マンション売却で失敗する原因と対策を解説
マンション売却の失敗事例を検索すると、査定額より大きく下回る価格でしか売れなかった話や、内覧対応を誤って成約まで半年以上かかった話が出てきます。住宅ローンの残債が売却額を上回る「オーバーローン」のまま売却を進め、抵当権(ていとうけん=住宅ローンの担保として不動産に設定される権利)を抹消できず契約が白紙になった例もあります。
こうした失敗の多くは、査定額の根拠を確認しないまま値付けをしたことや、ローンの残債と売却額の関係を事前に整理しなかったことが原因です。複数の不動産会社に査定を依頼して売却相場を把握し、残債の金額と売却スケジュールを照らし合わせれば、同じ失敗は避けられます。
本記事では、マンション売却で失敗が起きやすい場面と、離婚やローンの残債を抱えた状態でも損を抑える対策を解説します。
この記事はこんな方に向いています
- 42歳、ローン残債のあるマンションを人に知られず売却したいが、値付けを誤って買い手がつかない事態を恐れている方
- 離婚に伴う財産分与の期限が迫るなか、売却方法を間違えて損をした知人の話を聞き不安になっている方
- 内覧や仲介のやり取りで失敗した経験がある人の話を読み、自分の売却では同じ轍を踏みたくないという方
マンション売却で失敗が起きやすい場面|査定額と売却額のギャップ
不動産会社が出すマンションの査定額は、過去の取引事例や現在の売却相場をもとにした参考値であり、実際に成約する売却価格と一致するとは限りません。査定額を高く提示する不動産会社に媒介契約を任せた結果、売却活動が長期化し、最終的に売却相場より低い価格まで値下げして成約したというマンション売却失敗事例は珍しくありません。
仲介手数料の上限は、売買価格が400万円を超える場合「売買価格×3%+6万円」に消費税を加えた金額と宅地建物取引業法で定められており、売却価格が下がればこの仲介手数料も目減りします。査定額の根拠を複数社で比較し、売却相場に近い価格で売り出すことが、最初の分かれ目になります。
マンション売却でつまずきやすい基本的なポイントはマンション売却の注意点で解説しています。
査定額はあくまで参考価格です。根拠となる類似事例を必ず確認してください。
内覧対応と仲介会社とのやり取りで見るマンション売却失敗事例
マンション売却失敗ブログを読むと、内覧対応と仲介会社とのやり取りに関する後悔が目立ちます。
内覧時に印象を落とす失敗
内覧の予定を直前に変更したり、室内の荷物を片付けないまま案内したりすると、購入希望者の印象が下がり、提示される価格そのものが下がる場合があります。生活感を抑えた状態で内覧に臨むことは、成約までの期間を左右します。
仲介会社とのコミュニケーション不足による失敗
媒介契約の種類によって、不動産会社から受け取る販売状況の報告頻度は異なります。専任媒介契約や専属専任媒介契約では定期報告の義務がありますが、一般媒介契約では報告義務がないため、販売状況を自分から確認しないまま時間だけが過ぎてしまうことがあります。
一般媒介契約では報告義務がない分、定期的な進捗確認を自分から依頼してください。
離婚による財産分与の期限とマンション売却の失敗リスク
離婚に伴う財産分与では、マンション売却の完了までに期限が設定されている場合があります。
分与期限に間に合わない売却スケジュール
マンション売却は査定から引き渡しまで数か月かかることが一般的で、調停の進行と売却活動のスケジュールがずれると、分与の期限に間に合わなくなるおそれがあります。早い段階で不動産会社に相談し、引き渡し可能な時期の見通しを立てておくことが必要です。
名義とローン残債の整理不足
マンションの名義が夫婦の共有になっている場合、売却には名義人全員の同意が必要です。住宅ローンの残債が残っていれば、売却代金で一括返済できるかどうかも事前に確認しておかないと、売買契約の段階で手続きが止まってしまいます。
財産分与でいくら手元に残るかはマンション売却で手元に残る金額の計算方法で解説しています。
共有名義の場合、片方が連絡を取れない状態になると売却自体が止まります。早めに意思確認をしてください。
住宅ローンの残債があるマンション売却で失敗しないための選択肢
住宅ローンの残債がある状態でのマンション売却では、残債と売却額の関係を把握しないまま動くと、契約直前で資金計画が崩れることがあります。
アンダーローンとオーバーローンの違い
売却額が残債を上回る状態を「アンダーローン」、下回る状態を「オーバーローン」と呼びます。アンダーローンであれば売却代金で残債を完済し、抵当権を抹消して引き渡せます。オーバーローンの場合は、自己資金で不足分を補うか、任意売却を検討する必要があります。
任意売却を検討するタイミング
任意売却は、住宅ローンの返済が滞る前後に不動産会社や金融機関と相談しながら進める売却方法です。滞納が続くと金融機関による差し押さえの手続きに進む場合があるため、残債が売却額を上回ると分かった時点で早めに相談することが、選択肢を狭めないために重要です。
残債と売却額の関係は、次の図で確認できます。
