机上査定と訪問査定の違い|世田谷区での選び方
「そろそろ査定を取ってみようか」と思ったとき、多くの方が最初につまずくのが机上査定(きじょうさてい)と訪問査定のどちらを選ぶかです。
家の中まで見られるのは気が重い、まだ売ると決めたわけではない、でも金額の目安は知りたい——そんな状態で手が止まってしまう方は少なくありません。
結論から言えば、この2つは「精度」と「手軽さ」を交換している関係にあり、目的によって使い分けるものです。
売ると決めていない段階なら机上査定で十分なことが多く、実際に売り出す価格を決める段階では訪問査定が前提になります。
どちらが上位というより、順番の問題だと考えると整理しやすくなります。
この記事では、世田谷区で不動産を売る場合を前提に、机上査定と訪問査定の違い、それぞれが向いているケース、公的データから見た世田谷区の相場水準、査定を受けるときに用意しておくとよい書類までを、国土交通省の取引データを根拠に整理します。
記事監修者情報

株式会社グランクルー
代表取締役 加瀬 健史(カセ タケシ)
不動産業界歴20年以上宅地建物取引士
世田谷エリアを中心に不動産売却の実績500件以上。査定から引渡しまでの一連の実務に加え、相続・住み替え・離婚に伴う売却など、事情の異なる売主それぞれの相談に幅広く対応し、売却実務に多くの知見を持つ。
机上査定と訪問査定の違いは「現地を見るかどうか」と精度
机上査定は、物件の所在地・面積・築年数・間取り・マンション名などの情報と、周辺の成約事例や地価公示・路線価といったデータをもとに、現地を見ずに価格帯を算出する方法です。
簡易査定・デスク査定と呼ばれることもあります。
訪問や立ち入りがないため、写真も撮られず、近隣に動きが伝わることもありません。
一方の訪問査定は、担当者が現地を確認したうえで価格を出します。
世田谷区のような住宅密集エリアでは、同じ町名・同じ駅距離でも、道路の幅、接道の状況、隣地との高低差、日当たり、建物の劣化具合で評価が変わります。
こうした要素はデータには載らないため、実際に売り出す価格を決める段階では訪問査定が必要になります。
| 項目 | 机上査定 | 訪問査定 |
|---|---|---|
| 現地確認 | なし(データのみ) | あり(外観・室内・敷地) |
| 主な根拠 | 周辺の成約事例、地価公示・路線価、面積・築年数 | 左記+建物状態、接道、境界、日当たり、高低差など |
| 分かること | おおよその価格帯 | 売り出し価格の具体的な根拠 |
| 向く場面 | 売るか迷っている段階、相続の検討、遠方在住 | 売却を決めた段階、媒介契約の直前 |
| 注意点 | 個別事情が反映されず実際とずれることがある | 日程調整が必要、担当者と対面する |
※法制度上の位置づけは宅地建物取引業法(e-Gov)を参照。
宅地建物取引業者は媒介契約の締結にあたり価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないと定められています。
つまり、机上査定で「だいたいこのあたり」を把握し、話が進むなら訪問査定で精度を上げる、という二段構えが基本形です。
どちらか一方を選ばなければならない、というものではありません。
「机上か訪問か」で悩む前に、いま知りたいのが価格帯なのか売り出し価格なのかを整理してみてください。
目的が決まれば選ぶべき査定は自然に決まります。
世田谷区の不動産売却相場と、机上査定で分かる範囲
机上査定の土台になるのは、周辺で実際にいくらで取引されたかというデータです。
世田谷区の水準を、国土交通省「不動産情報ライブラリ」の取引価格情報・成約価格情報(2021〜2025年)から確認しておきましょう。
| 物件種別 | 価格の中央値 | 参考㎡単価 | 面積の中央値 |
|---|---|---|---|
| 中古マンション | 約5,600万円 | 約93.8万円/㎡ | 約60㎡ |
| 一戸建て(土地建物) | 約8,900万円 | — | 約100㎡ |
| 土地(宅地) | 約9,200万円 | 約80.0万円/㎡ | 約120㎡ |
出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」取引価格情報・成約価格情報(2021〜2025年/世田谷区、18,253件)をもとに作成。
個別価格は立地・築年数・状態により変動します。
ここで押さえておきたいのは2点です。
