築40年・50年の古い家は世田谷区で売れる?
「築40年を超えた実家。
こんなに古い家を買う人なんているのだろうか」——世田谷区で親から受け継いだ家や、長く住み続けたご自宅の売却を考え始めたとき、まずここでつまずく方は少なくありません。
雨戸は建て付けが悪く、水まわりも当時のまま。
人に見せるのが少し恥ずかしい、という気持ちもあるかもしれません。
ただ、築年数が古いこと自体は、売れない理由に直結するわけではありません。
世田谷区のような住宅需要の厚いエリアでは、建物ではなく「土地」に価値を置いた取引が一定数あり、築40年・50年の住宅が古家付き土地として動くことも珍しくないためです。
むしろ、決めきれないまま空き家として置いておくほうが、維持費や管理の負担が積み上がっていきます。
この記事では、国土交通省「不動産情報ライブラリ」の成約価格データ(2021〜2025年/世田谷区)をもとに、築古の家がどう評価されるのか、売り方の選択肢(古家付き土地・更地・買取)、旧耐震や接道といった注意点、そして「手放すことへの迷い」「ご近所に知られたくない」という気持ちへの向き合い方まで整理します。
決めるのは、情報が揃ってからで構いません。
記事監修者情報

株式会社グランクルー
代表取締役 加瀬 健史(カセ タケシ)
不動産業界歴20年以上宅地建物取引士
世田谷エリアを中心に不動産売却の実績500件以上。査定から引渡しまでの一連の実務に加え、相続・住み替え・離婚に伴う売却など、事情の異なる売主それぞれの相談に幅広く対応し、売却実務に多くの知見を持つ。
築40年・50年でも世田谷区の古い家が売れる理由
結論から言えば、世田谷区で築40年・50年の家が売却されるケースは実際にあります。
理由は単純で、買い手の多くが見ているのが「建物の新しさ」ではなく「その場所に住めるかどうか」だからです。
木造住宅は、法定耐用年数(木造の住宅用建物は22年)の考え方の上では築22年を過ぎたあたりで建物の評価がほとんど残らない形で査定されることが一般的です。
つまり築40年でも築50年でも、価格の主役はすでに土地に移っています。
逆に言えば、築年数がさらに10年増えたからといって、価格がそこから大きく落ち込むわけではない、という見方もできます。
そして世田谷区は、都心へのアクセスと住環境の両方を求める層が継続的に流入するエリアです。
買い手側には、①古家を解体して自分好みの家を新築したい層、②リノベーション前提で安く取得したい層、③事業として仕入れる不動産会社、という複数の受け皿があります。
築古住宅は「一般のエンドユーザーにしか売れない」ものではなく、買い手の層が分かれている点が地方の郊外エリアとの違いです。
一方で、正直に書いておくべきこともあります。
築古住宅は現況のまま高値で早く売れるというものではありません。
建物の状態、接道の状況、境界の明確さによって、価格にも売却期間にも差が出ます。
ここを事前に把握しておくことが、結果的にいちばんの近道になります。
「古いから恥ずかしい」とお感じになる方は多いのですが、買い手は建物より土地を見ています。
まずは現況のまま、気負わずご相談ください。
世田谷区の不動産売却相場と築古住宅の価格の見方
まず、世田谷区全体でどのくらいの価格帯で取引されているかを押さえます。
以下は国土交通省「不動産情報ライブラリ」の取引価格情報・成約価格情報(2021〜2025年/世田谷区、18,253件)をもとにした中央値です。
広告に出ている売り出し価格ではなく、実際に取引が成立した価格である点、また平均値は極端な取引に引っ張られるため中央値を使っている点にご注意ください。
| 物件種別 | 価格の中央値 | 参考㎡単価 | 面積の中央値 |
|---|---|---|---|
| 中古マンション | 約5,600万円 | 約93.8万円/㎡ | 約60㎡ |
| 一戸建て(土地建物) | 約8,900万円 | — | 約100㎡ |
| 土地(宅地) | 約9,200万円 | 約80.0万円/㎡ | 約120㎡ |
出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」取引価格情報・成約価格情報(2021〜2025年/世田谷区、18,253件)をもとに作成。
個別価格は立地・築年数・状態により変動します。
ここで注目したいのは、土地(宅地)の中央値が約9,200万円、参考㎡単価が約80.0万円/㎡である点です。
築40年・50年の戸建ての価格を考えるときは、この土地の水準を出発点に、間口・形状・接道・高低差といった条件で調整し、建物は「解体費がかかる分のマイナス」か「そのまま使えるならわずかなプラス」として扱われる、というのがおおまかな見方になります。
世田谷区の中古マンション価格の推移(2021〜2025年)
築古の戸建てをお持ちの方にも、区全体の相場が上向きか横ばいかは判断材料になります。
