世田谷区の不動産売却、仲介手数料はいくら?
「世田谷区で家を売ると、不動産会社に払う仲介手数料はいくらになるんだろう」——売却を考え始めた方から、まず出てくるのがこの疑問です。
数千万円単位の取引になるだけに、手数料も百万円単位になるのでは、と身構えてしまう方は少なくありません。
結論から言えば、仲介手数料には宅地建物取引業法にもとづく上限が定められていて、売買価格が400万円を超える場合は「売買価格×3%+6万円+消費税」が上限です。
つまり、自分の物件がいくらで売れそうかが分かれば、手数料はその場で計算できます。
金額が読めない不安の正体は、多くの場合「相場が分からないこと」にあります。
この記事では、国土交通省「不動産情報ライブラリ」の成約データ(2021〜2025年/世田谷区)をもとに、世田谷区の物件種別ごとの仲介手数料の目安、計算方法、支払うタイミング、値引き交渉の現実、そして手数料以外にかかる費用までを順に整理します。
三軒茶屋・二子玉川・成城学園前・下北沢・経堂といった人気エリアを抱える世田谷区は価格水準が高く、手数料の額も大きくなります。
だからこそ、先に金額感をつかんでおくことが手取り額の見通しにつながります。
記事監修者情報

株式会社グランクルー
代表取締役 加瀬 健史(カセ タケシ)
不動産業界歴20年以上宅地建物取引士
世田谷エリアを中心に不動産売却の実績500件以上。査定から引渡しまでの一連の実務に加え、相続・住み替え・離婚に伴う売却など、事情の異なる売主それぞれの相談に幅広く対応し、売却実務に多くの知見を持つ。
世田谷区の不動産売却で仲介手数料はいくらか(相場から逆算)
仲介手数料は売買価格に連動する成功報酬です。
したがって「世田谷区でいくらで売れるか」が分かれば、手数料の目安も見えてきます。
まず、世田谷区の成約価格の中央値を確認します。
| 物件種別 | 価格の中央値 | 参考㎡単価 | 面積の中央値 |
|---|---|---|---|
| 中古マンション | 約5,600万円 | 約93.8万円/㎡ | 約60㎡ |
| 一戸建て(土地建物) | 約8,900万円 | — | 約100㎡ |
| 土地(宅地) | 約9,200万円 | 約80.0万円/㎡ | 約120㎡ |
出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」取引価格情報・成約価格情報(2021〜2025年/世田谷区、18,253件)をもとに作成。
個別価格は立地・築年数・状態により変動します。
ここで使っているのは、広告に出ていた売り出し価格ではなく、実際に取引が成立した成約価格です。
売り出し価格は相場より高めに設定されることが多いため、手取りを考えるうえでは成約ベースのほうが現実的です。
また、平均値ではなく中央値を採用しています。
世田谷区のように高額物件が一部含まれるエリアでは、平均値が上に引っ張られやすく、実感とズレやすいためです。
この中央値をもとに上限額を計算すると、中古マンション(約5,600万円)で税込およそ191万円、一戸建て(約8,900万円)でおよそ300万円、土地(約9,200万円)でおよそ310万円という水準になります。
決して小さくない金額ですが、これは「売れたときにだけ発生する費用」であり、売買が成立しなければ支払いは生じません。
計算の中身は次のセクションで分解します。
手数料の額だけ見ると驚かれますが、まずは売れる価格の目安を先に固めるのが順序です。
金額が読めれば、手元に残るお金も逆算できます。
仲介手数料の上限と計算方法|速算式で自分の物件を試算する
仲介手数料は不動産会社が自由に決められるものではなく、宅地建物取引業法第46条と国土交通大臣の告示によって受領できる上限額が定められています。
売主から受け取れる報酬(媒介の場合)の上限は、売買価格の区分に応じて次のとおりです。
- 売買価格が200万円以下の部分:5%以内
- 200万円を超え400万円以下の部分:4%以内
- 400万円を超える部分:3%以内
実務では、これを1本の式にまとめた「速算式」が使われます。
400万円を超える取引なら「売買価格×3%+6万円+消費税」です。
世田谷区の成約価格帯はほぼ全域でこの区分に入るため、実質的にこの速算式だけ覚えておけば足ります。
注意したいのは、これがあくまで上限だという点です。
法律に下限の定めはなく、上限より低い報酬で受託することは可能です。
一方で、多くの不動産会社が上限額を提示するのも事実です。
上限を超える請求は違法ですので、媒介契約書に記載された報酬額の計算根拠はしっかり確認してください。
また、2024年7月に施行された報酬告示の改正により、価格が800万円以下の宅地・建物の売買の媒介については、あらかじめ売主に説明して合意した場合、税込33万円(30万円+消費税)を上限として受領できる特例が設けられています。
