どの段階で」「誰に」確認すべきだったかを押さえれば防げます。不安な点は契約前に文書で残しておきましょう。

離婚に伴う不動産売却で注意したいトラブルと対策

離婚を理由に不動産を売る場合、名義が夫婦の共有になっていることが多く、売却には共有者全員の同意と署名が必要です。どちらか一方が連絡を拒んだり、売却自体に反対したりすると、話し合いがまとまらないまま時間だけが過ぎるトラブルが起こります。不動産会社とのやり取りをどちらか一方の窓口に限定し、内覧の日程調整や書類のやり取りも窓口経由に統一すると、相手方との接触を減らしながら手続きを進められます。

周囲に知られたくない事情がある場合は、チラシやインターネット広告に物件情報を大きく出さない販売方法を選べる不動産会社もあります。査定の段階で相場感をつかみたいだけなら、氏名や住所を入力せずに概算を得られる匿名査定から始めると、相手方や近隣に知られるリスクを抑えられます。

共有名義の不動産は一方の意思だけでは売却できません。話し合いが難航するなら、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

ローン残債が残る家を売るときに起こりやすいトラブル

住宅ローンが残っている家を売るときは、抵当権(ていとうけん、ローンの担保として不動産に設定される権利)を抹消するために、売却代金でローンを完済できるかどうかが最初の分かれ目になります。売却価格がローン残債を下回るオーバーローンの状態では、自己資金で差額を補うか、債権者の同意を得て売却を進める任意売却を検討する必要があります。この手続きを知らずに契約を進めてしまい、決済直前になって抵当権を抹消できないと判明するトラブルが起こりがちです。

任意売却では、売却代金の配分や引っ越し費用の扱いについて債権者と事前に合意しておかないと、決済当日に話が食い違うことがあります。督促が続いている状況であれば、任意売却を決める前に債権者へ連絡し、任意売却を検討している旨を伝えておくと、交渉の時間を確保しやすくなります。

オーバーローンかどうかは、ローン残高証明書と査定価格を並べれば早い段階で分かります。先に確認しておきましょう。

売れない家・契約不成立で起こりやすい不動産売却のトラブル

内覧の申し込みが来ないまま数か月が過ぎると、不動産会社の販売活動に疑問を持つ方が増えます。ここで起こりやすいのが「囲い込み」と呼ばれるトラブルです。これは、自社で買主も見つけて仲介手数料を両方から得るために、他社から来た購入希望者の紹介をあえて断る行為で、売却期間が不自然に長引く原因になります。

一般媒介契約を結んだ場合、不動産会社にはレインズへの登録義務がありませんが、専任媒介契約・専属専任媒介契約を結んだ場合は登録義務が生じます。登録の有無を確認したい場合は、不動産会社から交付される登録証明書を見せてもらうことで把握できます。詳しい登録ルールはレインズとは?不動産売却での登録義務で解説しています。

内覧の件数と問い合わせ件数を毎月報告してもらう約束をしておくと、販売活動が滞っていないか自分でも確認できます。

引き渡し後に多い契約不適合責任のトラブル

民法第566条により、引き渡した不動産が契約の内容と異なっていた場合、買主は不適合を知った時から1年以内に売主へ通知すれば、修補や代金減額、場合によっては契約解除を求めることができます。この責任は、売主が不具合を知らなかった場合でも発生することがあるため、「言わなくても分からないだろう」という判断は売却後のトラブルに直結します。

中古住宅の売買では、契約不適合責任の期間を引き渡しから3か月程度に限定する特約を結ぶことが一般的ですが、特約の内容は契約書ごとに異なります。雨漏りやシロアリ被害、給排水設備の不具合など気づいている点は、売却前に売主の告知書へすべて記載しておくことが、引き渡し後のトラブルを避ける最も確実な方法です。

告知書に書かなかった不具合は、後から「知らなかった」と主張しても通らないことがあります。迷ったら書いておきましょう。

不動産会社とのトラブルを避けるための媒介契約の確認点

不動産会社との間で起こるトラブルの多くは、媒介契約のタイプと報告義務を理解していないことから始まります。契約を結ぶ前に、どのタイプがどの程度の制約を伴うのかを知っておくと、後から「こんなはずではなかった」という事態を避けられます。

媒介契約の3つのタイプ

媒介契約には、複数の不動産会社に同時に依頼できる一般媒介契約、1社にのみ依頼する専任媒介契約、専任媒介契約よりもさらに自己発見取引ができない専属専任媒介契約の3タイプがあります。専任・専属専任は不動産会社からの販売状況の報告義務がある一方、売却を他社に相談しにくくなる制約も伴います。