ひとつは、これが売り出し価格ではなく成約ベースの数字だということ。
ポータルサイトに並ぶ広告価格は値下げ前の金額を含むため、相場より高めに見えがちです。
手取りの目安を考えるなら成約データのほうが現実的です。
もうひとつは中央値を使っている点です。
平均値は一部の高額取引に引っ張られやすく、実感からずれることがあります。
18,253件の取引データを物件種別ごとに価格順に並べた真ん中の値が中央値なので、「ふつうの取引はこのあたり」という感覚に近くなります。
机上査定は、この中央値や㎡単価に、あなたの物件の面積・築年数・駅距離といった条件を当てはめて価格帯を出す作業です。
中古マンションの中央値が約5,600万円、一戸建てが約8,900万円、土地が約9,200万円と種別で水準が大きく違うため、まず自分の物件種別の相場を見るところから始めます。
詳しい相場の見方は世田谷区の不動産無料査定|相場に基づく査定でも整理しています。
中央値は「真ん中の取引」の目安です。
ご自身の物件が中央値より広いか狭いか、駅に近いか遠いかで上下しますので、あくまで出発点として見てください。
世田谷区の中古マンション価格の推移(2021〜2025年)と査定の時点差
査定額を考えるうえで見落としやすいのが、相場が動いているという事実です。
世田谷区の中古マンションの中央値は次のように推移しています。
| 年 | 価格の中央値 | 参考㎡単価 |
|---|---|---|
| 2021年 | 約5,200万円 | 約85.0万円/㎡ |
| 2022年 | 約5,400万円 | 約90.0万円/㎡ |
| 2023年 | 約5,700万円 | 約96.8万円/㎡ |
| 2024年 | 約5,800万円 | 約100.0万円/㎡ |
| 2025年 | 約6,000万円 | 約103.7万円/㎡ |
出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」(2021〜2025年/世田谷区・中古マンション)をもとに作成。
出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」(2021〜2025年/世田谷区・中古マンション)をもとに作成。
㎡単価で見ると約85.0万円/㎡から約103.7万円/㎡へと水準が上がっています。
ここから言えるのは、数年前に取った査定書の金額をそのまま前提にすると判断を誤る可能性があるということです。
相続の話し合いが長引いているケースや、住み替えを一度見送ったケースでは、当時の数字が今も生きていると思い込んでしまいがちです。
机上査定(きじょうさてい)は現地確認がないぶん、この「今の相場」を短い手間で確認する用途に向いています。
売却の判断を先送りにしている間も、机上査定で定期的に水準を見直しておくと、いざ動くときに慌てずに済みます。
以前に受けた査定書をお持ちの方は、日付をご確認ください。
相場は動きますので、時点が古い数字は目安としても扱いにくくなります。
机上査定が向いているケース|世田谷区で「査定だけ」知りたいとき
机上査定が力を発揮するのは、次のような段階です。
売るかどうか決めていない
—家族や相続人と相談する材料として、まず価格帯だけ知りたい
遠方に住んでいる
—世田谷区の実家を相続したが、立ち会いのために帰るのが難しい
住み替えの資金計画を立てたい
—今の住まいがいくらになるかで、次の物件の選択肢が変わる
まだ人に知られたくない
—訪問の車や担当者の出入りで、近所や職場に気づかれたくない
とくに最後の点は、都心近郊であっても気にされる方が少なくありません。
机上査定なら現地への訪問がないため、周囲に動きが伝わりにくいという実務上の利点があります。
ただし、知られにくさを優先すると、そのぶん価格の精度は落ちるというトレードオフがあることは押さえておいてください。
「売らないかもしれないのに査定を頼んでよいのか」という点も気にされますが、査定は売却の申し込みではありません。
詳しくは世田谷区で査定だけしたい|売らずに価格を知る、依頼時に伝える情報の範囲は不動産査定で個人情報は必要?世田谷区での受け方で整理しています。
「検討段階なので机上査定でお願いします」と最初に伝えていただければ、それだけで進め方は変わります。
遠慮なくご希望をお伝えください。
訪問査定が必要なケース|世田谷区の一戸建て・土地は現地確認が前提
一方で、机上査定だけでは価格を出しきれない物件もあります。
