世田谷区の不動産売却相場|取引事例と価格動向
「世田谷区の家、実際いくらで売れるんだろう」——ポータルサイトで近所の売り出し価格を眺めても、そこに出ているのは"売主が希望している価格"です。
実際に成約した金額とは開きがあることが多く、見ているうちにかえって分からなくなる、という声は少なくありません。
結論から言えば、相場は公的な成約データからかなり具体的に把握できます。
国土交通省の不動産情報ライブラリには、世田谷区で実際に取引が成立した価格が蓄積されており、2021〜2025年の5年間で18,253件分のデータが確認できます。
広告価格ではなく成約ベースなので、手取りの目安を考えるうえで現実的です。
この記事では、世田谷区の物件種別ごとの価格中央値、中古マンション価格の5年間の推移、二子玉川・三軒茶屋・下北沢・成城といった主要エリアごとの傾向の違い、価格を左右する要素、売却にかかる費用と税金、そして相場を自分の物件に当てはめる手順までを整理します。
読み終えたときに「自分の家はだいたいこのあたり」と言える状態を目指します。
記事監修者情報

株式会社グランクルー
代表取締役 加瀬 健史(カセ タケシ)
不動産業界歴20年以上宅地建物取引士
世田谷エリアを中心に不動産売却の実績500件以上。査定から引渡しまでの一連の実務に加え、相続・住み替え・離婚に伴う売却など、事情の異なる売主それぞれの相談に幅広く対応し、売却実務に多くの知見を持つ。
世田谷区の不動産売却相場(物件種別ごとの中央値)
まず全体像です。
世田谷区で2021〜2025年に成約した取引から、物件種別ごとの価格の中央値を整理すると次のようになります。
| 物件種別 | 価格の中央値 | 参考㎡単価 | 面積の中央値 |
|---|---|---|---|
| 中古マンション | 約5,600万円 | 約93.8万円/㎡ | 約60㎡ |
| 一戸建て(土地建物) | 約8,900万円 | — | 約100㎡ |
| 土地(宅地) | 約9,200万円 | 約80.0万円/㎡ | 約120㎡ |
出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」取引価格情報・成約価格情報(2021〜2025年/世田谷区、18,253件)をもとに作成。
個別価格は立地・築年数・状態により変動します。
ここで使っているのは平均値ではなく中央値です。
平均値は一部の極端に高額な取引(大型邸宅や広い敷地の土地など)に引っ張られて実感より高く出やすいのに対し、中央値は「ちょうど真ん中の取引」を示すため、多くの売主にとって体感に近い数字になります。
中古マンションの中央値が約5,600万円、面積の中央値が約60㎡。
つまり世田谷区の中古マンション市場の中心は、2LDK〜3LDKの実需向け住戸だということが読み取れます。
㎡単価は約93.8万円で、単純計算でも60㎡なら5,000万円台後半という水準です。
一戸建ては約8,900万円、面積の中央値は約100㎡。
土地(宅地)は約9,200万円で、面積の中央値は約120㎡、㎡単価は約80.0万円です。
一戸建てより土地のほうが中央値が高いのは、取引されている土地の面積の中央値が一戸建てより広いことが影響していると考えられます。
土地は建物価値の減価がない分、面積がそのまま価格に反映されやすい性質もあります。
注意していただきたいのは、これらは区全体を均した数字だということです。
世田谷区は面積が広く、成城のような高級住宅地から、下北沢のような商業と住宅が混ざるエリアまで性格が大きく異なります。
区全体の中央値は「出発点」として使い、そこから自分のエリア・物件条件で補正していく流れが実務的です。
区全体の中央値は方向感をつかむための目安です。
世田谷区は駅ひとつ違うと空気が変わるので、まずは種別、次にエリアで絞って見ていきましょう。
世田谷区の中古マンション価格の推移(2021〜2025年)
次に、価格が動いてきた方向を確認します。
中古マンションの中央値を年ごとに並べると、5年間で一貫して上昇していることが分かります。
| 年 | 価格の中央値 | 参考㎡単価 |
|---|---|---|
| 2021年 | 約5,200万円 | 約85.0万円/㎡ |
| 2022年 | 約5,400万円 | 約90.0万円/㎡ |
| 2023年 | 約5,700万円 | 約96.8万円/㎡ |
| 2024年 | 約5,800万円 | 約100.0万円/㎡ |
| 2025年 | 約6,000万円 | 約103.7万円/㎡ |
出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」(2021〜2025年/世田谷区・中古マンション)をもとに作成。