世田谷区の相場では該当する物件はごく限られますが、極端に狭小・接道の悪い土地や再建築不可の物件などでは関係してくる可能性があります。
「3%+6万円+消費税」は上限であって定額ではありません。
媒介契約を結ぶ前に、報酬額の根拠が書面に明記されているかを確かめておくと安心です。
世田谷区の物件種別別・仲介手数料の試算(マンション・一戸建て・土地)
先ほどの中央値に速算式を当てはめると、次のようになります。
消費税は10%で計算しています。
| 物件種別 | 価格の中央値 | 手数料(税抜) | 手数料(税込) |
|---|---|---|---|
| 中古マンション | 約5,600万円 | 約174万円 | 約191万円 |
| 一戸建て(土地建物) | 約8,900万円 | 約273万円 | 約300万円 |
| 土地(宅地) | 約9,200万円 | 約282万円 | 約310万円 |
価格は国土交通省「不動産情報ライブラリ」(2021〜2025年/世田谷区)の中央値。
手数料は宅地建物取引業法および国土交通省告示の上限額(売買価格×3%+6万円+消費税10%)にもとづく試算で、実際の報酬額は媒介契約の内容により異なります。
同じ世田谷区内でも、エリアによって価格帯は変わります。
二子玉川・成城学園前・上野毛のように高額な取引が目立つエリアと、千歳烏山・上北沢・喜多見のように面積あたりの単価がやや落ち着くエリアでは、同じ広さでも成約価格が変わり、その差がそのまま手数料に反映されます。
手数料を正確に見積もりたい場合は、区全体の中央値ではなく、自分の物件と条件の近い成約事例(最寄り駅、築年数、面積、階数・向き)で価格を絞り込むことが先になります。
なお、築年数が古い一戸建てや、雨漏り・傾きなどの不具合がある物件は、価格が中央値から下振れしやすく、その分手数料も下がります。
詳しくは築40年・50年の古い家は世田谷区で売れる?や世田谷区で雨漏りする家は売れる?修繕せず売却も参考にしてください。
区全体の中央値はあくまで出発点です。
最寄り駅と築年数を揃えた事例まで絞ると、手数料の見積もり精度もぐっと上がります。
世田谷区の価格上昇で仲介手数料はどう変わったか(2021〜2025年の推移)
仲介手数料は価格連動なので、相場が上がれば手数料も自動的に上がります。
世田谷区の中古マンションの成約価格の推移を見てみます。
| 年 | 価格の中央値 | 参考㎡単価 |
|---|---|---|
| 2021年 | 約5,200万円 | 約85.0万円/㎡ |
| 2022年 | 約5,400万円 | 約90.0万円/㎡ |
| 2023年 | 約5,700万円 | 約96.8万円/㎡ |
| 2024年 | 約5,800万円 | 約100.0万円/㎡ |
| 2025年 | 約6,000万円 | 約103.7万円/㎡ |
出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」(2021〜2025年/世田谷区・中古マンション)をもとに作成。
出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」(2021〜2025年/世田谷区・中古マンション)をもとに作成。
2021年の約5,200万円に速算式を当てはめると手数料は税込およそ178万円、2025年の約6,000万円では税込およそ205万円です。
この4年で手数料の目安は26万円ほど増えた計算になります。
手数料の負担は増えますが、同時に売却価格そのものが約800万円上がっているため、手取りベースでは相場上昇のほうが影響として大きい、と読むのが自然です。
ただし、これは区全体・中央値の話です。
個別の物件では、築年数の経過や管理状態、駅からの距離によって価格が横ばい・下落するケースもあります。
「区の相場が上がっているから自分の家も上がっているはず」と当てはめすぎないよう注意してください。
手元に残る金額の考え方は世田谷区でマンション売却、手元に残る金額はで詳しく整理しています。
相場が上がると手数料も上がりますが、増える手数料より価格の伸びのほうが大きい局面もあります。
数字はしっかりセットで見てください。
仲介手数料はいつ払う?支払いタイミングと媒介契約で確認する点
仲介手数料は成功報酬です。
売買契約が成立して初めて発生し、査定を受けただけ、広告を出しただけ、内覧が入っただけの段階では支払い義務は生じません。
売却を検討中の段階で費用を求められることは、原則としてありません。
支払い方法は、商慣習として売買契約時に半分、引渡し(残代金決済)時に残り半分という2回払いが多く採られています。
一括で引渡し時にまとめる取り扱いもあり、これは媒介契約や合意の内容によります。
