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世田谷区の収益物件・一棟アパート売却|利回り

「世田谷区で一棟アパートを売ろうと思っているが、利回りから逆算した価格と、土地としての価格のどちらで考えればいいのか分からない」。

収益物件のオーナーからは、こうした戸惑いの声を聞くことが少なくありません。

居住用の自宅と違い、収益物件は「家賃を生む装置」としての値段と、「世田谷区の土地建物」としての値段、二つの物差しが同時に働くからです。

結論から言えば、世田谷区のような土地単価の高いエリアでは、利回りだけで価格を決めるとずれることがあります。

逆に土地値だけを見ても、入居中の賃貸借契約が付いたままの物件(オーナーチェンジ)では買い手の層が変わります。

両方の視点を並べて初めて、現実的な売却価格の幅が見えてきます。

この記事では、国土交通省「不動産情報ライブラリ」の世田谷区の成約データ(2021〜2025年)をもとに、収益物件・一棟アパートの価格の考え方、表面利回りと実質利回りの計算方法、エリアごとの需要の違い、費用と税金、オーナーチェンジで売るときの流れと注意点までを整理します。

記事監修者情報

株式会社グランクルー 
代表取締役 加瀬 健史カセ タケシ)
不動産業界歴20年以上宅地建物取引士
世田谷エリアを中心に不動産売却の実績500件以上。査定から引渡しまでの一連の実務に加え、相続・住み替え・離婚に伴う売却など、事情の異なる売主それぞれの相談に幅広く対応し、売却実務に多くの知見を持つ。

世田谷区の収益物件・一棟アパートの価格は「収益還元」と「土地値」で決まる

収益物件の価格は、大きく二つの方法で試算されます。

ひとつは収益還元法で、年間の賃料収入を投資家が求める利回り(期待利回り)で割り戻して価格を出す方法です。

もうひとつは積算(土地値+建物残存価値)で、土地の㎡単価に面積を掛け、建物の残りの価値を足す考え方です。

世田谷区のように土地単価が高い地域では、この二つの数字が大きく離れることがあります。

家賃水準に対して土地が高いため、収益還元で出した価格より積算のほうが高く出るケースが珍しくありません。

その場合、買い手は「賃貸経営を続ける投資家」だけでなく、「建物を解体して新築や自己利用を考える層」も候補になります。

誰に売るかで適正価格が変わる、というのが収益物件の難しさであり、同時に交渉の余地でもあります。

逆に、築浅で稼働が安定している一棟アパートは、収益還元での評価が主役になります。

満室稼働・長期入居・修繕履歴が整っている物件ほど、投資家は将来のキャッシュフローを読みやすく、価格の下振れが起きにくくなります。

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収益還元と土地値、どちらか一方だけで話が進んでいるときは要注意です。

両方の数字を出してもらってから比べると、判断がぐっと楽になります。

世田谷区の不動産売却相場(2021〜2025年の成約データ)

収益物件の取引価格は物件ごとの条件差が大きいため、まずは土台となる世田谷区の相場から押さえます。

以下は実際に取引が成立した価格(成約ベース)の中央値です。

売り出し中の広告価格ではなく、成約価格を見ることで、手取りの目安に近い水準がつかめます。

また、平均値は一部の極端な高額取引に引っ張られるため、実感に近い中央値を使っています。

世田谷区の不動産売却相場(物件種別ごとの中央値・2021〜2025年)
物件種別価格の中央値参考㎡単価面積の中央値
中古マンション約5,600万円約93.8万円/㎡約60㎡
一戸建て(土地建物)約8,900万円約100㎡
土地(宅地)約9,200万円約80.0万円/㎡約120㎡

出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」取引価格情報・成約価格情報(2021〜2025年/世田谷区、18,253件)をもとに作成。