中古マンションの中央値の推移を見ると、次のように動いています。
| 年 | 価格の中央値 | 参考㎡単価 |
|---|---|---|
| 2021年 | 約5,200万円 | 約85.0万円/㎡ |
| 2022年 | 約5,400万円 | 約90.0万円/㎡ |
| 2023年 | 約5,700万円 | 約96.8万円/㎡ |
| 2024年 | 約5,800万円 | 約100.0万円/㎡ |
| 2025年 | 約6,000万円 | 約103.7万円/㎡ |
出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」(2021〜2025年/世田谷区・中古マンション)をもとに作成。
出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」(2021〜2025年/世田谷区・中古マンション)をもとに作成。
2021年の約5,200万円から2025年の約6,000万円へと、中央値は上向きに推移しています。
これは中古マンションのデータであり、築古戸建ての価格をそのまま示すものではありませんが、区内の住宅需要が細っていない状況を裏づける材料にはなります。
「古い家だから買い手がいない」と決めつける前に、まずご自身の土地がどの水準にあるかを確認する価値はあります。
中央値はあくまで区全体の目安です。
同じ世田谷区内でも駅距離や前面道路で差が出ますので、ご自宅の条件に当てはめた確認をおすすめします。
築40年・50年の家を世田谷区で売る3つの方法
築古住宅の売り方は、大きく3つに分かれます。
どれが正解ということはなく、手取り・スピード・手間のどこを優先するかで選び方が変わります。
1. 古家付き土地として現況のまま売る
建物を残したまま、土地としての価値を中心に売り出す方法です。
解体費を売主が負担せずに済み、荷物が残っていても進められる場合があります。
買い手は自分の判断で解体・リフォームを選べるため、世田谷区のような土地需要のあるエリアでは現実的な選択肢です。
ただし、解体費用の分を買い手が価格に織り込むため、その分の値引き交渉は想定しておく必要があります。
2. 解体して更地で売る
建物を取り壊し、更地にして売る方法です。
買い手にとって用途がイメージしやすく、間口の狭い土地や、建物が傷んで内見が難しいケースでは有効なことがあります。
一方で解体費が先に出ていくこと、更地にすると土地の固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなること、そして解体後に思ったより買い手が付かないリスクもあります。
「先に解体すべきか」は査定と並行して判断するのが安全です。
3. 不動産会社の買取を使う
不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。
広告を出さずに進めやすく、内見の対応も最小限で済むため、近所に知られたくない方や、遠方にお住まいで何度も足を運べない方に向いています。
ただし、買取価格は仲介での成約価格より低くなるのが通常です。
「知られにくさ・早さ」と「価格」は完全には両立しない、というトレードオフは理解しておいてください。
荷物が大量に残っている場合の進め方はゴミ屋敷を世田谷区で売却|片付けずに売る方法、遠方から進める段取りは遠方に住みながら世田谷区の実家を売却する方法もあわせてご確認ください。
解体は「売れてから」でも間に合う場合があります。
先に壊してしまう前に、古家付きでの反応を一度確かめてからでも遅くありません。
世田谷区の築古住宅で注意したい旧耐震・接道・境界の問題
築40年・50年の家では、建物の傷み以上に「土地まわりの条件」が価格と売りやすさを左右します。
事前に確認しておきたい点を挙げます。
旧耐震基準の建物かどうか。1981年(昭和56年)6月以降の建築確認から新耐震基準が適用されています。
それ以前に建築確認を受けた建物は旧耐震にあたり、買い手が住宅ローンや税制上の優遇を検討する際に確認事項が増えることがあります。
詳しくは世田谷区の旧耐震の家を売却するには|地震対策で整理しています。
接道と再建築の可否。建築基準法上の道路に一定の幅で接していない土地は、建て替えができない、あるいはセットバックが必要になる場合があります。
世田谷区には昔ながらの細い道に面した住宅地が各所にあり、ここは価格に直結します。
境界とお隣との越境。古い家では、塀や庭木、屋根の一部が隣地にかかっているケースが見られます。
境界標が見当たらない場合は、測量や境界確認が必要になることもあります。
建物の不具合の把握。雨漏り・シロアリ・傾きなどは、隠すのではなく把握して正しく伝えることが大切です。
売買では契約不適合責任の問題になり得るため、告知しておくほうが結果的にトラブルを避けられます。