契約時に手数料の半額を支払う場合、その時点では買主から手付金しか受け取っていないため、手元資金の動きを事前に確認しておくと安心です。
媒介契約を結ぶときに確認しておきたいのは、次の点です。
- 報酬額とその計算根拠(速算式どおりか、上限より低い設定か)
- 支払い時期と回数
- 媒介契約の種類(専属専任媒介・専任媒介・一般媒介)と有効期間
- 広告費や測量費など、報酬に含まれない実費の扱い
とくに実費の扱いは要注意です。
通常の売却活動にかかる広告費は仲介手数料に含まれるのが原則で、売主が特別に依頼した遠隔地への出張費や特別な広告など、限定された場合を除いて別途請求はできない取り扱いになっています。
「別途、広告費として○万円」という説明があった場合は、その根拠を書面で確認してください。
なお、世田谷区は住宅密集地が多く、近隣に知られたくないという理由からポータルサイトへの掲載範囲や近隣配布のチラシを絞りたいという相談も見られます。
掲載方法をどこまで調整できるかも、媒介契約前に相談しておくとよい項目です。
契約時に半額を支払うパターンでは、手付金の額との兼ね合いも出てきます。
支払い時期は口約束にせず、書面で押さえておきましょう。
仲介手数料は値引き・無料にできる?「手数料半額」の見方と注意点
法律に下限の定めがないため、仲介手数料の値引きや「売主手数料無料」をうたうサービスは実際に存在します。
世田谷区のように価格水準が高いエリアでは、半額になれば数十万円から百万円近い差になるため、気になるのは当然です。
一方で、金額の大小だけで判断すると足元をすくわれることもあります。
中古マンションの中央値・約5,600万円で考えると、手数料(税込約191万円)が半額になれば約95万円の節約です。
しかし、売り方や価格設定を誤って成約価格が3%下がれば、約168万円のマイナスになります。
手数料の割引幅より、いくらで売れるかのほうが手取りに効く場面は珍しくありません。
値引きを検討する際に見ておきたい観点は次のとおりです。
- 広告の露出をどこまでかけてもらえるか(掲載媒体・写真・図面の質)
- 他社からの問い合わせに素直に対応してもらえるか(いわゆる囲い込みの有無)
- 内覧の立ち会いや価格交渉、引渡しまでの調整をどこまで担ってくれるか
- 買主側からも報酬を受け取る取引(両手)を前提にした割引なのか
報酬を下げることそのものが悪いわけではありません。
ただし、報酬は売却活動の原資でもあるため、「安い代わりに何が減るのか」を事前に確認しておくことが大切です。
逆に、上限額を提示する会社であれば、その分どんな活動をするのかを具体的に説明してもらいましょう。
複数社の査定を比較するときは、査定価格だけでなく、報酬額と活動内容をセットで並べて見ることをおすすめします。
手数料の安さと売却価格は、どちらも手取りに関わります。
値引きを聞く前に「その条件で何をしてもらえるか」をしっかり確認してください。
仲介手数料以外に世田谷区の不動産売却でかかる費用・税金
手数料は売却コストの中で最も大きな項目になりやすいものの、それだけではありません。
世田谷区で売却する場合に想定しておきたい費用は、おおむね次のとおりです。
印紙税
売買契約書に貼る収入印紙。売買価格の区分に応じて金額が決まります。
抵当権抹消の登記費用
住宅ローンが残っている場合の登録免許税と司法書士報酬。
測量・境界確定の費用
一戸建てや土地で境界が不明確な場合。世田谷区は狭小地・旗竿地や私道の持分が絡む物件もあり、境界確認が必要になるケースがあります。
- 解体費・残置物処分費・クリーニング費:古家付き土地や空き家として長く空いていた物件。
譲渡所得税・住民税
売却益が出た場合。取得費や譲渡費用を差し引いて計算し、仲介手数料は譲渡費用に含められます。
特に譲渡所得は、世田谷区の価格水準を考えると無視できません。
取得したのが古く、取得費が低い一戸建てや土地では、売却益が大きく出る可能性があります。
マイホームを売った場合の3,000万円特別控除など、要件を満たせば使える特例もありますので、税額の見通しは早めに立てておくとよいでしょう。
計算の考え方は世田谷区で家を売ると税金は?譲渡所得税の計算、費用全体の一覧は世田谷区の不動産売却でかかる税金・費用にまとめています。
反対に、購入時より安く売れて損失が出た場合は譲渡損失の特例が使える場合があり、いずれのケースでも売却した翌年に確定申告が必要になることがあります。
空き家の売却では世田谷区の空き家売却で使える補助金・控除も併せて確認してください。
仲介手数料は譲渡費用として税額の計算に使えます。
領収書は申告のときまでしっかり保管しておいてください。
世田谷区の仲介手数料についてよくある質問
Q 仲介手数料に消費税はかかりますか?