出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」(2021〜2025年/世田谷区・中古マンション)をもとに作成。
2021年の約5,200万円から2025年の約6,000万円へ、中央値で約800万円の上昇です。
㎡単価でも約85.0万円から約103.7万円へと動いており、2024年に100万円台へ乗っています。
上昇が特定の1年に偏らず毎年続いている点が特徴です。
この背景としては、建築資材費や人件費の上昇による新築価格の上昇、それに伴う中古住宅への需要の移動、都心へのアクセスと住環境を両立する世田谷区への継続的な住宅需要などが挙げられます。
ただし将来の値動きは金利や景気に左右されるため、この上昇が今後も続くと見通すことはできません。
過去の推移として読むべきものです。
売主として実務的に意味があるのは、「数年前に調べた相場感が今の水準と違う可能性がある」という点です。
相続で取得したときの評価額や、10年前に近所が売った金額を基準に考えていると、実勢とずれることがあります。
売却を検討するなら、直近1〜2年の成約データを見るのが基本になります。
「昔聞いた金額」で判断されている方は本当に多いです。
相場は動くものなので、まずは直近の成約データで現在地を確認するところから始めてください。
世田谷区の主要エリア別に見る相場の傾向
世田谷区は東急田園都市線・東急大井町線・東急世田谷線・小田急線・京王線などが走り、駅ごとに街の性格が違います。
区全体の中央値をそのまま自分の物件に当てはめると、上下どちらにもずれやすいので、エリアの位置づけを押さえておきましょう。
二子玉川・用賀(田園都市線・大井町線)
商業施設と多摩川沿いの環境が揃い、区内でも人気の高いエリアです。
駅前の再開発以降、ファミリー層の流入が続いており、マンションの需要が厚い傾向があります。
駅からの距離と眺望・階数で価格差が出やすいエリアでもあります。
詳しくは二子玉川の不動産売却相場|取引事例と売り時で整理しています。
三軒茶屋・池尻(田園都市線・世田谷線)
渋谷まで数分という利便性が強みで、単身・DINKS向けのコンパクトマンションから戸建てまで幅広い需要があります。
商業エリアと住宅街が近接しているため、同じ「三軒茶屋」でも路地一本で環境評価が変わります。
下北沢・代沢(小田急線・京王井の頭線)
小田急線の地下化に伴う線路跡地の整備で、街の回遊性が変わったエリアです。
文化的な街の個性が強く、若い層からの人気も高い一方、区画が細かく敷地形状に制約のある土地も見られます。
成城・祖師谷・砧(小田急線)
成城は敷地規模の大きい邸宅街として知られ、地区計画や建築協定によって街並みが維持されています。
一区画が広いため取引価格の水準は区全体より上に出やすい一方、購入できる層が限られるため買い手の母数は絞られます。
祖師谷・砧は生活利便性と落ち着いた住環境のバランスが取れたエリアです。
→世田谷区成城の不動産売却相場|高級住宅地の動向/世田谷区砧・祖師谷の不動産売却相場
加えて世田谷区では、学区が住宅選びの判断材料になるケースもあります。
人気の学区や公園・スーパーへの近さは、同じ駅距離でも評価に差を生む要素です。
この点は世田谷区の人気エリアは高く売れる?相場の傾向で掘り下げています。
世田谷区は同じ駅でも坂の有無や前面道路の幅で評価が動きます。
エリア名だけで決めつけず、現地の条件と合わせて見るのがおすすめです。
世田谷区の不動産売却で価格を左右する要素
同じ世田谷区内、同じ広さでも成約価格に差が出ます。
主な要因を整理します。
駅距離と路線
徒歩何分かは、マンションでも戸建てでも影響の大きい条件です。
特に世田谷区は複数路線が走るため、乗り入れ先(渋谷・新宿など)と本数、急行停車駅かどうかも評価に関わります。
バス便中心のエリアでは、駅距離より周辺の生活利便や住環境の評価が相対的に強くなる傾向があります。
築年数と管理状態(マンション)
マンションは築年数だけでなく、管理組合の運営状況、修繕積立金の残高、大規模修繕の実施履歴が買主の判断材料になります。
築年が経っていても管理が良好で計画的に修繕されている物件は評価を保ちやすく、逆に積立金不足や長期修繕計画の未整備は懸念材料になります。
管理関係の書類は早めに揃えておくと商談がスムーズです。
土地の形状・接道・法規制(戸建て・土地)
整形地か不整形地か、間口の広さ、接道の幅員(4m未満でセットバックが必要かどうか)、建ぺい率・容積率、高度地区や地区計画の制限。
世田谷区は古くからの住宅地で細街路が多く、再建築の条件が価格に直結します。
私道の場合は持分や通行・掘削の承諾も確認事項になります。
建物の状態と築年数(戸建て)
木造戸建ては築年が進むと建物の評価が下がり、実質的に土地の価値に近づいていきます。
一方、耐震基準や設備の状態によっては「そのまま住める中古」として評価されることもあります。
