下北沢の不動産売却相場|取引事例と売り時
「下北沢のマンションや家は、実際いくらで売れるのだろう」——ポータルサイトの売り出し価格を眺めていても、それは"売主の希望価格"であって、成約した価格とは違います。
だから見比べても、自分の物件の手取りがつかめないままになりがちです。
その感覚は自然なことで、下北沢のように駅ごと・通りごとに価格が変わるエリアでは、広告価格だけで判断するのはかなり難しいのが実情です。
判断材料になるのは、実際に取引が成立した「成約価格」のデータです。
この記事では、国土交通省「不動産情報ライブラリ」の取引価格情報・成約価格情報(2021〜2025年/世田谷区)をもとに、下北沢エリア(世田谷区北沢・代沢・代田周辺)の売却相場の見方、価格の推移と売り時の考え方、価格を左右する条件、費用や税金の目安、そして自分の物件に相場を当てはめる手順までを整理します。
記事監修者情報

株式会社グランクルー
代表取締役 加瀬 健史(カセ タケシ)
不動産業界歴20年以上宅地建物取引士
世田谷エリアを中心に不動産売却の実績500件以上。査定から引渡しまでの一連の実務に加え、相続・住み替え・離婚に伴う売却など、事情の異なる売主それぞれの相談に幅広く対応し、売却実務に多くの知見を持つ。
下北沢の不動産売却相場は世田谷区の成約データから読む
下北沢という単独の統計は公表されていません。
国が公開する取引データは市区町村単位(世田谷区)と、路線・駅単位での絞り込みが基本です。
そのため下北沢の相場を考えるときは、まず世田谷区全体の成約価格の中央値を「土台」として押さえ、そこに下北沢エリアの立地条件を足し引きしていく、という順序が現実的です。
| 物件種別 | 価格の中央値 | 参考㎡単価 | 面積の中央値 |
|---|---|---|---|
| 中古マンション | 約5,600万円 | 約93.8万円/㎡ | 約60㎡ |
| 一戸建て(土地建物) | 約8,900万円 | — | 約100㎡ |
| 土地(宅地) | 約9,200万円 | 約80.0万円/㎡ | 約120㎡ |
出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」取引価格情報・成約価格情報(2021〜2025年/世田谷区、18,253件)をもとに作成。
個別価格は立地・築年数・状態により変動します。
ここで使っているのは平均値ではなく中央値です。
平均値は一部の高額取引に引っ張られて実感より高く出やすく、逆に自分の物件を過大評価してしまう原因になります。
データを集めた件数は18,253件で、期間は2021〜2025年。
相場は動くものなので、「いつのデータか」をしっかり確認する習慣をつけてください。
なお、この数字は成約ベース、つまり実際に売買が成立した価格です。
広告に出ている売り出し価格は成約価格より高いことが多く、手取りの目安として使うなら成約ベースのほうが現実的です。
世田谷区全体の傾向は世田谷区の不動産売却相場|取引事例と価格動向でも整理しています。
まずは世田谷区全体の中央値を土台に置くのが遠回りに見えて一番早い手順です。
広告価格だけで判断すると、期待値がずれたまま売り出してしまいます。
下北沢エリア(世田谷区北沢・代沢・代田)の立地特性
下北沢駅は小田急小田原線と京王井の頭線が交わる乗換駅で、新宿・渋谷の双方へ直結します。
住所としては世田谷区北沢を中心に、南側の代沢、西側の代田、隣接駅として東北沢・世田谷代田(小田急線)、池ノ上・新代田(京王井の頭線)といったエリアが売買の実務上「下北沢圏」として扱われます。
特徴は二層構造です。
駅前は商業・飲食・劇場が集まる繁華なエリアで、賃貸需要が非常に強い
一方、住宅としての静けさを求める層は駅から少し離れた代沢・代田の住宅地を選びます。
つまり同じ「下北沢」でも、投資目線で評価される物件と、実需のファミリー層に評価される物件が分かれます。
売却時にどちらの買主層に向けて売り出すかで、価格の付け方も広告の出し方も変わってきます。
また、小田急線の地下化にともなう線路跡地の整備が進み、駅周辺の歩行環境や店舗構成が以前とは変わりました。