世田谷区で訪問査定が事実上必要になるのは、次のような場合です。
境界が確定していない土地
—古くからの住宅地では境界標が見当たらないことがあり、隣地との越境(塀・樹木・庇)も現地でしか判断できません
接道条件に不安がある
—幅の狭い道路や私道に接する敷地、旗竿地、位置指定道路など
高低差・擁壁がある
—台地と谷が入り組む地形では、擁壁の状態や階段アプローチが評価に影響します
- 増改築や未登記部分がある——登記と現況が一致していない建物
建物の状態差が大きい
—雨漏り跡、シロアリ、水回りの更新歴、リフォームの内容
一戸建ての中央値が約8,900万円、土地が約9,200万円という水準の世田谷区では、こうした個別条件の差が金額に与える影響も小さくありません。
データだけで出した数字と、現地を見た数字が離れることは珍しくないと考えておくべきです。
築年数ごとの見方は世田谷区で一戸建てを無料査定|築年数別の目安を参考にしてください。
マンションの場合は、同じ建物内の成約事例が使えるため机上査定の精度が比較的出やすい
一方、階数・向き・眼前の建物・管理状態・修繕積立金の水準などで差が出ます。
売り出し価格を決める段階では、やはり室内の確認が必要です(世田谷区でマンションを無料査定|相場と流れ)。
境界と接道は、後から買主とのやり取りで問題になりやすいところです。
気になる点があるなら、早い段階で現地を見ておくほうが結果的に安心です。
世田谷区のエリア・沿線による違いを査定でどう見るか
世田谷区は東急田園都市線・大井町線・世田谷線、小田急小田原線、京王線、京王井の頭線と複数の路線が走り、駅ごとに街の性格が異なります(東急東横線は隣接区を通る路線で、区内に駅はありません)。
三軒茶屋や下北沢のように商業集積があり賃貸需要も厚いエリア、二子玉川や用賀のようにファミリー層の人気が高いエリア、成城学園前や桜新町のように邸宅地としての評価が根づくエリア、千歳烏山や経堂のように生活利便で選ばれるエリアと、買い手の層が変わります。
机上査定でも、最寄駅・駅からの距離・町名は当然反映されます。
ただし、世田谷区で価格差を生みやすい要素のうち、次のようなものはデータからは読み取れません。
- バス便エリアかどうか、実際の徒歩ルートに坂や踏切があるか
- 前面道路の幅や車の出し入れのしやすさ(駐車場の実用性)
- 周辺の建て替え・新築の動き、近隣の日照や視線の抜け
- 学区の人気や、学校・公園までの実際の歩きやすさ
「駅から徒歩◯分」が同じでも、平坦な道と坂道では買い手の反応が変わります。
相場表の中央値を出発点にしつつ、こうした個別要素を織り込んでいくのが訪問査定の役割だと理解しておくとよいでしょう。
同じ町名でも、坂の上と下、バス便かどうかで買い手の反応は変わります。
図面上の距離だけで判断しないほうが実態に近づきます。
査定の流れと準備書類、依頼するときの注意点
机上査定は、物件の所在地・面積・築年数・間取り(マンションなら建物名と階数・向き)を伝えれば依頼できます。
手元に資料がなくても、分かる範囲の情報で価格帯の算出は可能です。
訪問査定に進む場合は、次の書類があると精度が上がります。
- 登記事項証明書(登記簿)、権利証・登記識別情報
- 測量図・境界確認書、公図
- 建築確認済証・検査済証、建物の図面
- マンションは管理規約、管理費・修繕積立金の金額が分かる書類、長期修繕計画
- リフォーム・修繕の履歴、住宅設備の保証書
- 固定資産税の納税通知書
依頼時の注意点として、提示された査定額は「この価格で売れる保証」ではないという点を押さえてください。
査定額は根拠に基づく見立てであり、実際の成約価格は買い手が現れるかどうかで決まります。
だからこそ、金額の大きさよりも「なぜその金額なのか」という説明を確認することが重要です。
宅地建物取引業法でも、媒介契約に際して価額の意見を述べるときは根拠を明らかにすることが求められています。
複数社に依頼するかどうかは、目的次第です。
比較したい場合の考え方は世田谷区で複数社に査定を頼むべき?1社でいい?、依頼先の選び方は不動産査定はどこがいい?世田谷区での選び方、査定後の連絡が気になる方は査定後の営業がしつこい?世田谷区の査定の実態もあわせてご確認ください。
書類がそろっていなくても査定は始められます。
足りないものは取り寄せ方法をご案内できますので、まずは分かる範囲の情報からで大丈夫です。
机上査定・訪問査定に関するよくある質問(世田谷区)
Q 机上査定と訪問査定では、金額はどのくらい違いますか?