A A. かかります。
仲介手数料は不動産会社が提供するサービスの対価なので、課税対象です。
速算式で計算した「3%+6万円」は税抜の額で、これに消費税を加えた金額が上限になります。
土地の売買代金自体は非課税ですが、手数料は別扱いです。
Q 売買契約が成立しなかった場合も手数料は必要ですか?
A A. 仲介手数料は成功報酬なので、売買契約が成立しなければ原則として支払い義務は生じません。
ただし、売主が特別に依頼した特別な広告費や遠隔地への出張費など、限られた実費は別途請求できる取り扱いになっています。
媒介契約時に取り決めを確認しておきましょう。
Q 世田谷区で5,000万円台のマンションを売ると手数料はいくらですか?
A A. 世田谷区の中古マンションの成約価格の中央値・約5,600万円で計算すると、上限は税抜約174万円、税込約191万円です(売買価格×3%+6万円+消費税)。
価格が変われば手数料も比例して変わります。
Q 買主が見つかったあとに契約が解除された場合、手数料は返ってきますか?
A A. 解除の理由や時期、媒介契約の内容によって扱いが変わります。
契約時に半額を支払う方式では、その後の解除時の精算方法をあらかじめ書面で確認しておくことが重要です。
個別の判断が必要になるため、契約前に不動産会社へ具体的に確認してください。
Q 複数の会社に依頼したら、手数料も複数分かかりますか?
A A. 一般媒介契約で複数社に依頼しても、手数料を支払うのは実際に売買契約をまとめた1社に対してのみです。
二重に払う必要はありません。
ただし、各社への連絡や情報共有の手間は増えます。
Q 仲介手数料は確定申告で経費になりますか?
A A. 譲渡所得の計算上、仲介手数料は「譲渡費用」として売却収入から差し引けます。
印紙税や測量費なども譲渡費用に含められる場合があるため、領収書は保管しておいてください。
詳細は国税庁の案内や税務署でご確認ください。
Q 買取なら仲介手数料はかからないのですか?
A A. 不動産会社が直接買い取る場合、仲介ではないため仲介手数料は発生しません。
ただし、買取価格は仲介で売る場合より低くなる傾向があります。
手数料の有無だけでなく、最終的な手取り額で比較して判断してください。
世田谷区の不動産売却で仲介手数料を見極めるポイント
仲介手数料は「売買価格×3%+6万円+消費税」が法定の上限で、世田谷区の成約価格の中央値で計算すると、中古マンション(約5,600万円)で税込約191万円、一戸建て(約8,900万円)で約300万円、土地(約9,200万円)で約310万円が目安になります。
金額は大きいものの、成功報酬なので売れなければ発生せず、譲渡所得の計算では譲渡費用として差し引けます。
次の一歩としておすすめしたいのは、手数料の割引を探す前に、自分の物件と条件の近い成約事例で価格の当たりをつけることです。
最寄り駅・築年数・面積を揃えた事例を見れば、手数料も手取りも同時に見通せます。
そのうえで、複数社の査定価格と報酬額・活動内容を並べて比較すれば、判断がぶれにくくなります。
まずは訪問を伴わない机上査定で相場感だけ確かめる、という進め方でも構いません。
費用の全体像は世田谷区の不動産売却でかかる税金・費用、手取り額の計算は世田谷区でマンション売却、手元に残る金額は、税額の見通しは世田谷区で家を売ると税金は?譲渡所得税の計算で続けて確認できます。
手数料は「いくら取られるか」ではなく「いくら残るか」で見るのがコツです。
価格・費用・税金をまとめて一度整理してみてください。
参照した公的データ・法令
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」(取引価格情報・成約価格情報/2021〜2025年・世田谷区)
- 宅地建物取引業法(e-Gov 法令検索)(第46条 報酬の額)
- 国土交通省「不動産業」(宅地建物取引業者が受領できる報酬額の告示、低廉な空家等の売買の媒介に関する特例)
- 国税庁 タックスアンサー No.3302 マイホームを売ったときの特例
- 国税庁 タックスアンサー No.7108 不動産の譲渡・建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税