この変化は、街の評価が更新されているサインとして買主も見ています。
渋谷方面へのアクセスという点では、三軒茶屋の不動産売却相場|取引事例と売り時や二子玉川の不動産売却相場と比較しておくと、自分の物件の位置づけがつかみやすくなります。
下北沢は「駅前の賑わい」と「代沢・代田の静けさ」で評価軸が別れます。
どちらの買主に向けて売るのかを最初に決めておくと、価格設定がぶれにくくなります。
世田谷区の中古マンション価格の推移(2021〜2025年)と下北沢の売り時
売り時を考えるうえでは、価格が上がってきたのか下がってきたのかという「方向」を押さえておく必要があります。
世田谷区の中古マンションの中央値は次のように推移しています。
| 年 | 価格の中央値 | 参考㎡単価 |
|---|---|---|
| 2021年 | 約5,200万円 | 約85.0万円/㎡ |
| 2022年 | 約5,400万円 | 約90.0万円/㎡ |
| 2023年 | 約5,700万円 | 約96.8万円/㎡ |
| 2024年 | 約5,800万円 | 約100.0万円/㎡ |
| 2025年 | 約6,000万円 | 約103.7万円/㎡ |
出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」(2021〜2025年/世田谷区・中古マンション)をもとに作成。
出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」(2021〜2025年/世田谷区・中古マンション)をもとに作成。
2021年の約5,200万円から2025年の約6,000万円へ、中央値は段階的に上がってきました。
㎡単価でも約85.0万円/㎡から約103.7万円/㎡へと推移しています。
この流れだけを見れば、売主にとって不利な局面ではないと考えられます。
ただし、これは過去の実績であって将来の保証ではありません。
売り時は相場の方向だけでなく、住宅ローンの残債、買い替え先のスケジュール、相続なら遺産分割や相続税の申告期限といった自分側の事情との掛け合わせで決まります。
「相場が上がっているから待つ」と判断した結果、税制の特例が使える期間を過ぎてしまうケースもあるため、期限のある事情がある方は先に条件を確認しておくのが安全です。
相場の方向と、ご自身の期限(住み替え・相続・特例の適用期間)は別問題です。
待つ判断をする前に、使える特例の期限だけは先に確認しておいてください。
下北沢の不動産売却で価格を左右する要素
同じ下北沢エリアでも、成約価格には幅があります。
差がつきやすいポイントを整理します。
駅距離と、通りの静けさのバランス
駅近は利便性で評価されますが、飲食店や劇場が集まる区画では騒音・人通りを気にする実需層が敬遠することもあります。
「駅から近いほど高い」という単純な直線関係にはなりにくいのが下北沢の特徴です。
マンションは面積・階数・管理状態
世田谷区の中古マンションの面積の中央値は約60㎡です。
これより広い住戸はファミリー層に、狭い住戸は単身・DINKS層や投資家に向きます。
加えて、修繕積立金の積み立て状況や大規模修繕の履歴は買主が大切に確認する部分です。
詳しくは世田谷区の中古マンション売却相場|エリア別もあわせてご覧ください。
戸建て・土地は接道と敷地形状
世田谷区の一戸建ての中央値は約8,900万円(面積の中央値約100㎡)、土地は約9,200万円(同約120㎡、参考㎡単価約80.0万円/㎡)です。
下北沢周辺は細街路が多く、接道幅員、セットバックの必要性、間口の広さ、再建築の可否が価格に直結します。
築年数による建物評価の考え方は世田谷区の一戸建て売却相場|築年数別の目安で整理しています。
エリアブランドの影響
世田谷区内は同じ区でもエリアで評価が変わります。
世田谷区成城の不動産売却相場や世田谷区砧・祖師谷の不動産売却相場と比べると、街の性格の違いがそのまま買主層の違いになっていることが分かります。