個別価格は立地・築年数・状態により変動します。

一棟アパートの土地値を考えるうえで参考になるのが、土地(宅地)の㎡単価約80.0万円/㎡という水準です。

世田谷区の宅地は面積の中央値が約120㎡、価格の中央値が約9,200万円。

一棟アパートの敷地はこれより広いことが多いため、土地部分だけでも相応の評価になる可能性があります。

ただし単価は駅距離・接道・用途地域・建ぺい率容積率で大きく変わるため、あくまで出発点の目安として扱ってください。

区分の投資用ワンルームを売る場合は、中古マンションの成約データ(中央値約5,600万円、約93.8万円/㎡)が参考になります。

ただしこの中央値は面積の中央値が約60㎡と居住用ファミリータイプを多く含む数字なので、単身向け住戸にそのまま当てはめることはできません。

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中央値はあくまで区全体の平均像です。

ご自身の物件と条件が近い成約事例を数件並べて見比べると、価格の輪郭がはっきりしてきます。

世田谷区の中古マンション価格の推移(2021〜2025年)と売り時の考え方

収益物件の売り時を考えるとき、区内の価格が上がってきたのか横ばいなのかは重要な判断材料になります。

世田谷区の中古マンションの中央値は、次のように推移しています。

世田谷区の中古マンション売却価格の推移(中央値)
価格の中央値参考㎡単価
2021年約5,200万円約85.0万円/㎡
2022年約5,400万円約90.0万円/㎡
2023年約5,700万円約96.8万円/㎡
2024年約5,800万円約100.0万円/㎡
2025年約6,000万円約103.7万円/㎡

出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」(2021〜2025年/世田谷区・中古マンション)をもとに作成。

世田谷区の中古マンション価格の推移(中央値)
約5,200万円2021年約5,400万円2022年約5,700万円2023年約5,800万円2024年約6,000万円2025年

出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」(2021〜2025年/世田谷区・中古マンション)をもとに作成。

2021年の約5,200万円から2025年の約6,000万円へ、中央値は緩やかな上昇基調にあります。

㎡単価も約85.0万円/㎡から約103.7万円/㎡へと動いています。

これは居住用中古マンションのデータですが、区内の不動産価格の方向性を示す指標として、収益物件の売却判断にも参考になります。

ただし収益物件の価格は、区の地価だけでなく金融機関の融資姿勢にも左右されます。

投資家がローンを組みやすい局面では買い手が増え、引き締まれば減ります。

「区の価格は上向きでも、収益物件は買い手が慎重」という時期もあり得るため、売却を検討する際は最新の反響状況もあわせて確認するとよいでしょう。

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相場の推移と、大規模修繕や入居者の入れ替え時期。

この二つが重なる年をどう避けるかで、手残りが変わってくることがあります。

世田谷区の一棟アパートで表面利回り・実質利回りを計算する方法

投資家が最初に見るのが利回りです。

売主側も同じ計算をしておくと、提示された価格の意味が読み解けます。

表面利回りと実質利回りの違い

表面利回りは「年間の満室想定賃料 ÷ 売買価格 × 100」で計算します。

広告に載る利回りはほぼこれです。

計算が簡単な反面、空室・管理費・修繕費・固定資産税といった支出が反映されていません。

実質利回り(NOI利回り)は「(年間賃料収入 − 年間運営費)÷(売買価格+購入諸費用)× 100」で計算します。

運営費には管理委託料、共用部の光熱費、清掃費、修繕費、火災保険料、固定資産税・都市計画税などが含まれます。

買い手はこの数字で判断するため、売主側も実質ベースの資料を用意できると交渉がスムーズです。

売主が準備しておく資料

  • レントロール(各住戸の賃料・敷金・契約期間・入居時期の一覧)
  • 直近数年分の収支(賃料入金、管理費、修繕費、公租公課)
  • 修繕履歴(屋根・外壁・給湯器・給排水など)と今後の予定
  • 建物図面、確認済証・検査済証、賃貸借契約書一式

とくにレントロールの精度は価格に直結します。

フリーレントや近隣より高い旧契約の賃料が混じっていると、買い手は「実際にはこの賃料では回らない」と見て利回りを割り引きます。

募集賃料と現況賃料の差は、隠すより先に説明したほうが結果的に信頼を得やすい部分です。

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レントロールと修繕履歴がそろっている物件は、買い手の検討が早く進みます。

売却を決める前から整理しておくことをおすすめします。

世田谷区のエリア別に見る収益物件の需要(三軒茶屋・下北沢・二子玉川・成城など)

世田谷区は面積が広く、駅ごとに賃貸需要の性格が異なります。

同じ区内でも、想定する入居者層と買い手層が変わる点は押さえておきたいところです。

単身・若年層需要が厚いエリア(三軒茶屋・下北沢・池尻大橋・松陰神社前など)

渋谷・新宿へのアクセスがよく、ワンルームや1Kの需要が安定しやすいエリアです。

稼働率が読みやすいため、区分・一棟とも投資家の関心は高い傾向にあります。

一方で土地単価も高く、利回りは低めに出やすいのが特徴です。

ファミリー需要が中心のエリア(二子玉川・成城学園前・用賀・桜新町など)