A 物件によって差の大きさは変わるため、一律には言えません。
同じマンション内の成約事例が使えるケースでは近い数字になりやすく、境界が未確定の土地や増改築のある一戸建てでは開きが出やすい傾向です。
机上査定は「価格帯」、訪問査定は「売り出し価格の根拠」と役割を分けて考えてください。
Q 机上査定だけで売り出すことはできますか?
A 現実的には難しいと考えてください。
売り出し価格を決めて広告を出す段階では、建物や敷地の現況確認、権利関係の確認が必要になります。
媒介契約に際しては価額の根拠を明らかにすることが法律上求められている点も関係します。
Q 訪問査定では家の中も全部見られますか?
A 水回り・居室・収納・小屋裏など、価格に影響する部分の確認が中心です。
片付けやリフォームをしてから、という必要はありません。
見られたくない場所がある場合は、事前に伝えておけば配慮した進め方を相談できます。
Q 遠方に住んでいます。
訪問査定に立ち会えない場合はどうなりますか?
A 空き家で鍵を預けられる状態なら、立ち会いなしで現地確認を行えるケースもあります。
まずは机上査定で価格帯を把握し、そのうえで現地確認の方法を相談する流れが現実的です。
Q 世田谷区の相場は今どのくらいですか?
A 国土交通省の取引データ(2021〜2025年/18,253件)では、中古マンションの中央値が約5,600万円、一戸建てが約8,900万円、土地が約9,200万円です。
中古マンションの中央値は2021年の約5,200万円から2025年の約6,000万円へと推移しています。
Q 査定を受けたことが近所に知られませんか?
A 机上査定は現地訪問がないため、周囲に伝わりにくい方法です。
訪問査定の場合も、社名の入った車を使わない、看板を出さないなど配慮できる部分はあります。
ただし知られにくさを優先すると価格や販売スピードとの兼ね合いが生じるため、どこを優先したいかを最初に共有しておくことが大切です。
Q 査定は無料ですか?
A 売却の相談に伴う査定は、机上・訪問いずれも無料で行われるのが一般的です。
ただし、相続税申告や裁判で使う「不動産鑑定評価書」は不動産鑑定士による有償の業務で、売却査定とは別のものです。
世田谷区の査定で押さえるべきポイント
机上査定と訪問査定は対立するものではなく、検討段階は机上、売り出しを決めたら訪問という順番で使い分けるのが基本です。
世田谷区の中古マンションの中央値は約5,600万円、2021年の約5,200万円から2025年の約6,000万円へと水準が動いてきました。
相場が変わる前提で、古い査定額を判断材料にしないことも押さえておきたい点です。
次の一歩としては、まず自分の物件種別の相場水準を確認し、そのうえで机上査定で価格帯を出すところから始めるのが負担の少ない進め方です。
売ると決めていない段階でも問題ありません。
詳しくは世田谷区の不動産無料査定|相場に基づく査定、売らずに価格だけ知りたい場合は世田谷区で査定だけしたい|売らずに価格を知る、依頼先選びは不動産査定はどこがいい?世田谷区での選び方をご覧ください。
いきなり訪問を決めなくて構いません。
机上査定で価格帯を見て、ご家族と話してから次を考える、という順番で十分間に合います。
出典・参考
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」(取引価格情報・成約価格情報/地価公示・都道府県地価調査)
- 国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」
- 宅地建物取引業法(e-Gov 法令検索)(媒介契約時の価額の根拠明示について)
- 世田谷区公式ホームページ