雨漏りがある場合の扱いは世田谷区で雨漏りする家は売れる?修繕せず売却をご覧ください。
過去に事件・事故があった物件については事故物件を世田谷区で売却したい|告知義務と価格も参考になります。
不具合は隠すほど後で大きな話になります。
分かっている範囲で先に共有いただければ、伝え方も含めて一緒に整理できます。
築古の家を売るときの費用・税金と解体の判断
売却時にかかる主なものは、仲介手数料、印紙税、抵当権抹消などの登記費用、必要に応じて測量費や解体費、残置物の処分費です。
仲介手数料の上限は宅地建物取引業法で定められており、金額の根拠は媒介契約の締結時に確認できます。
解体費は建物の構造・規模だけでなく、前面道路の幅や重機の入りやすさ、隣地との距離によって大きく変わります。
世田谷区内には車両の進入が難しい住宅地もあり、同じ規模でも条件次第で差が出ます。
見積りを取る前に金額を決め打ちしないほうが無難です。
税金面では、売却益(譲渡所得)が出た場合に所得税・住民税がかかります。
ただし、長く住んだご自宅であれば居住用財産の特別控除、相続した空き家であれば被相続人の居住用財産に係る特例など、適用できる制度がある場合があります。
取得費が分からない古い家では概算取得費による計算方法もあります。
いずれも適用要件と期限が細かいため、国税庁の情報を確認したうえで、必要に応じて税理士へご相談ください。
住宅ローンが残っている場合は、売却代金で完済できるかが先の判断になります。
返済が苦しい状況であれば住宅ローンが払えない…世田谷区で家を売り完済、売却額が残債に届かない見込みならオーバーローンでも世田谷区の家は売れる?任意売却で流れを確認できます。
特例は「使えたのに期限切れ」がいちばん惜しいところです。
売る時期を決める前に、要件だけでも早めにご確認ください。
世田谷区のエリア別に見る築古住宅の売りやすさ
世田谷区は広く、駅と街の性格によって買い手の顔ぶれが変わります。
同じ「築50年の木造戸建て」でも、想定される買い手が違えば売り方も変わります。
三軒茶屋・下北沢・池尻周辺は、渋谷方面へのアクセスの良さから単身・共働き層の需要が厚いエリアです。
土地が細かく分かれていることも多く、狭小地や旗竿地でも一定の関心が集まりやすい
一方、前面道路の幅や再建築の可否が価格を分けます。
二子玉川・用賀・桜新町周辺は、商業施設と住環境の両立を求めるファミリー層が中心です。
建て替え前提の取得を検討する買い手も多く、古家付き土地としての売り方が機能しやすい傾向があります。
成城・祖師ヶ谷大蔵・経堂周辺は、区画が比較的ゆったりした住宅地です。
土地面積が大きいと総額も上がるため、買い手が限られる代わりに、条件が合えばまとまった価格で動くこともあります。
分割(分筆)して売る可能性も含めて検討する価値があります。
千歳烏山・上北沢・喜多見周辺など区の外縁部では、都心寄りのエリアと比べて価格帯が落ち着き、実需の買い手が手を出しやすい水準になることがあります。
いずれの場合も、判断の出発点は同じです。
区全体の土地の中央値(約9,200万円/参考㎡単価 約80.0万円/㎡)を目安に置き、そこからご自身の土地の面積・形状・接道・駅距離で上下させて考えます。
同じ世田谷区でも、駅ひとつ違うと買い手の層が変わります。
どんな方に届けるかを決めてから売り出すと、動き方が変わってきます。
古い家を手放す迷いと「知られたくない」不安との向き合い方
築40年・50年の家の売却では、価格より先に気持ちの整理でつまずくことがあります。
親が建てた家、自分が育った家を、自分の代で手放していいのか。
そう感じるのは自然なことで、後ろめたさを覚える必要はありません。
実際には、誰も住まないまま管理だけが続く状態のほうが、庭木や外壁、防犯の面で負担が増えていきます。
次に住む方へ引き継ぐことも、家の使い道のひとつです。
もうひとつ多いのが、「売りに出したことを近所に知られたくない」という不安です。
古い家であればなおさら、「事情があるのでは」と勘繰られたくないという気持ちが働きます。
この点は、対応できる部分があります。
売却看板やのぼりを出さない、ポータルサイトの掲載内容や写真の範囲を調整する、内見の日時を限定する、といった方法です。
ただし、露出を絞るほど買い手の母数は減るため、価格やスピードとのバランスは避けられません。
ここは正直にお伝えしておきたい点です。
離婚や相続など、事情が絡む場合も同様です。
伝える範囲は選べます。
詳しくは離婚に伴う世田谷区の自宅売却|財産分与とローンもご確認ください。
まずは机上査定で相場だけ知り、売るかどうかはその後で決める、という進め方でも問題ありません。
「売ると決めていないけれど相場だけ知りたい」というご相談で構いません。
迷っている段階のほうが、選べる手は多く残っています。
築40年・50年の家の売却でよくある質問
Q 築50年の家でも本当に世田谷区で売れますか?