築年数別の考え方は世田谷区の一戸建て売却相場|築年数別の目安で詳しく触れています。
売り出しのタイミングと期間
春・秋の住み替え需要が動く時期は問い合わせが増えやすい一方、競合物件も増えます。
また、長期間売れ残ると「何か問題があるのでは」と見られ、値下げ交渉の材料にもなりやすい。
最初の価格設定を相場から大きく離さないことが、結果的に手取りを守ることにつながります。
接道と再建築の条件は、世田谷区の戸建て・土地で価格差が生まれる一番のポイントです。
図面と登記簿を先に確認しておくと話が早く進みます。
世田谷区の不動産売却にかかる費用・税金
相場を把握したら、次は手取りです。
売却価格がそのまま残るわけではないので、差し引かれるものを押さえておきましょう。
主な費用
仲介手数料
宅地建物取引業法に基づく上限が定められています(売買価格が400万円を超える場合は、売買価格×3%+6万円+消費税が速算式による上限)。上限であり、この額になるとは限りません。
- 印紙税:売買契約書に貼付。契約金額に応じた額です。
抵当権抹消の登記費用
住宅ローンが残っている場合に必要。司法書士報酬を含みます。
測量費・境界確定費用
土地や戸建てで境界が不明確な場合に発生することがあります。世田谷区の古い住宅地では、隣地との境界確認が必要になるケースがあります。
解体費・残置物処分費
古家を解体して土地として売る場合や、家財を残して引き渡せない場合。
- 引越し費用・ハウスクリーニング:住み替えの場合。
税金(譲渡所得税)
売却して利益(譲渡所得)が出た場合、所得税・住民税がかかります。
譲渡所得は「売却価格 −(取得費+譲渡費用)」で計算し、所有期間5年超なら長期譲渡、5年以下なら短期譲渡として税率が変わります。
ただし、自分が住んでいた家を売る場合には「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」が使える可能性があります。
相続した空き家を売る場合の特例など、条件を満たせば税負担が大きく変わる制度もあります。
適用要件は細かいので、国税庁のタックスアンサーで確認し、判断に迷う場合は税務署や税理士に相談するのが確実です。
また、取得費が分からないケース(相続で取得し、購入時の契約書が見つからない等)では概算取得費として売却価格の5%で計算する扱いがあり、結果として譲渡所得が大きくなることがあります。
古い売買契約書や領収書は、価値のある資料として探しておく意味があります。
購入時の契約書が見つかるかどうかで税額が変わることがあります。
売却を考え始めた段階で、まず書類の有無を確認しておいてください。
世田谷区の相場を自分の物件に当てはめて査定する方法
ここまでの数字を、自分の物件の目安に変換する手順です。
手順1:不動産情報ライブラリで近隣の成約事例を絞り込む
国土交通省の不動産情報ライブラリで、世田谷区を指定し、物件種別(中古マンション/宅地/戸建て)と期間(直近1〜2年)で絞り込みます。
路線・駅からの検索も可能なので、自分の最寄り駅で見るとより近い事例が取れます。
表示されるのは実際に取引が成立した価格なので、広告価格より現実的です。
手順2:㎡単価に換算して比較する
総額のままでは面積差が混ざって比較しにくいので、㎡単価に直します。
たとえば世田谷区の中古マンションは2025年の㎡単価の中央値が約103.7万円。
70㎡の住戸なら単純計算で7,000万円台前半という目安になります。
ここから、駅距離・築年数・階数・向き・管理状態で上下に補正していきます。
手順3:条件差を補正する
近隣事例のうち、自分の物件と条件が近いものを3件程度選び、違う条件(築年数が5年新しい、駅から3分近い、南向き、など)を書き出します。
この差が、事例価格から自分の物件に寄せる際の調整幅になります。
上下ともに幅を持たせて「〜万円〜〜万円」というレンジで捉えるのが実務的です。
手順4:机上査定で数字を突き合わせる
自分で出したレンジと、不動産会社の査定額を突き合わせます。
訪問を受けずに図面と登記情報などから概算を出す机上査定なら、近所に動きを知られる心配も少なく進めやすい。
まだ売ると決めていない段階でも、情報だけ先に集めておく方は少なくありません。
査定額に差が出たときは、金額の大小より「なぜその金額なのか」の説明を比べてください。
どの事例を根拠にしたのか、どの条件をどう評価したのかを具体的に示せる会社の数字のほうが、実際の成約に近い可能性があります。
反対に、根拠なく高い金額を提示されると、売り出してから値下げを重ねることになりがちです。
査定は金額だけでなく根拠の説明を比べてください。
どの事例を使ってどう補正したかを聞けば、その数字の確かさが見えてきます。
世田谷区の不動産売却相場に関するよくある質問
Q 世田谷区の中古マンションの売却相場はいくらですか?