広めの間取りや戸建て賃貸の需要が見込めるエリアです。

世帯向けは入居期間が長くなりやすく、退去に伴う空室リスクが読みやすい半面、原状回復費が大きくなることもあります。

土地としての評価が高いため、賃貸経営の継続よりも建て替え・再分譲を前提とした買い手が現れることもあります。

小田急線・京王線沿線の住宅地(千歳船橋・経堂・千歳烏山・上北沢など)

駅からの距離で賃料が段階的に変わるエリアです。

徒歩10分を超える立地では、駐車場・駐輪場の有無や設備更新の状況が入居付けを左右します。

売却時も「現況の稼働で回るか」を具体的に示せるかが評価の分かれ目になります。

いずれのエリアでも、土地(宅地)の成約中央値が約9,200万円、㎡単価が約80.0万円/㎡という水準は、土地値ベースの下支えを考えるうえでの参考になります。

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同じ世田谷区でも、駅と徒歩分数が変わると買い手の顔ぶれが変わります。

最寄駅単位で事例を見るのが結局いちばん近道です。

空室が多い・築古の一棟アパートを世田谷区で売る方法

空室が目立つ物件は、収益還元で計算すると価格が伸びません。

この場合に検討したいのが、評価の軸を切り替えることです。

ひとつは土地値中心での売却

建物を解体して新築するデベロッパーや、自己利用を考える買い手に向けて、敷地条件(間口・接道・用途地域・高さ制限)を前面に出す売り方です。

もうひとつは現況のまま投資家に売る方法で、空室を埋めるコストとリターンを買い手に判断してもらう形になります。

空室を埋めてから売るか、そのまま売るかは、募集にかかる費用と期間、そして家賃下落リスクを比べて決めることになります。

詳しくは空室だらけのアパートを世田谷区で売る方法で整理しています。

雨漏りや設備の老朽化がある物件は、修繕してから売るか現況で売るかで悩みがちです。

修繕費を上乗せして回収できるとは限らないため、雨漏りする家を修繕せず売却する場合の考え方築40年・50年の古い家の売却もあわせて確認しておくとよいでしょう。

残置物が多い場合は片付けずに売る方法も選択肢になります。

早く現金化したい場合は買取という手段もありますが、仲介で市場に出す場合と比べて価格は下がるのが一般的です。

「価格」と「スピード・確実性」は完全には両立しません。

判断材料は仲介と買取の比較にまとめています。

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空室を埋めてから売るか、そのまま出すか。

募集費用と想定期間を紙に書き出して比べると、答えが出やすくなります。

世田谷区の収益物件売却にかかる費用・税金

売却価格がそのまま手元に残るわけではありません。

主な費用は次のとおりです。

仲介手数料

宅地建物取引業法で上限が定められています。金額の目安は世田谷区の仲介手数料の記事を参照してください。

  • 印紙税:売買契約書に貼付します(契約金額により区分)。

抵当権抹消・登記関連費用

融資が残っている場合は司法書士報酬と登録免許税がかかります。

測量・境界確定費用

一棟物件は敷地が広く、隣地との境界確定を求められることがあります。

建物部分の消費税

課税事業者が事業用建物を売る場合、建物価格に消費税が課されます(土地は非課税)。

譲渡所得税・住民税

売却益に対して課税されます。個人の場合、所有期間が5年を超えるかどうかで税率区分が変わります。詳細は国税庁の案内で確認してください。

収益物件で特に注意したいのが減価償却後の簿価です。

長く保有して償却が進んだ物件は帳簿上の価値が下がっているため、売却価格が購入時より低くても譲渡益が出ることがあります。

「安く売るのだから税金はかからない」と思い込まず、事前に税理士へ確認しておくと安心です。

事業用の店舗・事務所を併せて所有している場合は世田谷区の事業用物件の売却もご覧ください。

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収益物件は税金の計算が自宅と違います。

売買契約を結ぶ前に、一度税理士に試算してもらう時間を取ってください。

オーナーチェンジで売る流れと、入居者に知られずに進める際の注意点

入居者がいる状態での売却(オーナーチェンジ)は、賃貸借契約がそのまま買主に引き継がれます。

おおまかな流れは次のとおりです。

  1. レントロール・収支・修繕履歴の整理
  2. 収益還元と土地値の両面での価格査定
  3. 媒介契約、投資家向けの資料作成・募集
  4. 買主による現地確認・収支検証、条件交渉
  5. 売買契約(賃貸借契約・敷金の承継、日割り賃料の精算を明記)
  6. 決済・引渡し、入居者への貸主変更通知、管理会社の引継ぎ

