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相続放棄した家は売れる?世田谷区の空き家の扱い

「相続放棄した実家、あとで売って現金にできないだろうか」——世田谷区の空き家を前に、そう考える方は少なくありません。

管理も維持費も重くのしかかる一方で、放棄という選択が本当に正しかったのか、後から不安になる。

そんな声はよく聞かれます。

結論から整理すると、相続放棄をした人はその家の所有者にはならないため、自分の判断で売ることはできません。

ただ、これは「不利益を被った」という話とは別問題です。

放棄すべきケースと、相続して売ったほうがよいケースは、負債と資産のバランスで分かれます。

世田谷区のように土地の評価が高いエリアでは、判断の前に「いくらで売れる資産なのか」を知っておくことが大きな意味を持ちます。

この記事では、相続放棄した家を売れない理由、放棄後も残る管理・保存の義務、全員が放棄した空き家がたどる流れ、そして放棄せずに売る場合の手順を、公的データと条文にもとづいて整理します。

まだ迷っている段階の方にも、すでに放棄した方にも、次の一歩が見える内容にしています。

記事監修者情報

株式会社グランクルー 
代表取締役 加瀬 健史カセ タケシ)
不動産業界歴20年以上宅地建物取引士
世田谷エリアを中心に不動産売却の実績500件以上。査定から引渡しまでの一連の実務に加え、相続・住み替え・離婚に伴う売却など、事情の異なる売主それぞれの相談に幅広く対応し、売却実務に多くの知見を持つ。

相続放棄した家は売れる?世田谷区での結論

相続放棄をすると、その人は初めから相続人でなかったものとみなされます(民法939条)。

つまり、実家の所有権を一度も取得しないことになるため、名義を移すことも、仲介会社に売却を依頼することもできません。

「放棄はしたが、家だけは自分が売って処分したい」という組み合わせは、制度上は成り立ちません。

さらに注意したいのが、相続財産を処分してしまうと、単純承認をしたものとみなされる場合があるという点です(民法921条)。

放棄の前後に家財を売却したり、建物を解体・処分したりすると、放棄そのものが認められなくなるおそれがあります。

負債を引き継がないために放棄したのに、結果的に借金まで背負う——そうした事態は避けたいところです。

片付けや解体を業者に頼む前に、家庭裁判所や専門家に確認する順番をおすすめします。

一方で、「相続放棄しか道がない」と思い込んでいたケースが、実際には資産のほうが大きかったという例もあります。

世田谷区の不動産は、区内でも三軒茶屋・二子玉川・成城・下北沢・経堂など、駅とエリアによって価格の水準が大きく異なります。

放棄を決める前に、まず数字を確認する価値は十分にあります。

ミカタ株式会社

放棄を考えている段階で、家財の片付けや解体に手をつけてしまう方がいます。

順番を間違えると放棄が難しくなることもあるので、動く前に一度ご確認ください。

相続放棄を決める前に|世田谷区の空き家はいくらで売れるか

放棄か相続かの判断は、感情ではなく「資産と負債のどちらが大きいか」で決まります。

そこで最初に確認したいのが、実家がいくらで売れる可能性のある資産なのか、という点です。

以下は世田谷区で実際に成立した取引をもとにした中央値です。

世田谷区の不動産売却相場(物件種別ごとの中央値・2021〜2025年)
物件種別価格の中央値参考㎡単価面積の中央値
中古マンション約5,600万円約93.8万円/㎡約60㎡
一戸建て(土地建物)約8,900万円約100㎡
土地(宅地)約9,200万円約80.0万円/㎡約120㎡

出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」取引価格情報・成約価格情報(2021〜2025年/世田谷区、18,253件)をもとに作成。

個別価格は立地・築年数・状態により変動します。

ここで使っているのは売り出し価格(広告に出ている価格)ではなく、実際に取引が成立した価格です。

売り出し価格は相場より高めに設定されることが多いため、手取りの目安を考えるうえでは成約ベースのほうが現実的です。

また、平均値ではなく中央値を使っています。

一部の高額取引に引っ張られにくく、実感に近い水準になるためです。

世田谷区の一戸建ての中央値は約8,900万円、土地は約9,200万円という水準です。

建物が古くても土地の評価が残るケースは多く、「築年数が古いから価値がない」と決めつけて放棄を選ぶのは早計になり得ます。

逆に、被相続人に多額の借入や連帯保証があり、それが不動産価値を上回るなら、放棄が合理的な選択になります。

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建物がかなり傷んでいても、世田谷区は土地としての評価が残る場合が多いエリアです。