レインズへの登録義務

宅地建物取引業法では、専属専任媒介契約は契約締結の翌日から休業日を除いて5日以内、専任媒介契約は7日以内にレインズへ登録する義務が定められています。一般媒介契約には登録義務がありません。登録されているかどうかは、登録証明書の交付を受けて確認できます。売却の流れ全体を先に押さえたい方は、不動産売却の完全ガイドで流れ・費用・税金をあわせて解説しています。

媒介契約のタイプは途中で変更しにくいので、依頼する前に報告の頻度と登録義務の有無を確認しておきましょう。

相談から引き渡しまでの不動産売却の手順と注意するタイミング

トラブルを避けるには、どの段階で何を確認すべきかをあらかじめ知っておくことが近道です。次の図は、相談から引き渡しまでの流れと、各段階で起こりやすいトラブルの確認ポイントを示したものです。

1
売却相談と売却相場の確認
匿名査定やローン残高証明で、オーバーローンの有無を把握
2
不動産会社の選定と媒介契約の締結
媒介契約のタイプと報告頻度を確認
3
レインズ登録と販売活動の開始
登録証明書の交付と内覧件数の報告を受ける
4
売買契約の締結
重要事項説明と契約不適合責任の範囲・期間を確認
5
決済・引き渡し
抵当権抹消とローン残債の精算を完了
6
引き渡し後の対応
契約不適合責任の期間中は買主からの連絡に備える

各ステップの確認を怠った箇所から、不動産売却のトラブルは発生しやすくなります。特に3と4の間で登録証明書や契約不適合責任の条件を確かめておくと、後の段階での行き違いを減らせます。

各段階の確認事項を一覧にして手元に残しておくと、不動産会社とのやり取りで聞き漏らしを防げます。

不動産売却のトラブルが起きたときの相談先

不動産会社の対応に疑問がある場合や、契約内容をめぐって買主と折り合いがつかない場合は、最寄りの国民生活センターや市区町村が設置する消費生活センターが相談窓口になります。不動産売買トラブルは消費者センターでも多く扱われている相談分野で、無料で相談できるほか、必要に応じて専門の相談員から助言を受けられます。

媒介契約や重要事項説明の内容そのものに疑問がある場合は、都道府県の宅建業担当課や、各地の宅地建物取引業協会の相談窓口でも対応しています。売却前に気になる点を洗い出しておきたい方は、不動産売却の注意点|トラブルを避けるポイントもあわせて確認しておくと備えになります。

一人で抱え込まず、早い段階で第三者の窓口に相談することで、解決までの時間を短縮できることがあります。

よくある質問

離婚で不動産を売る場合、相手に知られずに進めることはできますか

共有名義であれば売却には相手方の同意と署名が必要ですが、窓口を一方に限定し、広告の出し方を工夫できる不動産会社を選ぶことで、周囲への告知を最小限に抑えることは可能です。

ローンの残債がある家でも売却できますか

売却代金で完済できれば問題なく家を売却できます。完済できないオーバーローンの状態でも、債権者の同意を得る任意売却という方法で売却を進められる場合があります。

内覧が来ないまま数か月が経っています。不動産会社を疑うべきですか

すぐに断定はできませんが、他社からの紹介を断る囲い込みが起きている可能性もあります。レインズの登録証明書と、内覧・問い合わせの件数を報告してもらい、状況を確認してください。

引き渡し後に不具合が見つかったら、いつまで責任を負いますか

契約書に定めた契約不適合責任の期間内であれば、修補や代金減額を求められる可能性があります。中古住宅では引き渡しから3か月程度に期間を限定する特約が一般的ですが、契約書の記載が優先されます。

不動産会社とのトラブルはどこに相談できますか

最寄りの消費生活センターや国民生活センター、都道府県の宅建業担当課、宅地建物取引業協会の相談窓口が利用できます。無料で相談できる窓口が多いので、早めに連絡することをおすすめします。

不動産売却のトラブルを避けるためのまとめ

不動産売却のトラブルは、契約前の媒介契約の確認、契約中の重要事項説明と契約不適合責任の範囲の確認、引き渡し後の告知義務の履行という3つの段階で、ほとんどの原因が説明できます。離婚やローン残債、売れない家といった事情があっても、段階ごとに確認すべき点を押さえておけば、周囲に知られずに手続きを進めることも、トラブルを未然に防ぐことも可能です。ぜひ本記事の手順とチェックポイントを参考に、ご自身の事情に合った不動産売却を進めてください。

出典

  • e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」
  • e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」
  • e-Gov法令検索「民法」第566条
  • 国土交通省「標準媒介契約約款」
  • 国民生活センター「不動産の売買契約に関する相談」
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