学区や人気エリアの影響は世田谷区の人気エリアは高く売れる?相場の傾向も参考になります。
下北沢周辺は細街路が多く、接道やセットバックの条件が価格を大きく左右します。
査定前に測量図と登記の内容を手元にそろえておくとスムーズです。
下北沢の不動産売却にかかる費用・税金
成約価格がそのまま手元に残るわけではありません。
差し引かれる主なものを押さえておきましょう。
仲介手数料
宅地建物取引業法(および国土交通省の報酬額表)で上限が定められており、売買価格が400万円を超える場合は「売買価格×3%+6万円+消費税」が上限です(速算式)。世田谷区の価格帯では金額が大きくなるため、しっかり事前に確認します。
印紙税
売買契約書に必要。契約金額に応じて税額が決まります。
抵当権抹消・登記関連費用
ローンが残っている場合の抹消登記費用、司法書士報酬など。
- 測量・境界確定費用:土地・戸建てで境界が不明確な場合に発生します。
譲渡所得税・住民税
売却益(譲渡所得)に対して課税されます。所有期間が5年を超えるかどうかで税率区分が変わり、居住用財産であれば3,000万円の特別控除など特例の対象になる場合があります。適用条件は細かいので、国税庁の情報を確認したうえで税務署や税理士に相談してください。
費用の総額は物件の状況によって変わるため、査定を受ける段階で「概算の手取り額」まで出してもらうと、判断がぶれにくくなります。
知りたいのは売値ではなく手取りのはずです。
査定を依頼するときは「諸費用を引いた概算の手残り」まで出してもらうようお伝えください。
世田谷区の相場を自分の物件に当てはめて査定する方法
手順は次の4段階で考えると整理しやすくなります。
1)種別ごとの中央値を出発点にする。マンションなら約5,600万円(約93.8万円/㎡)、戸建てなら約8,900万円、土地なら約9,200万円(約80.0万円/㎡)を土台に置きます。
2)面積で調整する。マンションであれば㎡単価に自分の専有面積を掛けるほうが、中央値をそのまま当てはめるより誤差が小さくなります。
中央値の面積(マンション約60㎡)とのズレを意識してください。
3)不動産情報ライブラリで駅名から絞り込む。同ライブラリは路線・駅単位での検索ができます。
下北沢駅を指定し、直近の四半期の成約事例を確認すると、区全体の中央値より一段具体的な水準が見えてきます。
4)机上査定で条件差を反映する。接道、階数、向き、管理状態、リフォーム履歴といった個別条件は、データだけでは埋められません。
訪問を伴わない机上査定であれば、まず情報だけを確認する使い方もできます。
売却を家族や周囲に伝える前に相場だけ知っておきたいという方も少なくありません。
中央値をそのまま自分の物件に当てはめるより、㎡単価に面積を掛けたほうが誤差が小さくなります。
そのうえで机上査定で条件差を埋めていくのが順序です。
下北沢の不動産売却で注意したいリスクと売り方の選択肢
正直に書いておくと、下北沢エリアには価格が伸びにくい条件の物件もあります。
前面道路が狭く再建築に制約がある土地、間口が狭い旗竿地、借地権付きの物件、築年数が古く管理状態に不安があるマンションなどです。
これらは「相場より安い」のではなく、相場の幅の下側に位置づく物件だと理解しておくほうが、売り出し後の値下げ交渉に振り回されにくくなります。
売り方についても、トレードオフがあります。
仲介はより多くの買主に見てもらえるため価格面で有利になりやすい
一方、広告掲載や内見の対応が必要です。
買取は短期間で現金化しやすく周囲に知られにくい反面、価格は仲介より下がるのが一般的です。
どちらが良いかは、価格を優先するのか、時間や秘密性を優先するのかで変わります。
また、賃貸中の物件を投資家向けに売るのか、空室にして実需層に売るのかという選択もあります。
下北沢は賃貸需要が強いエリアであるため、どちらの出口も検討する価値があります。
価格・スピード・知られにくさは同時にすべてを満たせません。
何を優先するかを先に決めておくと、仲介か買取かの判断で迷わなくなります。
下北沢の不動産売却相場に関するよくある質問
Q 下北沢だけの相場データはありますか?