A A. 2021〜2025年の成約データでは価格の中央値が約5,600万円、㎡単価の中央値が約93.8万円、面積の中央値が約60㎡です。
直近の2025年だけを見ると中央値は約6,000万円、㎡単価は約103.7万円となっています(出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」)。
Q 世田谷区の一戸建てと土地では、どちらの相場が高いのですか?
A A. 中央値では土地(宅地)が約9,200万円、一戸建て(土地建物)が約8,900万円です。
ただし取引されている面積の中央値が土地は約120㎡、一戸建ては約100㎡と異なるため、単純に「土地のほうが高い」とは言えません。
面積条件を揃えて比較する必要があります。
Q なぜ平均値ではなく中央値を見るのですか?
A A. 平均値は一部の高額取引に引っ張られ、実感より高く出やすい傾向があります。
世田谷区のように邸宅街と一般的な住宅街が混在するエリアでは特にその影響が出ます。
中央値は取引の真ん中を示すため、多くの売主にとって現実的な目安になります。
Q ポータルサイトの売り出し価格を相場の参考にしてよいですか?
A A. 参考にはなりますが、売り出し価格は売主の希望額であり、成約価格とは差が出ることが多いです。
手取りの見通しを立てるなら、不動産情報ライブラリの成約価格情報など、実際に取引が成立した価格を基準にするほうが確実性が高いと考えられます。
Q 世田谷区の相場はこの先も上がり続けますか?
A A. 2021年の約5,200万円から2025年の約6,000万円へと中古マンションの中央値は上昇してきました。
ただし今後の値動きは金利や景気、供給量に左右されるため、この傾向が続くと見通すことはできません。
過去の推移として捉え、判断は直近データで行うのが現実的です。
Q 近所に知られずに相場を調べることはできますか?
A A. できます。
不動産情報ライブラリは誰でも無料で閲覧でき、机上査定であれば現地に看板を出したり訪問を受けたりせずに概算を確認できます。
売ると決める前に情報だけ集めておきたいという方は少なくありません。
Q 相続した世田谷区の実家を売る場合、相場の見方は変わりますか?
A A. 相場の見方自体は同じですが、税金の扱いが変わります。
取得費が分からない場合は概算取得費(売却価格の5%)で計算する扱いがあり、譲渡所得が大きくなることがあります。
相続空き家に関する特例の要件も含め、国税庁の情報で確認してください。
世田谷区の不動産売却相場で押さえるべきポイント
世田谷区の相場を整理すると、中古マンションは中央値で約5,600万円(面積の中央値約60㎡、㎡単価約93.8万円)、一戸建ては約8,900万円、土地は約9,200万円。
中古マンションの中央値は2021年の約5,200万円から2025年の約6,000万円へと上昇してきました。
まずはこの水準を出発点に置いてください。
次の一歩は、①不動産情報ライブラリで自分の最寄り駅・直近1〜2年に絞って成約事例を3件ほど拾う、②㎡単価に換算して自分の物件に当てはめる、③出したレンジを机上査定の数字と突き合わせる——この3ステップです。
ここまでやれば、査定額を見たときに「妥当かどうか」を自分で判断できるようになります。
エリアや物件種別ごとの細かい傾向は、世田谷区の中古マンション売却相場|エリア別、世田谷区の一戸建て売却相場|築年数別の目安、世田谷区の人気エリアは高く売れる?相場の傾向で個別に整理しています。
ご自身の物件に近いものから確認してみてください。
売る決断より先に、相場を知ることから始めて大丈夫です。
数字が見えると、いつ動くかの判断も落ち着いてできるようになります。
出典・参考
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」(取引価格情報・成約価格情報/2021〜2025年・世田谷区、18,253件)
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」地価公示・都道府県地価調査
- 国税庁「譲渡所得(土地・建物の譲渡)」タックスアンサー
- 国税庁「マイホームを売ったときの特例(3,000万円の特別控除)」
- 国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」
- 宅地建物取引業法(e-Gov 法令検索)
- 世田谷区公式ホームページ(都市計画・地区計画・住宅関連制度)
