家の買取相場はいくら?仲介との価格差を解説
家の買取について検索すると、不動産会社が直接買い取るため数週間で現金化できるという情報と、仲介で売るより価格が下がるという情報が同時に表示されます。買取価格は仲介で売ったときの取引価格の目安(売却相場)に対して、一般的に7〜8割程度にとどまる水準で提示されることが多く、価格差の理由が分からないまま検索結果だけが積み上がっていきます。
価格差が生じるのは、不動産会社が買い取った家を自社でリフォームして再販するための経費や利益、在庫を抱えるリスク分をあらかじめ差し引いて価格を提示するためです。仲介のように広く買主を探す時間をかけずに不動産会社自身が買主になるため、契約不適合責任(けいやくふてきごうせきにん、売った後に欠陥が見つかった場合の売主の責任)を免除する条件が付くことも、価格に反映されます。
本記事では、家の買取相場と仲介価格との差がどのくらいになるか、匿名で調べる方法とあわせて解説します(本記事の金額例は2026年9月時点の制度にもとづきます)。
この記事はこんな方に向いています
- すぐに現金化できる買取という方法があると知り、仲介との価格差がどれくらいか営業電話なしで知りたい48歳の方
- 買取なら早く売れると聞いたが実際の相場感がつかめず、個人情報を渡す前に自分で目安を確認したい方
- 家をまだ売る決断はしていないが、買取なら仲介よりどれくらい安くなるのか事前に把握しておきたい方
家の買取相場とは|仲介価格とどれくらい差があるか
家の買取とは、不動産会社が買主となって家を直接購入する売却方法です。個人の買主を探す仲介と違い、不動産会社自身が代金を支払うため、査定額に納得できればすぐに売買契約へ進めます。
買取価格の目安は、仲介で売ったときの取引価格(売却相場)に対して7〜8割程度にとどまることが多く、同じ家でも数百万円単位の差が出る場合があります。差額の大きさは立地や築年数、建物の状態によって変わるため、まず仲介での売却相場を把握したうえで、買取価格と見比べることが欠かせません。仲介と買取の判断基準は仲介と買取どっちがいい?違いとメリット・デメリットで解説しています。
買取価格は不動産会社ごとに差が出やすいので、1社だけの提示額を売却相場と思い込まないよう注意してください。
不動産会社が家の買取価格を安く提示する理由
不動産会社が買取価格を仲介相場より低く設定するのは、買い取った家を再販するまでの経費とリスクを自社で負担するためです。リフォームや解体の費用、再販までの間にかかる固定資産税や金利の負担、価格が下がるリスクをあらかじめ織り込んで査定額を決めています。
さらに、買取では契約不適合責任を免除する契約が一般的です。仲介で個人が買主になる場合、引き渡し後に雨漏りやシロアリ被害が見つかると売主が責任を問われることがありますが、買取ではこうした責任を負わずに済む分、価格が調整されます。
契約不適合責任を免除する契約かどうかは、契約書の条文で確認してください。
営業電話なしで家の買取相場を調べる方法
買取相場を知るために不動産会社へ連絡すると、その後の営業電話に時間を取られることがあります。個人情報を渡す前に、次の2つの方法で価格の目安をつかめます。
匿名査定で価格帯を把握する
匿名査定は、住所の詳細や電話番号を登録せずに、物件の所在地や広さ、築年数などの条件だけで価格帯を確認できる仕組みです。一括査定のように複数の不動産会社から一斉に連絡が来る心配がなく、買取価格と仲介価格の両方の目安を比較しやすい点が特徴です。匿名査定と一括査定の違いは匿名査定と一括査定の違い|営業電話なしで相場を知る使い分けで解説しています。
公的データで取引価格の水準を確認する
国土交通省が公開している不動産取引価格情報検索では、実際に成約した取引事例を地域や築年数別に調べられます。匿名査定の結果と公的データを見比べることで、提示された買取価格が仲介相場に対してどの程度の水準にあるか判断しやすくなります。
匿名査定の結果は会社ごとに幅が出るので、2〜3社分の価格帯を見比べてから判断してください。
坪単価から見る家の買取価格の目安
家の買取価格を検討するときは、土地と建物を分けて坪単価(1坪=約3.3平方メートルあたりの価格)で確認すると、他の物件と比較しやすくなります。買取の場合、建物が古いほど建物部分の評価が下がり、解体を前提に土地の坪単価だけで査定されることも珍しくありません。
坪単価の出し方や売却価格との関係は坪単価とは?不動産売却価格の目安の出し方で解説しています。周辺の売却相場動向をあわせて確認したい場合はマンション価格の相場を調べる方法と今後の動向も参考になります。
築古の戸建ては建物の評価がほぼゼロになることもあるので、土地の坪単価を中心に比較してください。
買取で売った家の手取り額の内訳