A A. 国が公開する取引データは市区町村単位(世田谷区)が基本で、下北沢単独の公表統計はありません。
ただし不動産情報ライブラリでは路線・駅名で絞り込めるため、下北沢駅を指定して個別の成約事例を確認する方法があります。
Q 世田谷区の相場の中央値はいくらですか?
A A. 2021〜2025年の成約データでは、中古マンションが約5,600万円(約93.8万円/㎡)、一戸建てが約8,900万円、土地が約9,200万円(約80.0万円/㎡)が中央値です。
Q 平均値ではなく中央値を見るのはなぜですか?
A A. 平均値は一部の高額取引に引っ張られて上振れしやすく、実感からずれることがあります。
中央値は取引を価格順に並べた中央の値なので、一般的な水準の目安として使いやすいためです。
Q 今は売り時と言えますか?
A A. 世田谷区の中古マンションの中央値は2021年の約5,200万円から2025年の約6,000万円へ推移しており、売主にとって不利な局面ではないと考えられます。
ただし過去の実績が将来を保証するものではなく、ご自身の資金計画や期限との兼ね合いで判断する必要があります。
Q 売り出し価格と成約価格はどれくらい違いますか?
A A. 物件ごとに異なるため一律には言えませんが、売り出し価格は売主の希望を含むため成約価格より高いことが多く、手取りの見通しを立てるなら成約ベースのデータで考えるほうが現実的です。
Q 周囲に知られずに売ることはできますか?
A A. 広告の範囲を絞る売り方や買取という選択肢はありますが、知られにくさを優先すると価格や条件面で譲る部分が出ます。
両方を完全に満たすことはできないため、優先順位を決めて相談するのが現実的です。
Q 査定を頼むとしっかり売らなければいけませんか?
A A. 査定は価格の目安を知るための作業で、売却を約束するものではありません。
訪問なしの机上査定であれば、まず情報だけ確認する使い方もできます。
下北沢の不動産売却で押さえるべきポイント
下北沢の相場を考えるときの出発点は、世田谷区の成約データです。
中古マンションの中央値は約5,600万円(約93.8万円/㎡)、一戸建ては約8,900万円、土地は約9,200万円。
そして中古マンションの中央値は2021年の約5,200万円から2025年の約6,000万円へと推移してきました。
この土台に、下北沢エリア(北沢・代沢・代田)の立地条件、接道や築年数、管理状態といった個別要因を足し引きしていくのが、現実的な価格の組み立て方です。
次の一歩としては、不動産情報ライブラリで下北沢駅を指定して直近の成約事例を確認し、そのうえで机上査定で自分の物件の条件差を反映させること。
この2つを行えば、広告価格に振り回されない判断材料がそろいます。
エリアや種別ごとの比較は、世田谷区の不動産売却相場|取引事例と価格動向、世田谷区の中古マンション売却相場|エリア別、世田谷区の一戸建て売却相場|築年数別の目安もあわせてご確認ください。
相場を知る作業と、売ると決める作業は分けて進めて構いません。
まずは駅単位の成約事例と机上査定で、判断材料だけそろえていきましょう。
出典・参考
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」(取引価格情報・成約価格情報/2021〜2025年・世田谷区、18,253件)
- 国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」
- 国税庁「譲渡所得(土地・建物の譲渡)」(譲渡所得税・居住用財産の特別控除の要件)
- 宅地建物取引業法(e-Gov法令検索)(媒介報酬の上限/昭和45年建設省告示第1552号・国土交通省の報酬額表)
- 世田谷区 公式ホームページ