放棄の判断材料として、まず金額の目安を持っておくと落ち着いて考えられます。

世田谷区の中古マンション価格の推移(2021〜2025年)

判断を先延ばしにしているうちに相場が動くこともあります。

世田谷区の中古マンションの成約価格は、直近5年で次のように推移しています。

世田谷区の中古マンション売却価格の推移(中央値)
価格の中央値参考㎡単価
2021年約5,200万円約85.0万円/㎡
2022年約5,400万円約90.0万円/㎡
2023年約5,700万円約96.8万円/㎡
2024年約5,800万円約100.0万円/㎡
2025年約6,000万円約103.7万円/㎡

出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」(2021〜2025年/世田谷区・中古マンション)をもとに作成。

世田谷区の中古マンション価格の推移(中央値)
約5,200万円2021年約5,400万円2022年約5,700万円2023年約5,800万円2024年約6,000万円2025年

出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」(2021〜2025年/世田谷区・中古マンション)をもとに作成。

2021年の約5,200万円から2025年は約6,000万円へと、中央値は上昇傾向で推移しています。

ただしこれは区全体の中央値であり、個別の物件が同じように上がるとは限りません。

駅からの距離、管理状態、間取り、階数によって結果は変わります。

それでも「世田谷区の実家は資産としての価値が残りやすい」という前提は、放棄を検討する際の判断材料になります。

なお、一戸建てや土地は個別性がより強く、同じ町内でも接道条件や間口で評価が分かれます。

築古の建物については築40年・50年の古い家は世田谷区で売れる?もあわせてご覧ください。

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推移はあくまで区全体の傾向です。

ご実家がどの水準に近いかは、同じ町・同じ駅圏の成約事例で見たほうが実態に合います。

相続放棄しても管理義務は残る?空き家の保存義務と相続財産清算人

「放棄したのだから、もう関係ない」と考えたくなりますが、放棄の時点でその家を現に占有していた人には、保存義務が残ります。

改正後の民法940条では、相続人または相続財産の清算人に財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって保存しなければならないとされています。

たとえば、親と同居していた家を相続放棄した場合、次に管理する人へ引き渡すまでは、屋根や外壁が崩れないよう最低限の状態を保つ責任が残り得ます。

一方、遠方に住んでいて実家を占有していなかった場合は、この義務の対象外と整理されるのが一般的です。

ご自身がどちらに当たるかは、家庭裁判所や司法書士など専門家に確認してください。

誰も管理する人がいない状態を解消する手続きが、家庭裁判所への相続財産清算人の選任申立てです。

清算人が選ばれれば、財産の管理・換価・債権者への弁済が進み、引き渡しをもって保存義務から離れることができます。

ただし申立てには手数料のほか、事案によって予納金が必要になる場合があり、選任までに一定の期間もかかります。

「放棄すればその日から手が離れる」わけではない点は、あらかじめ知っておきたいところです。

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放棄後も「占有していたかどうか」で立場が変わります。

台風前の点検など、当面の安全確保は放置せずに対応しておくと安心です。

全員が相続放棄した世田谷区の空き家はどうなる?

相続人全員が放棄すると、相続する人がいない「相続人不存在」の状態になります。

この場合、家庭裁判所が選任した相続財産清算人が財産を換価し、債権者への弁済などを行ったうえで、残った財産は最終的に国庫に帰属します。

誰かが自動的に片付けてくれるわけではなく、利害関係人(債権者や自治体など)か放棄した人自身が申立てをしなければ、手続きは始まりません。

その間、建物は空き家のまま残ります。

世田谷区は住宅が密集した地域が多く、樹木の越境、瓦や外壁の落下、不法投棄といった問題が近隣に直接影響しやすい環境です。

空家等対策の推進に関する特別措置法では、周辺に悪影響を及ぼすおそれのある空き家について、自治体が「管理不全空家等」「特定空家等」として助言・指導・勧告等を行う仕組みが定められています。

勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例の対象から外れることがあり、放置が金銭的な負担につながる場合もあります。

また、順位が下位の親族が新たに相続人となる点も見落とされがちです。

子が全員放棄すれば、次は親、その次は兄弟姉妹へと権利と負債が移ります。

疎遠だった叔父・叔母に裁判所から通知が届き、そこで初めて事情を知られる——という展開は珍しくありません。

親族関係に配慮するなら、放棄の前に一報を入れておくかどうかも含めて考えたいところです。

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次順位の親族へ話が回ることを知らずに進めて、後から気まずくなるケースがあります。

連絡の順番だけでも整理しておくと違います。

相続放棄と売却、世田谷区ではどちらを選ぶ?判断の分かれ目

判断の軸はシンプルで、プラスの財産(不動産・預貯金)とマイナスの財産(借入・連帯保証・未払いの税金など)のどちらが大きいかです。

負債が上回るなら放棄、資産が上回るなら相続して売却し、必要な支払いを済ませたうえで残りを分ける、という整理になります。

ここで重要になるのが期限です。

相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります(民法915条)。

財産の調査が終わらない場合は、期間の伸長を申し立てられる制度もあります。

「よく分からないまま3か月が過ぎてしまった」という声は少なくないので、迷っている段階で早めに相談しておくほうが選択肢は広く残ります。

負債の有無がはっきりしないときは、金融機関の残高、信用情報、被相続人宛の郵便物などを確認しつつ、同時に不動産の価値も概算しておくと比較ができます。

世田谷区の水準(一戸建ての中央値 約8,900万円、土地 約9,200万円)を踏まえると、資産が負債を上回るケースも十分に考えられます。

世田谷区で相続した不動産を売却する方法で、相続してから売る場合の全体像も確認しておくとよいでしょう。

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3か月という期限が想像以上に短く感じられる方が多いです。

判断を保留したい事情があるなら、伸長の申立てという方法も覚えておいてください。

相続放棄をせずに世田谷区の実家を売る流れ

相続して売る道を選んだ場合、大きな流れは次のとおりです。

  1. 戸籍等で相続人を確定し、財産(不動産・預貯金・負債)を調べる
  2. 遺言がなければ遺産分割協議で、誰がどの財産を取得するかを決める
  3. 相続登記を行い、名義を相続人へ移す
  4. 査定を取り、仲介または買取で売却する
  5. 売却代金から諸費用・税金を差し引き、取り決めどおりに分配する

2024年4月から相続登記は義務化され、不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記の申請をすることが求められています。

登記が済んでいない状態では買主へ所有権を移せないため、売却の前提としても必要な手続きです。

詳しくは世田谷区の相続不動産、相続登記しないと売れないで整理しています。

売り方は、時間をかけて市場で買主を探す仲介と、不動産会社が直接買い取る買取に分かれます。

買取は価格が市場相場より下がる傾向がある一方、周囲に知られにくく現金化が早いという特徴があります。

「知られなさ」「価格」「スピード」は完全には両立しないため、何を優先するかを先に決めておくと迷いにくくなります。

判断材料は仲介と買取どっちがいい?世田谷区で現金化するにまとめています。

兄弟で分ける前提なら兄弟で相続した世田谷区の実家を売って分ける、雨漏りなど不具合がある家なら世田谷区で雨漏りする家は売れる?修繕せず売却、まだ相続が発生しておらず親が施設に入った段階なら親が施設入居|世田谷区の空き家を売るタイミングが参考になります。