A 築年数だけで売れないと決まるわけではありません。
世田谷区は土地(宅地)の成約価格の中央値が約9,200万円(2021〜2025年)と土地需要のあるエリアで、古家付き土地として取引されるケースがあります。
ただし接道条件や境界の状況によって、売りやすさと価格には差が出ます。
Q 解体して更地にしてから売ったほうが高く売れますか?
A ケースによります。
買い手が用途をイメージしやすくなる利点がある一方、解体費が先に出ること、更地にすると土地の固定資産税の住宅用地特例が外れることがあります。
解体前に、古家付きのままでの査定と反応を確認してから判断することをおすすめします。
Q リフォームしてから売るべきでしょうか?
A 築40年・50年の住宅では、リフォーム費用をかけても、その分がそのまま価格に反映されるとは限りません。
買い手が自分でリノベーションを前提に検討することも多いためです。
まずは現況での査定を取り、費用対効果を確認してから決めるほうが安全です。
Q 建物に雨漏りや傾きがあります。
黙っていてもよいですか?
A 把握している不具合は、伝えたうえで売却するのが原則です。
引き渡し後に判明すると契約不適合責任の問題になり得ます。
事前告知は価格交渉の材料にはなりますが、トラブル回避という点では売主の利益にもなります。
Q 相続した空き家で、遠方に住んでいます。
現地に行かずに進められますか?
A 現地確認や書類のやり取りなど、不動産会社側で代行できる範囲があります。
相続登記についても司法書士などへ委任して代理申請してもらうことができます。
一方で、売主ご本人の本人確認や意思確認といった手続きは、ご本人に対応いただく必要があります。
段取りは遠方に住みながら世田谷区の実家を売却する方法で整理しています。
Q 近所に知られずに売ることはできますか?
A 看板を出さない、広告の掲載範囲を絞る、買取を使う、といった方法で露出を抑えることは可能です。
ただし買い手に届く範囲が狭まるため、価格や売却期間に影響が出る可能性があります。
どこまで抑えるかは、優先順位を決めたうえで相談されるとよいでしょう。
Q 旧耐震の建物だと売却は不利になりますか?
A 1981年(昭和56年)6月以降の建築確認から新耐震基準が適用されており、それ以前の建物は買い手側で確認事項が増える場合があります。
ただし解体前提で土地として評価されるケースも多く、不利かどうかは売り方によって変わります。
詳細は世田谷区の旧耐震の家を売却するには|地震対策をご覧ください。
世田谷区で築40年・50年の家を売るために押さえるポイント
築古住宅の価格は、建物の新しさではなく土地の条件で決まっていきます。
世田谷区の土地(宅地)は成約価格の中央値が約9,200万円、参考㎡単価が約80.0万円/㎡(2021〜2025年)。
ここを出発点に、面積・形状・接道・駅距離で調整して考えるのが現実的な見方です。
中古マンションの中央値も2021年の約5,200万円から2025年の約6,000万円へ推移しており、区内の住宅需要は細っていません。
次の一歩としては、①登記簿・測量図・建築確認関係の書類など手元の資料を確認する、②接道と境界の状況を把握する、③古家付き・更地・買取の3パターンで机上査定を取り、比較する、という順序が進めやすいはずです。
売ると決める前でも、相場を知るだけで判断は前に進みます。
状況別の進め方は、遠方に住みながら世田谷区の実家を売却する方法、世田谷区の旧耐震の家を売却するには|地震対策、世田谷区で雨漏りする家は売れる?修繕せず売却もあわせてご確認ください。
古い家ほど、書類と接道の確認が最初の一歩になります。
手元の資料が揃っていなくても構いませんので、まずは状況をお聞かせください。
出典・参考
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」(取引価格情報・成約価格情報/2021〜2025年・世田谷区、18,253件)
- 国税庁「譲渡所得(土地・建物の譲渡)」
- 国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
- 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
- 宅地建物取引業法(e-Gov法令検索)
- 建築基準法(e-Gov法令検索)
- 国土交通省「住宅・建築物の耐震化について」