買取で得た売却代金からも、仲介と同じく譲渡所得税や諸費用が差し引かれます。譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超える長期譲渡の場合、譲渡所得税と住民税を合わせた税率は20.315%(復興特別所得税を含む)です。3000万円特別控除などの特例が使えない前提で、3000万円の家を売却した場合の内訳の目安を示します。
※3000万円で買取成立・長期譲渡・控除適用なしの概算例(2026年9月時点)
買取で得た3000万円の売却代金でも、譲渡所得(利益)に対して20.315%が課税され、概算取得費を用いた場合は税金と諸費用で約20%前後が差し引かれ、手元に残るのはおよそ80%前後にとどまる計算です。
買取では不動産会社自身が買主になるため、仲介のように売主が仲介手数料(売買価格400万円超の場合、売買価格×3%+6万円+消費税が上限)を支払う必要がありません。この仲介手数料がかからない分は、買取価格が仲介相場より低くても手取り額の差を縮める要素になります。
譲渡所得税は所有期間や特例の適用で大きく変わるので、確定申告前に税理士へ確認してください。
家の買取と仲介、どちらを選ぶべきか
買取と仲介のどちらが向くかは、不動産売却を急ぐ事情があるかどうかで変わります。
早く現金化したい場合
住み替えのローン返済や相続税の納付期限が迫っている場合、仲介で買主を探す数か月の時間を取れないことがあります。買取であれば不動産会社との交渉がまとまり次第、短期間で引き渡しと代金の受け取りまで進められます。
価格を優先したい場合
不動産売却を急ぐ事情がなく、少しでも高い価格で売りたい場合は、仲介で複数の個人の買主に向けて売りに出す方が、買取よりも高い価格で売れる可能性があります。ただし、買主が見つかるまでの期間は数か月から半年以上かかることもあり、その間の固定資産税や管理の手間は売主が負担します。
返済期限や納税期限がある場合は、仲介で売り出す期間も見込んで早めに動き出してください。
買取を選ぶ前に確認したい注意点
買取を選ぶ場合も、提示された価格をそのまま受け入れる前に確認しておきたい点があります。
契約不適合責任を免除する契約内容になっているか、引き渡しの時期や代金の支払い方法に希望が反映されているかは、契約書の条文で確認します。また、1社の提示額だけで判断すると、売却相場より低い価格で合意してしまうことがあるため、複数の不動産会社から買取価格を提示してもらい、仲介に出した場合の査定額と見比べたうえで決めることが望ましいといえます。
提示価格の根拠(近隣の取引事例や建物診断の結果)を書面で説明してもらうと比較しやすくなります。
よくある質問
家の買取相場は仲介相場に対してどれくらい安くなりますか?
一般的に、仲介で売ったときの取引価格に対して7〜8割程度の水準で買取価格が提示されることが多いとされています。ただし立地や建物の状態によって差が大きく、個別に買取査定を受けないと正確な金額は分かりません。
営業電話を受けずに買取価格の目安を知る方法はありますか?
匿名査定を使うと、住所や電話番号を詳しく登録せずに、物件の条件だけで価格帯を確認できます。複数の不動産会社へ個人情報を渡す一括査定とは仕組みが異なるため、営業電話を避けたい場合に向いています。
買取では仲介手数料はかかりませんか?
買取は不動産会社自身が買主になるため、仲介手数料は発生しません。売買価格400万円超の仲介取引で発生する「売買価格×3%+6万円+消費税」という上限額も、買取では支払う必要がありません。
築年数が古い家でも買取してもらえますか?
築年数が古く建物の評価がほぼない家でも、土地の価値を中心に買取対象になることが多くあります。解体を前提とした価格提示になる場合は、建物部分の評価がほとんど反映されない点に注意してください。
買取を断って仲介に切り替えることはできますか?
買取価格の提示を受けた段階で契約前であれば、仲介に切り替えることは可能です。複数の不動産会社から買取価格と仲介での査定額の両方を確認したうえで、契約を結ぶ前に比較検討してください。
家の買取相場と仲介価格の差を踏まえた判断
家の買取価格は、仲介で売ったときの取引価格に対して7〜8割程度にとどまることが多く、再販コストや契約不適合責任の免除分が価格差として反映されます。営業電話を避けながら価格の目安を知りたい場合は匿名査定を使い、公的な取引価格情報とあわせて確認することで、提示された買取価格が妥当かどうか判断しやすくなります。ぜひ本記事の買取相場の調べ方と仲介との価格差を参考に、自分の家に合った売却方法を選んでください。
出典
- 国税庁「土地や建物を売ったときの税金(譲渡所得の計算のしかた)」
- 国税庁 No.3202「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」
- 国税庁 No.3258「取得費が分からないとき」
- 国土交通省「不動産取引価格情報検索」
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」