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登記が止まったままだと売却も進みません。

分割の話し合いと並行して、登記に必要な書類の準備を始めておくと動きがスムーズです。

世田谷区で相続放棄・空き家を相談するときの心理的なハードル

先祖から受け継いだ家を手放す、あるいは放棄するという判断には、後ろめたさが伴うことがあります。

「親に申し訳ない」「近所や親戚にどう思われるか」——そうした感情は自然なもので、後ろめたいことではありません。

むしろ、誰も管理できないまま空き家を放置するほうが、建物の傷みや近隣への影響という形で問題を大きくしてしまいます。

相談すること自体が周囲に伝わるのを心配される方もいます。

売却の意思が固まる前でも、現地に看板を出さず、資料上の情報だけで価格の目安を出す机上査定という方法があります。

まずは数字を知り、判断はその後で構いません。

世田谷区外・県外にお住まいで現地に来られない場合も、資料のやり取りと写真で進められる部分は多くあります。

また、放棄するか相続するかは法律判断が絡むため、不動産会社だけでは完結しません。

負債の有無や期限の管理は弁護士・司法書士、税金は税理士と、役割が分かれます。

窓口を一つに絞らず、必要な専門家につなぐ形で進めるほうが、結果として遠回りになりにくいでしょう。

相続した実家を世田谷区で売りたい|空き家対策もあわせてご覧ください。

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「売ると決めていないと相談してはいけない」ということはありません。

まず情報だけ、という段階のご相談も多くいただきます。

相続放棄と世田谷区の空き家に関するよくある質問

Q 相続放棄した家を、あとから自分で売ることはできますか?


A できません。

相続放棄をした人は初めから相続人でなかったとみなされるため(民法939条)、所有権を取得せず、売主にもなれません。

売却したいのであれば、放棄ではなく相続する選択を検討することになります。

Q 放棄する前に、家の中の物を処分しても大丈夫ですか?


A 相続財産を処分すると単純承認とみなされる場合があります(民法921条)。

放棄を検討している段階での片付け・解体・売却は慎重に扱い、事前に家庭裁判所や弁護士・司法書士へご確認ください。

Q 相続放棄の期限はいつまでですか?


A 自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所へ申述する必要があります(民法915条)。

調査に時間がかかる場合は、期間の伸長を申し立てる制度もあります。

Q 放棄すれば空き家の管理から完全に離れられますか?


A 放棄の時点でその家を現に占有していた場合は、相続人または相続財産の清算人へ引き渡すまで保存義務が残るとされています(民法940条)。

占有していなかった場合の扱いは異なるため、個別に確認してください。

Q 相続人全員が放棄した世田谷区の空き家は、最終的にどうなりますか?


A 家庭裁判所が選任した相続財産清算人が換価・弁済などを行い、残った財産は国庫に帰属します。

申立てがなければ手続きは始まらず、空き家のまま残る点に注意が必要です。

Q 築年数の古い実家でも、世田谷区なら値段が付きますか?


A 建物の価値が乏しくても、土地としての評価が残る場合があります。

世田谷区の土地(宅地)の中央値は約9,200万円、一戸建ては約8,900万円という水準です(2021〜2025年の成約データ)。

ただし接道条件や面積で個別差が大きいため、事例に基づく確認をおすすめします。

Q 遠方に住んでいて世田谷区に行けません。

それでも相談できますか?


A 資料のやり取りと写真で進められる範囲があり、価格の目安は机上査定で確認できます。

現地確認や引き渡しの場面では立会いや代理手続きが必要になる場合があるため、早めに段取りを決めておくと負担を抑えやすくなります。

世田谷区で相続放棄と空き家売却を判断するために押さえるポイント

相続放棄をした家は、放棄した人が売ることはできません。

放棄後も占有していた人には保存義務が残り、全員が放棄すれば相続財産清算人の選任を経て最終的に国庫へ——という道筋になります。

「放棄すればすべて終わる」わけではない点が、判断の前提として重要です。

一方で、世田谷区の不動産は一戸建ての中央値が約8,900万円、土地が約9,200万円、中古マンションが約5,600万円(2021〜2025年の成約データ・18,253件)という水準にあります。

負債が資産を上回るなら放棄、資産が上回るなら相続して売却、という比較を数字で行えば、感情だけで決めずに済みます。

次の一歩としては、①被相続人の負債の有無を確認する、②実家の価格の目安を机上査定などで把握する、③3か月の期限を意識して専門家に相談する、という順番が現実的です。

相続してから売る場合の流れは世田谷区で相続した不動産を売却する方法、名義の問題は相続登記しないと売れない、売り方の選択は仲介と買取どっちがいい?をご覧ください。

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放棄か相続かで迷う時間そのものが期限を削っていきます。

負債の確認と価格の把握は、同時に進めるのがおすすめです。

参考・出典

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