売却活動中は、入居者に不安を与えないよう配慮したいという方は少なくありません。

オーナーチェンジであれば居住は継続されますが、告知の仕方によっては「立ち退きを求められるのでは」と受け取られることもあります。

原則として、貸主変更の通知は決済・引渡し後に行い、活動中は室内内覧を伴わない資料中心の募集にするのが一般的です。

看板の掲出やポータルへの掲載範囲も、事前に不動産会社と方針をすり合わせておきましょう。

また、敷金の引継ぎ、滞納賃料の扱い、更新料の帰属、駐車場契約の有無は契約書で明確にしておく必要があります。

ここが曖昧だと引渡し後にトラブルの火種になります。

遠方にお住まいで現地に来られない場合の進め方は、遠方に住みながら世田谷区の不動産を売却する方法で解説しています。

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敷金と滞納の扱いは、契約書に一行入っているかどうかで後の手間が変わります。

細かい点ほど早めに決めておきましょう。

世田谷区の収益物件売却に関するよくある質問

Q 表面利回りと実質利回り、買い手はどちらを重視しますか。


A 広告や第一印象では表面利回りが見られますが、実際に購入判断をする段階では実質利回り(運営費を差し引いたNOIベース)が重視されます。

売主側も運営費を整理した資料を用意しておくと、交渉が進みやすくなります。

Q 空室のまま売るのと、埋めてから売るのはどちらが有利ですか。


A 一概には言えません。

募集にかかる広告料・原状回復費と、稼働率が上がることによる価格上昇分を比べて判断します。

世田谷区のように土地値の支えがあるエリアでは、空室のままでも土地評価で買う層が現れることがあります。

Q 入居者に知られずに売却活動を進められますか。


A オーナーチェンジ前提であれば、室内内覧を伴わない資料中心の募集が可能で、貸主変更の通知は引渡し後に行うのが一般的です。

ただし、買主が室内確認を希望する場合もあるため、完全に接触を避けられるとは限りません。

方針は事前に不動産会社と共有しておきましょう。

Q 世田谷区の土地の相場はどのくらいですか。


A 2021〜2025年の成約データでは、土地(宅地)の価格の中央値が約9,200万円、参考㎡単価は約80.0万円/㎡、面積の中央値は約120㎡でした(出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」)。

駅距離や接道条件で大きく変わるため、目安としてご覧ください。

Q 売却価格が購入時より安くても税金はかかりますか。


A かかる場合があります。

建物は減価償却により帳簿上の価値が下がっていくため、取得価額より安く売っても譲渡益が生じることがあります。

契約前に税理士へ試算を依頼することをおすすめします。

Q 一棟アパートを売るまでにどのくらいの期間がかかりますか。


A 物件規模・価格帯・融資環境によって幅があります。

収益物件は買主が金融機関の融資審査を経るため、居住用より検討期間が長くなる傾向があります。

資料が整っているほど審査が早く進みます。

Q 相続で引き継いだ世田谷区のアパートを、そのまま売ってもいいですか。


A 売却の前提として相続登記(名義変更)が必要です。

共有名義の場合は共有者全員の合意も要ります。

賃貸借契約の貸主名義や賃料の入金口座の整理も忘れずに進めてください。

世田谷区の収益物件・一棟アパート売却で押さえるべきポイント

世田谷区の収益物件は、収益還元だけでは価格の全体像がつかめません。

土地(宅地)の成約中央値が約9,200万円、㎡単価が約80.0万円/㎡という水準がある以上、土地値からの評価も同時に確認することが現実的な判断につながります。

中古マンションの中央値は2021年の約5,200万円から2025年の約6,000万円へと推移しており、区内の不動産価格は緩やかな上昇基調にありますが、収益物件は融資環境の影響も受けるため、相場だけで売り時を決めるのは避けたいところです。

次の一歩としておすすめしたいのは、①レントロールと直近の収支・修繕履歴を1つのファイルにまとめる、②国土交通省「不動産情報ライブラリ」で自分の物件と近い条件の成約事例を数件確認する、③収益還元と土地値の両面で価格の幅を出してもらう、の3つです。

机上での試算であれば、入居者や近隣に知られることなく進められます。

関連する内容は、空室が多いアパートの売り方仲介と買取の比較事業用物件の売却もあわせてご覧ください。

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売ると決める前でも、資料を整えるところまでは進められます。

数字が見えてから判断しても遅くはありません。

出典・参考

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