YESであれば通常のマンション売却で進められますが、NOの場合は任意売却や自己資金での補填を早めに検討する必要があります。
売却全体の流れや売却にかかる費用の内訳は不動産売却の完全ガイドで解説しています。
残債の金額は金融機関の返済予定表で確認できます。売り出し前に必ず取り寄せてください。
値付けを誤ってマンション売却が長期化する失敗パターン
売り出し価格を売却相場より高く設定すると、問い合わせや内覧の件数が伸びず、売却活動が長期化します。長期化した物件は「売れ残り」という印象を与えやすく、結果として売却相場より大きく値下げしないと成約しないマンション売却失敗事例につながります。反対に、早く売りたいという事情だけで売却相場より低い価格を付けると、本来得られたはずの売却額を手放すことになります。売却相場に近い価格で売り出し、反応を見ながら2〜3週間単位で見直す進め方が、長期化と値下げ幅の両方を抑えます。
値下げは一度にまとめて行うより、反応を見ながら段階的に調整した方が印象を損ないにくくなります。
誰にも知られずに進めたい方へ|匿名査定とマンション売却の限界
周囲や勤務先、場合によっては配偶者にも知られずにマンション売却を進めたいという事情を抱える方は少なくありません。匿名査定やAIを使った査定は、物件情報を入力するだけで概算の売却額が分かる手軽さがありますが、実際の間取りや設備、管理状態までは反映されないため、訪問査定の結果と大きく差が出ることがあります。
匿名査定だけで価格を決めて売り出すと、実際の内覧で指摘された修繕箇所などを理由に値下げ交渉が入り、当初の想定より売却額が下がる場合があります。不動産会社を1社に絞って相談する前に、匿名査定で複数社の概算額を比較し、信頼できそうな不動産会社に絞ってから訪問査定を依頼する進め方であれば、周囲に知られる範囲を抑えながら精度の高い査定額に近づけます。
匿名査定の仕組みと限界は匿名査定・AI査定の精度の限界と使い方で解説しています。
匿名査定の金額は目安にとどめ、最終判断は訪問査定の結果で行ってください。
先輩の後悔談とマンション売却失敗ブログから学ぶ注意点
マンション売却失敗ブログに書かれている後悔の多くは、価格設定・内覧対応・不動産会社とのやり取り・ローン残債の整理という、ここまでに挙げた4つの場面に集中しています。複数の体験談を読むと、特定の不動産会社や特定の方法が悪いというより、確認すべき情報を確認しないまま次の工程に進んでしまった点が共通しています。
離婚やローンの残債といった事情があっても、査定額の根拠、残債と売却額の関係、売却スケジュールの3点を早い段階で確認しておけば、マンション売却失敗事例の多くは避けられます。
体験談は参考程度にとどめ、ご自身の残債や期限に合わせて確認する順番を決めてください。
よくある質問
任意売却を選ぶと、周囲や勤務先に知られてしまいますか。
任意売却自体は通常のマンション売却と同じように不動産会社が仲介して進めるため、売り出し中であることが周囲に知られる可能性は通常の売却と変わりません。ただし、競売(けいばい)に進んだ場合は裁判所の手続きが公開情報となるため、任意売却として早めに動くほど、知られる範囲を抑えやすくなります。
離婚の財産分与の期限に売却が間に合わなかった場合はどうなりますか。
調停や裁判で定められた期限に売却が間に合わない場合、分与方法そのものを見直す必要が出てきます。マンションの売却が難しければ、片方が単独名義で取得して代償金を支払う代償分割(だいしょうぶんかつ)など、売却以外の分け方も含めて早めに話し合っておくことが必要です。
査定額と実際の売却額が大きく違うのはなぜですか。
査定額は過去の取引事例や売却相場から算出した参考値で、実際の内覧での印象や交渉の結果によって売却額は変動します。複数の不動産会社に査定を依頼し、査定額の根拠となる類似事例を確認しておくと、実際の売却額との差を小さくできます。
マンション売却失敗事例でよく挙げられる値付けのミスを避けるにはどうすればよいですか。
売り出し直後の問い合わせ件数や内覧の反応を見ながら、2〜3週間ごとに価格を見直す方法が有効です。売却相場より大きく外れた価格のまま様子見を続けると、長期化して値下げ幅がさらに広がる場合があります。
オーバーローンの状態でもマンションを売却できますか。
売却額だけでは住宅ローンの残債を完済できない場合でも、自己資金で不足分を補えば通常のマンション売却として進められます。自己資金での補填が難しいときは、金融機関の同意を得て残債を残したまま売却する任意売却が選択肢になります。
マンション売却の失敗を防ぐためのチェックポイント
マンション売却の失敗の多くは、査定額の根拠・残債と売却額の関係・売却スケジュールという3つの確認不足から起きています。離婚やローンの残債といった事情があっても、早い段階でこれらを整理しておけば、マンション売却失敗事例として語られるような後悔は避けやすくなります。ぜひ本記事のチェックポイントを参考に、ご自身の状況に合った売却の進め方を検討してください。
出典
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」
- e-Gov法令検索「民法」
